約 225,585 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5658.html
207 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 11 50.84 ID OZM3MJRt0 [4/7] 好感度・依存度まとめ ネリー 好感度max 依存度139 智葉 56 明華 81 ハオ 49 ダヴァン 41 健夜 74 淡 46 照 67 迫り来る 小 鍛 治 健 夜 209 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 13 21.01 ID OZM3MJRt0 [5/7] 朝 行動フェイズ 京太郎「さて……何をしよう」 1.登校 2.サボる 3.ひきこもる 4自由安価 安価下2 213 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 14 34.97 ID OZM3MJRt0 [6/7] 京太郎「よし!学校行くか!」 ーーー 通学路 京太郎「ん?……あれは?」 「……」クルッ 振り向いて来たのは? 0~20 ネリー 21~40 明華 41~60 智葉 61~80 ダヴァン 81~99 ハオ 安価下1 215 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 18 47.96 ID pgoEEnGE0 [7/7] 智葉「京太郎か」 京太郎「あ……」 智葉「この前は学校を休んだようだな?」 京太郎「あはは」ギクッ 智葉「たまには部活にも顔を出してくれ」 京太郎「気が向いたら顔を出します」 智葉「うん。それでいい」 京太郎「それにしても……」 1.「眼鏡を取ると別人みたいに可愛いですね」 2.「智葉さん……ですよね?」 3.「誰ですか?」 安価下3 220 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 22 34.17 ID CdyUdKfF0 [1/6] 京太郎「眼鏡を取ると別人みたいに可愛いですね」 智葉「……」 京太郎「智葉さん?」 智葉「///」プシュウウウゥ 京太郎「智葉さん!?」 智葉「そ、そんな事よりも別の事に集中しろ!!!」 智葉「ったく///」 京太郎「ほ、本音なのに……」 智葉「っっ///」ピクッ 0~10 小 11~20 中 21~99 大 222 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 25 36.67 ID CdyUdKfF0 [2/6] 智葉の好感度が30上がりました キーンコーンカーンコーン 京太郎「さて……」 放課後になったな。 それにしても眼鏡を取った智葉さんってかはり可愛いよな…… あれはズルいな とてもズルい うん。可愛い 1.麻雀部に顔を出す 2.デートをする 3.奉仕活動に勤しむ 4.まだしばらく教室で時間を潰す 安価下2 226 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 35 54.09 ID OZM3MJRt0 [7/7] 225 195 ミスってしまいました……許してください 京太郎「奉仕活動に勤しむか」 京太郎「それにしてもゴミが多いなぁ」 京太郎「お、ここにも」ヒョイ 明華「あ……京太郎君」 京太郎「明華さん」 明華「ボランティアですか?感心です」 京太郎「明華さんはどうしてここに?」 明華「私は……」 明華「少し休憩です」 京太郎「疲れちゃったんですか?」 明華「えぇ……少し」 1.「一緒にボランティアしましょう」 2.「そういう時もありますよね」 3.「遊びに行きませんか?」 安価下3 230 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 40 46.50 ID Dpp4oKmR0 [1/2] 京太郎「そういう時もありますよね」 明華「京太郎君……」 京太郎「ほら、俺は入学二日目でサボりましたし」 明華「それは早すぎます」クスクス 京太郎「だから元気出してくださいよ」 明華「はい。京太郎君を見たら元気が出て来ました」ニコッ 京太郎「!」ドキッ 可愛い…… 0~30 小 31~60 中 61~99 大 安価下1 234 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 47 39.01 ID Dpp4oKmR0 [2/2] 明華の好感度・依存度が30上がりました 玄米スレは俺のバイブル 行動フェイズ 夕方 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「ネトマで勉強しよう」 4「メールしようかな」 5「電話しよう」 6「LINEしよう」 7「念の為に鍛えるか」 8「自由安価」 安価下3 239 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 56 33.04 ID NvuIZi9g0 ゾロ目だよ!やったねたえちゃん! ゾロ目ボーナス! グループに参加 京太郎「LINEするか……って!」 京太郎「臨海高校麻雀部レギュラーのグループに招待されてる」 京太郎「更に、スイーツ同盟?照さんと淡のグループか……」 京太郎「よし、両方入るか」 ー臨海レギュラーー 智葉 京太郎、念の為招待した ネリー 今度皆で遊ぼう!勿論京太郎も! ダヴァン それはいい考えデス! ハオ 賛成 明華 とてもいい考えです 京太郎 皆が良ければそれで賛成です (休日土曜に臨海麻雀部レギュラー全員と遊ぶ予定が出来ました) 臨海麻雀部レギュラー全員の好感度・依存度が30上がりました 242 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 17 59 58.18 ID CdyUdKfF0 [3/6] ースイーツ同盟ー 照 京太郎。日曜日にスイーツ食べ歩き 淡 拒否権は無し!! 京太郎 はい、分かりました 照 皆で食べるスイーツは美味しい 淡 それとっても分かる! 京太郎 楽しみにしておきます 淡 私も楽しみだからね 照 とっても楽しみ 243 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 18 03 29.15 ID CdyUdKfF0 [4/6] 照と淡の好感度・依存度が30上がりました 日曜日は照と淡と遊びます 行動フェイズ 夜 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「ネトマで勉強しよう」 4「メールしようかな」 5「電話しよう」 6「LINEしよう」 7「念の為に鍛えるか」 8「自由安価」 安価下3 247 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 18 08 23.88 ID CdyUdKfF0 [5/6] 鍛えるを選ぶ人は警戒心の塊(褒め言葉) 京太郎「電話でもするか」 自由安価下3 今までに出会ったキャラでお願いします 251 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 18 19 19.71 ID czqFJOuN0 [1/2] prrr 京太郎「もしもし」 淡『キョータロー!』 京太郎「どうだ?学校の方は」 淡『うん。楽しいけど、キョータローが居ないと少し退屈かな?』 京太郎「あはは、なんだよそれ」 淡『でも日曜日楽しみにしてるからね!!』 京太郎「俺はそんなにお菓子食べれないぞ?」 淡『居てくれるだけでもいいの!』 京太郎「はいはい、わかりましたよっと」 淡『じゃあねー』 京太郎「じゃあ」プツッ 淡の好感度・依存度が10上がりました 京太郎「そろそろ寝るかな……って」 prrrrr 京太郎「電話だ」 電話の相手は? 自由安価下4 今までに出会ったキャラでお願いします 261 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 18 30 55.49 ID czqFJOuN0 [2/2] 京太郎「もしもし?」 健夜『もしもし?』 京太郎「健夜さんですか?」 健夜「あ、よく気付いたね」 京太郎「そりゃ何回か声聞いてますから」 健夜「そういえば京太郎君は麻雀やるの?」 京太郎「麻雀は少ししか……始めたばかりなので」 健夜「そうなんだ、今度教えてあげようか?」 京太郎「本当ですか?」 健夜「嘘はつかないよ、今度誘うね」 京太郎「ありがとうございます」 健夜「またねー」プツッ 京太郎「健夜さんは優しいな」 京太郎「よし、寝るか」 一日が終了しました 262 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 18 35 34.74 ID OsLm0LVS0 健夜の好感度・依存度が20上がりました(連続ボーナス) 好感度・依存度まとめ ネリー 好感度max 依存度169 智葉 好感度max 依存度116 明華 好感度max 依存度141 ハオ 79 ダヴァン 71 健夜 94 淡 86 照 97 大変危険ですね 267 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 18 48 16.93 ID /VJA5LA+0 [2/16] ネリー可愛いよな!?ネリー可愛いよな!?(錯乱) ネリー「……京太郎」 日本の少年に狂おしい程の恋をしてしまった。 しかし、障害も多そうだ。 彼は不思議な男、不思議な魅力の持ち主。 次々と異性を虜にするだろう。 異性は自分に惹かれる事に彼は気付いて居ないだろう。 だからこそ私が飼わなければならない。 お金は沢山稼ぐ。 母国はもうどうでもいい、彼と一緒になれたらそれでいい。 彼は何もしないでいい。 邪魔をする人は一人残らず……ふふっ ネリー「大好き」 272 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 18 55 05.97 ID cFUkaN700 明華「私は変態さんかも知れません……」 明華「出会って間も無い年下の異性に恋をしてしまいました///」ギユウウウッ そして、抱きしめているのは大好きな彼を元に作ったぬいぐるみ。 壁には彼の写真が沢山貼られている。 必ず一人の写真。 隣に居た女性は切りおして捨ててから貼る。 勿論切り捨ててから捨てる時には使い捨ての手袋を着けて。 いつからストーキングをするようになったのかは分からない。 彼の奉仕活動も最初から覗いていた。 疲れたなんてその場凌ぎの嘘。 明華「彼を自分好みに仕立て上げたい」 明華「私が選んだ服を着せて、私が好きな料理を一緒に食べて」 明華「マナーを学んでもらって一緒にフランスで最高の暮らしをしたい」 明華「必ず……」 274 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 18 59 27.04 ID MjoEDjM20 [5/5] 智葉「須賀京太郎……」 不思議な男だ、人の心に入り込んでくる。 危険も多そうだ。 現にネリーや明華はもう彼の虜。 少し危険な域に行っているのかも知れない。 智葉「私も好きなんだけど、な」 いざという時は守ってやる必要があるのかも知れない。 「可愛いですね」 智葉「っっ~~///」 智葉「バカッ……///」ジタバタ 279 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 19 11 27.61 ID J7+oGSeV0 275 狂気の獅子だね(満面の笑み) 276 金は莫大(憶測)だよ! 277 どうなるでしょう!? 京太郎「今日は土曜日だ」 京太郎「今日は臨海の皆と遊ぶ予定だったな」 京太郎「どうしよう?」 1.早めに行く 2.遅めに行く 3.バックレる 安価下3 289 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 19 33 00.45 ID CdyUdKfF0 [6/6] 京太郎「早めに行くか」 ーーー 智葉「むっ……京太郎か」 京太郎「あ、智葉さん」 智葉「まだ集まっているのは私達二人だけだ」 京太郎「ちょっと早すぎましたね」 智葉「早く着くのは慣れたよ」 京太郎「智葉さんしっかりしていますもんね」 智葉「良く言われるよ」ハハッ 京太郎「私服もしっかり似合いますね」 智葉「!」カァァァ 智葉の好感度が10上がりました 290 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 19 48 10.73 ID uU5PKxok0 バックれたらお迎えが来てました ダヴァン「オー!ブラザー早いデス!」 ハオ「京太郎とサトハは早いですね」 ネリー「京太郎、はやーい!」 明華「京太郎君はしっかり者ですね」ニコッ 京太郎「そんな事無いですよ」アハハッ ネリー「……」 智葉「……」 295 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 19 56 21.59 ID PGlJuUAr0 [5/5] 京太郎「さて、今日はどこに行くんですか?」 ネリー「テーマパークだよ!」ギュッ 京太郎「うわっ!くっつきすぎだろ!」 ネリー「今日ぐらい良いよね」ギューッ 明華「少しくっつき過ぎでは無いでしょうか?」 ネリー「別に良いもん」ギュー 智葉「さっ……早く行くぞ」 ダヴァン「ソウしましょう!」 ハオ「そうですね、急ぐに越した事は無いです」 298 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 20 07 29.57 ID jw2/+gWD0 [2/2] ねずみすばらっ!ランド 智葉「さて、着いたぞ」 ネリー「早速乗ろー!」 京太郎「よし、最初はジェットコースターだな」 安価 隣は誰?※そろそろ重要になってきます 0~20 ネリー 21~40 明華 41~60 智葉 61~80 ダヴァン 81~99 ハオ 安価下7 311 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 20 23 27.13 ID /VJA5LA+0 [3/16] ダヴァン「ブラザー!!乗りますよー!」 京太郎「良いですよー!」 ーーー ダヴァン「イエーーーイ!!!!」 京太郎「わー!!!!」 ダヴァン「日本のテーマパークも最高デース!!!」 好感度上昇安価 コンマ判定 0~30 小 31~60 中 61~99 大 安価下1 330 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 21 14 07.23 ID /VJA5LA+0 [5/16] 326失踪か引きこもるが鍵になってくる 明華はまだギリギリ正常です。150越えなけりゃ良いんですよ(ゲス顔) 依存度が20上がりました 京太郎「ふぅ……楽しかったな!」 ネリー「うんー!」キャッキャッ 明華「楽しかったですか、そうですか」 ネリー「嫉妬は良くないよー?」 明華「さぁ?何の事でしょうか?」 智葉「そろそろ夜だから次で最後にするか」 京太郎「そうですね、観覧車に乗りましょう」 一緒に乗るのは誰? 自由安価 今まで出会ったキャラにしてください ※とても重要です。よく考えて選択してください 安価下7 341 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 21 24 58.95 ID /VJA5LA+0 [6/16] 337 337 奇 跡 の カ ー ニ バ ル の 開 幕 だ ゾロ目ボーナス!!(歓喜) 京太郎「綺麗ですねー」 智葉「あ、あぁ!そうだな」 智葉「京太郎。お前はどうするつもりなんだ?」 京太郎「どうするって?」 智葉「まだ出会って間も無い明華とネリーに好意を抱かれているだろう?」 智葉(そして……私も……) 京太郎「え……?ネリーはともかく明華さんが?」 智葉「そろそろどうするかを決めた方が良いと思うぞ?」 京太郎「まだ分かりません……でも……俺はその二人よりも……」チラッ 344 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 21 29 18.34 ID /VJA5LA+0 [7/16] 俺は……! 俺は……! 誰よりも……! 京太郎「ーー俺は」 智葉「?」 京太郎の行く末が決まる安価です 1.智葉さんが好きです 2.智葉さんと一生一緒に居たいです 3.黙る 4.明華さんとネリーを振ります。それから考えます 5.自由安価、セリフなり行動なりお好きに 安価下7 352 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 21 38 17.52 ID /VJA5LA+0 [8/16] 京太郎「みんなと会ったばかりで、好きとか、そういうのはまだ分からないんです 確かに、みんなかわいくて、そういう下心がないわけではないんですが……」 智葉「ふふっ……そうか、そうか」 智葉「京太郎。君はこれから大変だと思う」 智葉「でも、何かあったら私が守ってやろう。安心してくれ」 京太郎「ごめんなさい……迷惑をかけて」 智葉(ふふっ……)ゾクゾクッ 智葉の好感度が50上がりました ーーー 京太郎「じゃあさよならー」 ネリー「バイバーイ」 明華「さようならー」 ハオ「また学校で」 ダヴァン「グッバイブラザー!」 智葉「また会おう。京太郎」 臨海麻雀部レギュラー全員の好感度が10上がりました 360 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 21 48 05.20 ID /VJA5LA+0 [9/16] 京太郎の部屋 京太郎「はぁ……なんか疲れた」 prrrr 京太郎「もしもし」 淡『おはよう!』 京太郎「おやすみ」 淡『明日はテルーとキョータローと私で食べ歩きだからねー!忘れないでよ!』 京太郎「分かってるよ。じゃっ」プツッ 京太郎「もう……ねるか」 ーーー 淡「?変なキョータロー」 361 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 21 52 53.97 ID /VJA5LA+0 [10/16] 好感度・依存度まとめ ネリー 好感度max 依存度199 智葉 好感度max 依存度186 明華 好感度max 依存度151 ハオ 89 ダヴァン 101 健夜 94 淡 86 照 97 眠れる獅子を起こしたら後は、もう……ね? 362 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 21 54 58.03 ID /VJA5LA+0 [11/16] ネリー「ふふっ」 ネリー「ふふふっ」 京太郎を飼わなきゃ。 ちゃんと。 次は室内飼いがいいね、放し飼いはダニがまとわりつく。 ネリー「幸せな生活をしたいな」 ネリー「京太郎と一緒に」 ネリー「私と京太郎だけの」 ネリー「誰にも邪魔されない」 ネリー「二人だけの国で」 うふふっふふふふ 365 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 21 57 36.11 ID /VJA5LA+0 [12/16] 明華「ネリー」 彼女は邪魔ですね。 ただのダニ。 経済的弱者の浅はかな考えは簡単に分かってしまいます。 明華「京太郎君……」 京太郎君のぬいぐるみ…… 京太郎君の写真…… それだけじゃもう足りない…… 京太郎君の温もりが欲しいです。 367 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 22 01 23.49 ID /VJA5LA+0 [13/16] 京太郎。 智葉「おい」 黒服「はいっ!」 智葉「この男を調査しろ」 黒服「し、しかし……カタギは……」 智葉「命令だ」 黒服「は、はい!」ダダダ 智葉「ふふふ」 まずは京太郎がどんな人間か知らないとな。 そうだな、部活でも眼鏡は外そう。 京太郎が褒めてくれたんだ。 369 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 22 02 46.70 ID /VJA5LA+0 [14/16] 一日が終わりました ※現在とても危険な状況です。 ※一触即発状態です ※照と淡とのデートで状況を好転させましょう 376 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 22 08 12.97 ID /VJA5LA+0 [15/16] 370 基本は京太郎生存ですよ?(すっとぼけ) そうですね、150までが狙い目。 そして、失踪と引きこもりが鍵を握ると考えてください。 ダヴァン好感度maxで依存度101でお願いします 京太郎「嫌な夢を見たな」 京太郎「朝だ」 京太郎「待ち合わせの新宿駅に行くか」 京太郎「今日は楽しむぞ!」 378 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 22 14 35.90 ID /VJA5LA+0 [16/16] 京太郎「っと……どうしよう」 TwitterとFacebookで今までの行動を行動を呟いているけど、そろそろ呟くのをやめようかな? なんとなく。 ※どちらを選んでもいい方にも悪い方にも転びます ※重要な選択です 1.やめない 2.やめる 安価下7 390 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 22 36 03.26 ID u7t+FEXi0 [3/3] 京太郎「やっぱり誰かに何をしてるか知ってもらっておこう」 完璧に守りの思考になってる気がする…… ーーー 淡「キョータロー遅ーい!」 京太郎「あはは、悪い悪い」 照「行こう」 どこに行く? 1.チョコ系 2.フルーツ系 3.和菓子系 安価下4 397 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 23 45 36.65 ID +nOANXJZ0 [2/3] すいませんちょっと立て込んでました。 照「美味しい」モグモグ 淡「キョータロー!」 淡「これ凄いよ」 京太郎「んっ?」モグモグ 京太郎「!」 京太郎「うまい……」 照「すごく美味しいね、京ちゃん」 京太郎「はい、最高です!」 好感度上昇安価 コンマ判定 0~20 小 21~60 中 61~99 高 安価下1 399 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 23 51 32.11 ID +nOANXJZ0 [3/3] 照と淡の好感度・依存度が20上がりました 京太郎「ふぅ……美味しかったな」 京太郎「結構人が少ない通りにある店だけど」 淡「テルー!キョータロー!これ見て!」ビシッ 照「あれは……!」 京太郎「!!」 コンマ判定 0~10 ナイフを持ったネリー 11~20 縄を持った明華 21~60 今だけ限定スイーツ 61~99 あの伝説の先着10名の店に誰も並んで居ない……だと? 404 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/02(金) 23 58 42.92 ID 0XGE8zqq0 京太郎「あの伝説の店だ……」 照「誰も並んでない……」キラキラ 淡「早く早く!」キャッキャッ ーーー 照「美味しい」ポロポロ 淡「生きてて良かったねテルー、キョータロー」ポロポロ 京太郎「泣くほどですか!?」 淡「勿論」ポロポロ 照「泣かない京太郎がおかしいよ」 コンマ判定 好感度上昇安価 0~10 小 11~30 中 31~99 大 411 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 00 02 01.73 ID 02Yfjm4T0 [1/6] 訂正 お詫びに今気付けたので再安価 京太郎「あの伝説の店だ……」 照「誰も並んでない……」キラキラ 淡「早く早く!」キャッキャッ ーーー 照「美味しい」ポロポロ 淡「生きてて良かったねテルー、キョータロー」ポロポロ 京太郎「泣くほどですか!?」 淡「勿論」ポロポロ 照「泣かない京ちゃんがおかしい」ポロポロ コンマ判定 好感度上昇安価 0~10 小 11~30 中 31~99 大 416 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 00 09 04.35 ID 02Yfjm4T0 [2/6] 照と淡の好感度が10上昇しました 京太郎「うっぷ……もう夜ですね」 照「そうだね、次は……」 淡「次は……どうしようかな」 こいつら……化物かよぉ!? 照「今日はご褒美だから」 淡「ねー?」 照「あれは!?」 淡「はっ!?」 京太郎「!!」 安価 コンマ判定 0~5 謎の黒服 6~10 狂気のネリーと明華 11~60 デパートの最上階でスイーツが食べれる所 61~99 夜景がとても綺麗なホテルでスイーツがとてもすばらっな所 安価下1 424 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 00 18 15.60 ID rohisEfu0 すまない、今日はこれから用事だ。 今日はここまでです。また時間が空いたら投下します 437 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 05 42 07.85 ID kzA4bJe70 [1/3] 逃げてからの過程って1番大事だと思うんだ、知らねーけど さて、皆様いらっしゃいますかね? 440 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 05 54 32.54 ID JbudEjYQ0 [1/2] ちょっとやって行きます 京太郎「わぁ……」 京太郎「デパートの最上階って凄いですね!」 淡「外が凄く綺麗!」 照「うん、分かったからスイーツ」 京太郎「これならスッキリしたし、少しぐらい……」 照「あ、店員さん」 店員「はい」 照「ーーーとーーーとーーーとーーーとーーーとーーーーーーとーーーーとーーーとーーーーとーーーで」 淡「ーーとーーとーーーとーーーとーーーとーーーーとーーーーとーーとーーとーーとーーとーーとーーとーーで」 京太郎「」 照「京ちょんは?」 京太郎「パス……で」 442 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 05 59 12.70 ID vCTm+78W0 [1/2] 照「京ちょんは?」→照「京ちゃんは?」 に訂正 京太郎「」ウップ 照「美味しかった」 淡「最高だったねーテルー、京太郎」 あれ?呼び方変わった? 京太郎「てか、良く全部食えたな……」 淡「高校百年生の私には余裕だよ!」エッヘン 京太郎「はい、そうですか」 淡「あー!ひどーい!」 好感度上昇安価 コンマ判定 0~50 中 51~99大 安価下 444 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 06 06 36.49 ID 7rBHreNh0 [1/4] 照と淡の好感度が20上がりました 京太郎「さて、そろそろ帰るかな」 照「……」 淡「……」 ん?二人の様子がおかしいな…… どういう事だ? 1.「あのね、京ちゃん」 2.「あのね、キョータロー」 3.「「あのね……」」 4.「またね……」 5.自由安価、淡か照のセリフ 非常に重要な安価です。 よくよく考えて選んでください。 安価下4 449 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 06 46 51.40 ID IUwTevBp0 [1/3] コンマ神の降臨はよくしてるんだけどね、ね、ね 照「あのね、京ちゃん」 淡「あ、じゃあ私帰るね!」 京太郎「え?」 淡「京太郎。テルーを泣かしたら承知しないよ?」 淡「それと、私とはもう合わないでね」 淡(会ったらどうにかなっちゃいそうだから……)スタスタ 京太郎「おい!淡!?」 照「淡……ありがとう」 照(淡もきっと……なのに) 照「京ちゃん」 もう抑えられない。 気持ちを伝えよう。 照「私、京ちゃんの事が」 照「ーー好きです」 京太郎「!」 ※重要な安価です。 よく考えてください。 1.「ありがとうございます。俺も照さんの事が好きです」 2.「……待っててもらえますか?」 3.「俺も好きだけど……でも……!」 4.「ごめんなさい」 5.自由安価、好きなセリフをお願いします 安価下4 454 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 06 56 52.56 ID RjUpNn3+0 京太郎「……待っててもらえますか?」ボソッ 照「え……でも」 京太郎「ここでは目立ちます」ボソッ 照「!」ビクッ 京太郎「常に見られている感じがしますので、後でメールをします」ボソッ 京太郎「ごめんなさい」 京太郎「帰りますね」 照「……」ポツンッ 京太郎「……」スタスタ 照「……」ポロポロ 照「ふら……れた」ポロポロ 455 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 07 04 53.01 ID GdQOGTD40 [1/5] テルールート直行 夜 京太郎の部屋 京太郎「……」 盗聴器も仕掛けられてる可能性がある…… 監視の恐れもあるからハオと適当なLINEでもしながら、テルさんにメールを送ろう。 照さん 俺も照さんが好きです。 このメールは誰にも見せないでください このメールを見た瞬間消してください 見た瞬間はしゃいだりしたり、何かしたら駄目です。 好きですけど、まだ待っててください。 必ず、必ず、向かいに行きます。 456 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 07 10 15.29 ID 7rBHreNh0 [2/4] ハオ「ん?」 ハオ「京太郎からLINEですね、どれどれ?」 ハオ「……」 ハオ「まぁ普通の内容ですね」 ーーー 照の部屋 prrr 照「ん……?」スッ 照「!」 とても嬉しい内容のメールが来た。 どうやら両想いだったようだ。 そして、京ちゃ……京太郎には深い理由がありそうだ。 でも、私が出来る事は一つ。 まずはメールを削除して。 照「……」 京太郎 待ってる。ずっと待ってる 458 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 07 16 59.47 ID 02Yfjm4T0 [3/6] 京太郎「……」 彼女が出来た。 メールは削除。 もうやる事は分かってる。 けど、この肉体じゃあ心許ない気もするな、うん。 わざと孤立してから引きこもるか、失踪してしまうか。 よく考えよう。 もう臨界での日常はあり得ない、俺も馬鹿じゃないから分かってしまった。 今の学校はとても危険だ。 それに、まだ相手は何もしてこないだろう。 留学生が相手で良かった。 でも、智葉さんは…… 京太郎「もう寝るか、おやすみ」 475 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 16 21 25.71 ID vCTm+78W0 [2/2] 寝てたよ…… ここから色々な安価が重要になってくるんだよなぁ 朝 行動フェイズ 京太郎「さて……何をしよう」 1.登校 2.サボる 3.ひきこもる 4自由安価 安価下3 479 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 16 30 42.47 ID GdQOGTD40 [2/5] 京太郎「よーしサボるか」 照さんと淡と遊んでる時……確かに見られてたと思う。 やっぱり智葉さんの言う通り……これから大変……なのか? 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「ネトマで勉強しよう」 4「メールしようかな」 5「電話しよう」 6「LINEしよう」 7「念の為に鍛えるか」 8学校の様子を覗き見 9.バイト 10.自由安価 安価下4 485 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 16 33 53.59 ID GdQOGTD40 [3/5] 京太郎「念の為に鍛えるか」 京太郎「ふんっ」ギシッ 安価下 コンマ判定 0~30 小 31~60 中 61~99 大 487 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 16 37 37.96 ID GdQOGTD40 [4/5] ゾロ目ボーナス!(白目) 京太郎「それにしても……この筋トレ方とプロテイン……物凄く効くなぁ……」 筋トレポイント96/100 行動フェイズ 昼 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「ネトマで勉強しよう」 4「メールしようかな」 5「電話しよう」 6「LINEしよう」 7「念の為に鍛えるか」 8.学校の様子を覗き見 9.バイト 10.自由安価 安価下1 490 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 16 40 23.16 ID GdQOGTD40 [5/5] ちょっと離脱します。すぐ戻ります 京太郎「鍛えるか……」 どう転んでもmaxなのでコンマは省略 筋トレポイントmaxになりました 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「ネトマで勉強しよう」 4「メールしようかな」 5「電話しよう」 6「LINEしよう」 7.学校を覗き見 8.バイト 9.自由安価 495 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 16 57 22.83 ID kzA4bJe70 [2/3] バイトするか 京太郎「この時間だと……」 京太郎「工事現場ぐらいしか無いよなぁ……」 ーーー 土方「京太郎おおぉ!」 京太郎「はぁぁぁい!!」 ーーー 京太郎「……疲れた」 土方「もう、夜も遅いな」 土方「ほら、給料」 京太郎「ありがとうございます」 「次の現場は奈良かよ……」 「旅館の改装だってよ」 「だるいわー」 京太郎「?」 京太郎「帰るか」 496 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 16 58 05.15 ID kzA4bJe70 [3/3] 行動フェイズ 夜 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「ネトマで勉強しよう」 4「メールしようかな」 5「電話しよう」 6「LINEしよう」 7.学校を覗き見 8.バイト 9.自由安価 499 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 17 14 07.61 ID JbudEjYQ0 [2/2] 京太郎「よっしゃ!!」 京太郎「ネトマだ!」 ネトマポイントmaxになりました 京太郎「今日はトップランカー!のどっちと勝負だ!!」 ーーー 京太郎「ボロ負け……」 ピロンッ 京太郎「ん?チャットが飛んで来た」 京太郎「どれどれ……とても筋が良かったです」 京太郎「初心者にしては素晴らしかったです」 京太郎「また打ちましょう。これは私のサブのメールアドレスです」 京太郎「おぉ……のどっちのメールアドレスをもらったぞ、登録しておくか」 501 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 17 20 27.24 ID XUT0U/sh0 京太郎「そろそろ寝るかな……って」 prrrrr 京太郎「電話だ」 電話の相手は? 自由安価下5 今までに出会ったキャラでお願いします 509 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 17 26 46.08 ID xM9k7R830 [1/6] 京太郎「ん?」 健夜『もしもし』 京太郎「あ、健夜さん」 健夜『最近どうかな?』 京太郎「最近はまぁちょっと忙しいですね」 健夜『京太郎君はモテるもんね』 京太郎「あはは……そんな事あるかも……しれませんね」 健夜『がんばってねー』 京太郎「はい」プツッ 一日が終了しました 511 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 17 33 53.34 ID xM9k7R830 [2/6] 健夜の好感度が10上がりました 依存度150超えの放置は危険。だが、接触もかなり危険。 好感度・依存度まとめ ネリー 好感度max 依存度199 智葉 好感度max 依存度186 明華 好感度max 依存度151 ハオ 89 ダヴァン 好感度max 依存度101 健夜 好感度max 依存度104 淡 好感度max 依存度136 照 好感度max 依存度147 ←照の依存度はもう上がりません。後は下がるのみです モテるなぁ京太郎 512 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/03(土) 17 35 02.12 ID xM9k7R830 [3/6] 朝 行動フェイズ 京太郎「さて……何をしよう」 1.登校 2.サボる 3.ひきこもる 4自由安価 安価下3
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3407.html
黒髪の女と金髪の男が歩いている。 夜空の下だ。月下に晒され、互いの姿が照らされている。 「じゃあ、東横さん、俺はここで」 「はい、さよならっす」 立ち止まったのは、バスの停留所の前だ。別れを告げ、ゆっくりと名残惜しげに女のほうが去っていく。 数度、振り返るたびに、寂しそうな笑みを男に向けて。 〇 炎天下だ。既に七月ともなれば太陽はその勢力を増し、勢いを強める。 汗が滴る。額の水滴を白のワイシャツの袖で拭い、男は一息をついた。金髪の男だ。 端整な顔立ちは軽い歪みを見せ、息は喘いでいる。 「ああ、くそ、何で俺はこんなところに来ているんだか」 男はぼやくかのごとく呟く。 理由はあった。男はとある部活動に所属していた。麻雀部という。 清澄高校麻雀部。今年県予選を突破し、インターハイに出場することになった。弱小――、否"元"弱小部だった。 男はそこに所属していたが、男性部員は男一人しかいないが故に、ある種雑用ともいえる立場に存在している。 男はそれをどうと思ったことはない。男自身、自身が弱いと理解しているし、女性に頼りにされるのは嫌いではない。 何より、女性に頼られるというのは男としてひとつのナルシチズムとでもいう何かをくすぐられるのは快感だ。 ――まあ、それが雑用という立場というわけだが。 努力をしていないわけではない、入部してすぐに役は覚えた。符計算もできる。戦術とその理論も理解した。 されど、結局のところ――、圧倒的に経験が足りない。 「まあ、俺は俺のペースでゆっくり行けばいいさ」 男は息を整え、歩みを続ける。 と、 「わ」 「きゃ」 衝撃がくる。鈍く感じたそれは人と接触したものだ。当たったそれは軽く此方に損傷はないが、 「あたた……」 男の目の前に、一人女が尻餅をついていた。 ああ、と男は呻いた。 ――少しボーっとしすぎたかな。 失敗したな、と思いつつ、男は手を差し伸べ、 「えっと、ごめん。立てる?」 声をかけた。 沈黙。 ――あれ、俺何か間違えたことしたか? 思考の波が来る。対応を間違えたとは思わない。少なくとも紳士的な行為に分類されるはず――、はずだ。 「あ、あの」 声。控えめに女の声が来る。 「貴方は、私が見えるっすか?」 女の問いを不可思議に思いつつ、 「ああ」 肯定の意を示した。 「そ、それ本当っすよね? 実はからかったりしてるとかそういうオチじゃないっすよね!!!??」 「??? あ、ああ」 弾丸を髣髴とさせる勢いで女がまくし立てる。男は意図がわからない。 まあ、とりあえず――、 「と、とりあえずどこか座れるところでゆっくりしよう」 男は提案した。 都会というにはこじんまりしている。精々、市とでも呼ぶ規模の一意の片隅に小さくまとまった喫茶があった。 モダン調で明治を髣髴とさせる。外装は赤いレンガと目立つのに、意識せねば目立たないような喫茶だった。 店内は薄暗く、天井にはゆっくりと回転する三本の羽で構築されたオブジェが釣り下がっていた。 「いいところだね」 「そう思ってくれるっすか? それなら案内した甲斐があったっす」 既に汗は引いていた。 店内は薄く冷房が効いていて、快適だ。 男は、手を上げ、従業員を呼んだ。 「アイスコーヒー、二つ」 従業員は慣れた手つきで注文を書き込み、再度確認をとり厨房に戻った。 「え、と」 軽業、早業ともいえるそれにあっさりとおいていかれた女性の顔を見て、 「ああ、ここは奢り。気にしなくていいよ」 男は言った。 「でも」 女が声を続けようとするが、男は制止を促し、 「男はさ、格好つけたい生き物なのさ。ここは俺に格好つけさせておいてくれよ」 笑う。 「案外気障っすね」 女は釣られて笑った。 「褒め言葉さ」 そういえば、と、 「名前、聞いてなかったな。俺は須賀。須賀・京太郎。清澄高校の一年」 へえ、と女――桃子は声をもらす。 「結構、大人びてるのに一年っすか。ああ、私は桃子。東横・桃子。鶴賀学園の一年っす」 その言葉に、男――、京太郎は少し目を見開き、 「君、和と戦った子か」 「? しってるんっすか?」 知っているも何も、 「まあ、控えのほうで見てたからね」 「もしかして、やるんすか? 麻雀」 ま、ね、と、 「俺は弱いから、ただ見てただけだけどね」 情けないな、と思う。先ほど男は格好をつけたがる生き物と吐いた割にはまったく格好がつかない。 しかし、それを気にしてないかのように桃子は笑って、 「けど、続けてるんっすよね? 麻雀」 「ああ」 即答してみせた。 「なら、いいと思うっすよ。継続は力なりって言うっすしね」 そうだな、と男は思う反面、不安がよぎる。端的に言えば、怖い。 麻雀は今、はやっているというよりは世界的に認められた娯楽の一つだった。 多くの男女が職業のひとつとしてプロ麻雀師を目指すこともある意味普通だ。 規模は男性のほうが大きいはずだった。 ――焦り、だよな。 自分は自分のペースで、そんな思いの反面が京太郎の心を蝕む。 怖い。女性においていかれるということが怖い。 中学の三年を友人として過ごした女性においていかれている現在の状況が、 麻雀部の一人だというのにおいていかれているという状況が、否――、 ――怖い、か。 恐れている。自分が必要とされなくなる状況が。怖い。 県予選を突破し、インターハイに出場するとなれば知名度が上がる。 そうなれば来年の入部者が増えるのは明確で、しかし、だからこそ、 ――雑用としての立場すら失われていく、か。 もしも来年、入部者が現れれば雑用等の仕事も結果としてその入部者、来年の一年生に繰り越されることとなる。 だが、それは今の京太郎の立ち居地すら危うく――、 ――って、何考えてんだ、俺は!! 頭を振った。あまりにも嫌な未来予想図を振り払うかのように。 そもそも、来年まで雑用をやっているなんて考えている自分がみみっちい。 雑用しすぎて、犬根性が染み付いたのかもしれない。嫌なものだ。 「どうかしたっすか?」 桃子が不安そうに問うてきた。 なんでもない、と京太郎は言いつつ、 「そう言えば、東横さんは何であんなところに?」 京太郎は問う。 ありていに言えば京太郎は雑用で遠出をしていた。 清澄と鶴賀はほぼ反対の方向に位置し、用事がないならばあまり向かうこともない。 用事はひとつ、タコスだった。 部員の一人にタコスをこよなく愛する少女がおり、鶴賀のほうに新しくできたタコスの買出しを命じられたわけである。 本来ならば断るところだが、京太郎に断る意思はなかった。心理的な要因が閉めるのは確実で、 ――こういうのがだめなのだろうけど。 部活内部での立ち居地をどこか必死に守ろうと、断ることができない。 桃子は笑って、 「あ――、なんて言えば良いんっすかね。まあ、単純に言えば散歩なんっすけど」 何かを含んだような、笑み。 「ちょっと自分が分からなくなって」 顔に翳りが表れてくる。 「県予選でうちが負けて、三年の先輩たちが引退して」 あ、と桃子が笑って、 「そう言えば、前提が分からないっすよね」 私は、と桃子は、 「私は影が薄いんっすよ。須賀さん、カメラ越しだからわからなかったでしょうけど。普通の人に私は見えないんっすよ」 手を差し出され、 「握ってみてください」 京太郎は息を呑み、軽く桃子の手を握った。 熱がある。肉の感触が自身の手を包んだ。柔らかく、肉感的なそれは確かに生の鼓動を京太郎に穿つ。 「どうっすか」 「どうって、その、柔らかい、かな」 なんつーか、セクハラみたいなせりふだな、反省。と、思考し、 しかし、彼女は笑い、 「ありがとう」 手が離れていく。若干の名残惜しさを感じた。 「私は、私は確かにここにいる。だけど誰からも見えないほどに影が薄い」 「小さいころからね、私はこうだったんっすよ。ほら、出会ったとき、何度も確認しったっすよね? これが原因なんっす」 少しだけ楽しそうに、 「いつもいつもつまらない。一言で言えば灰色みたいな毎日は、先輩のおかげで終わった。終わったように見えたんっすよね」 しかし、寂しそうに、 「けど、やっぱり長くは続かないみたいで、ね」 「私をよく見てくれていた先輩も、大学に進学するとかで、特別補修だとかで顔を現すことが少なくなって」 「麻雀部での私の居場所が分からなくなったんっすよ」 それは、と、 「私はある意味、その先輩のために麻雀部に在籍していたから」 「そこに居続ける意味の支柱が抜け落ちたみたいで、なんというか空っぽみたいな――」 似ているな、と京太郎は思った。 彼女は自分に似ている。立ち居地に悩む。自分と。 まるで、空気みたいな――、 と、 「あはは、いや、すいません。急にこんな話振られても困るっすよねー」 彼女は笑う。無理をしたような、笑み、 京太郎は堪らず、 「良いなぁ」 そんな言葉を漏らしていた。 桃子は少し語りすぎたかな、と多少失敗したような感覚を思うが、唐突に来た声がそれをさえぎった。 「俺は、さ」 京太郎は、 「そんな風になれなかったから」 何かを搾り出すように、 「誰かのためになるほどの力がないから、雑用で甘んじて、それを仕方ないと思って」 告げてくる。 「分かってるんだ。努力が足りないってさ。身にしみてる。努力はしてても足りないってさ」 それは告解のようで、 「天性の才も、環境もなかったのに、努力しなきゃ追いつけないなんてとーぜんの理屈。なのに、俺はどこかで言い訳している」 懺悔のよう。 「"弱いから"そうやって逃げている」 あぁ、と京太郎は呻き、 「だから、羨ましい。嫉妬すら覚える。誰かのために、それだけの思いをもてる東横さんが羨ましい」 自嘲がくる。 「――悪い。今のも結局逃げだったよ。何よりも自分を思ってくれる何かを思う、なんて逃げだよな」 「東横さんとは状況が違うみたいだし、さ」 桃子は息を呑む。 その姿はどこか疲弊している。 そして似ていた。 ――本当に似ているっす。自分と彼は。 言葉にできないようなどこかが、自分と似ていた。 「悪い、今のオフレコ。気にしないでくれ」 京太郎が目元を手のひらで覆う。 それはまるで、見られたくないかのような仕草。しかし、桃子は見つめ続ける。 放っておけない。このままだと、どこかに消えてしまいそうな雰囲気があり、それは儚いような、きっとそんな感じ。 「失礼します。アイスコーヒー二つです」 割って入るように従業員の声がする。 テーブルに置かれたアイスコーヒーは既に水滴にまみれていた。 〇 帰りがけ、既に買い物を終えて、京太郎はバスに乗り込んだ。 そこそこ時間がたってしまった。 右手を見る。携帯を握る手はアドレス帳を開いており、 そこには新たに名前が加わっている。 『東横・桃子』 喫茶店で連絡先を交換して別れた。 帰り際に見せた笑顔は、どこか儚げだったことを覚えている。 『必ず、連絡くださいいっす』 そう言って、彼女は笑った。 消えてしまいそうだと思った。だが、 「暖かかったな」 握った手を思い返す。それは生の実感を感じさせるには十分だった。 ――さて、どうしようかね。 京太郎はメール画面を開き、文脈を思った。 そもそも、いつから京太郎は自らが、他者のために動くことを是としているのだろうか、と思考する。 ――ああ、そうだ。 あれは確かまだ、中学生のころか。 今だ、咲との仲が深くなっていない時期。接点が図書委員というだけの中だった時期。 放課後、一人、山積みとなった本に埋もれて読書をしている咲の隣に座った時だ。 京太郎もつられるように、何となく一冊の本を手に取った。 とったのは単純な自己啓発の本。タイトルはありきたり、内容は凡庸、ハードカバーで内容以上の値段。そんな本。 たまたまとったそれを、斜め読み、最初は捲る手もゆっくりだった。 しかし、捲るにつれてだんだんと速度は飛躍的に加速していく。 それを見つけたのは、いまだ自己形成段階の中学という時期だったからか、京太郎はあまりにもそれに影響を受けた。 否、受けてしまった。 『あなたは本当に必要な人間なのか』 『必要とされる人間になりなさい』 端的に言えば、そんな内容。 しかし、その言葉が嫌に響く。 金槌でたたかれたような、そんな気分。 それからだろうか、京太郎が他者のために自らをすり減らすようになったのは。 ○ まあ、それは、今となっては記憶の片隅にしまわれたモノ。 未だに夏の暑さは引くことを知らない。汗で張り付いたシャツが不快感をあおる。 涼しい場所で一服したいと、思うが、 ――"彼女"が来る前に移動もできるはずがないか。 吐息。 頬をかけば、水滴が指先につく。鬱陶しげに振り払う。 と、 「あ、須賀さーん、待ったっすか?」 声が来る。数日前に出会い、知り合った女の声だ。 「いや、待っていないさ」 京太郎は笑みを見せる。 しかし、女は目ざとく、 「須賀さん。汗でシャツ張り付いてますし、色も滲んでるっすよ? それ、十分二十分じゃならないっすから」 ばれてたか、と思うが、 「時間指定のミスのせいで待つことになったのは待つって言わないさ」 どちらかといえば地方に属する長野の地は、やはりバスの本数が少ない。 そのせいで適当に時間を指定した罰が当たったらしい。京太郎は炎天下の下で待つことになったわけである。 「むー、まあ、いいっすけどね」 どこか拗ねたような彼女が面白い。 「それじゃあ、行こうか」 京太郎は告げて、歩き出し、 「そうっすね」 その隣に沿うよう、彼女――、桃子も動き出した。 〇 出会いは三日ほど前。京太郎がいつものように雑用をしていたときだ。 どのような采配か桃子と出会った。 その後軽い連絡を取り続け、休日に会うことになったのだ。 「さて、どこに行こうか?」 京太郎は問う。 「さあ? っていうか、どこに行くか決めてなかったんすか?」 攻めるような視線を逸らしつつも、しかし、 「悪い」 素直に謝る。確かに、甲斐性としてはここは男性が動くプランを立てておくべきだった。 困った様子を見られたらしく、ほんの少しだけ笑顔を見せた東横は悪戯っぽく、 「うそっすよ」 笑って見せた。 不覚にもその笑顔は可愛い。 〇 「いやいや、面白いことになってますなー」 女の姿が見える。二人の影だ。 一人はどこか猫を髣髴とさせるトリックスター然とした女。一人は理知的に見える清廉とした女。 二つの影が追うのは一つの目標だった。 情報は理知的に見える女――加治木・ゆみからもたらされた。 東横・桃子の所属する部活の副部長、加治木が二日ほど前に携帯の前で挙動不審な後輩を見たことが原因だ。 最初は容貌が見えなかったが、だんだんと崩されていく断片的な情報が拾い集められ、 ・東横・桃子が男とであった。 ・その男は清澄高校の男である。 ・休日にデートする。 こういったことである。 「――情報を渡したのは正解だったのだろうか?」 加治木は頭を抱える。 興味があったのは事実だ。入れ込んでいる後輩が幸福を感受している姿は悪くない。 特にその後輩の桃子は自分に依存している節があった。 哲学的に言うのならば、永遠は存在しない。時に季節があるように、人も時を刻んで換わっていく。 だから、 ――これで、モモも変わることができればいいんだが。 分かれはある。必ずだ。望むも望まぬもかかわらず。 だから、後輩が良く変わっていくのを見届けたいと思う気持ちはある。 しかし、罪悪感はあった。 「なあ、今からでも遅くはない。尾行などやめたほうが――」 ふう、とトリックスター然とした女――、竹井・久は分かっていないな、そんな笑みを浮かべて、 「あのねえ、ここまできたら引くことなんてできるのかしら?」 う、と加治木は唸る。興味がなければここには居ない。 「だが」 「あ、ほら、行っちゃうわよ? 行きましょう」 進むことを前提としているかのように動く竹井に加治木は頭を抱え、 ――妙なことにならなければ良いが……。 自身が原因であることを忘れ、そう思ってしまう。 桃子は踊ることが好きだ。踊っているときだけは誰もが自分を感知する。 今ではかつてほどではあるが、だからといって嫌いになったわけではない。 「ほ、よ」 鮮やかな足並み、ステップを、小刻みに、粋に、軽い足取りで、 「と」 回転を一つ、そして静止。 ダンスゲームの筐体から降り、点数を見る。高得点。 「凄いな」 桃子はそんな京太郎の呟きに心を良くし、自慢げに胸を張る。 「当然っす」 「いや、本当に凄いよ」 少なくとも俺には無理だ、と京太郎は言う。 ――無理、か。 桃子は、京太郎がその言葉を口に挟むとき、どこか暗いものを吐き出しているように感じる。 自分には無理だ。そういうことを言って、自己を正当化する感覚。 それは、味わったことのある感覚で、 ――そう、無理、っす。 かつてがいつかを侵食し、いまになる。 自分は今、かつてほど無理を思うことはなくなっていた。 ――助けたいっすよね。 傲慢かもしれないが、それはかつて敬愛する加治木から与えられたそれであり、 かつて背負い込んでいた無力感を感じている目の前の人を、 ――少しでも和らげたい、そう思うのは傲慢じゃないっすよね? 思う。 「須賀さん、無理、なんてそう簡単に言うもんじゃないっすよ」 だから、"私"は笑ってみせる。 〇 ――無理なんていうもんじゃない、か。 そうだよな、と分かっちゃいるんだけどね、と心に渦巻いた。 無理、そういった瞬間から、可能性は本当に無理に変化する。 ――分かっていても、実行できるかは別問題、か。 言うは易し行うは難し、詰まるところ単純にそう帰結する。努力"しよう"と"する"はまったくの別問題だ。 「ああ、そうだな」 だから、返したのは生返事だった。 ――こりゃ、相当やられてるみたいっすね……。 桃子は思う。 "かつて"の自分と同じだ。 否、症状としては京太郎のほうが酷いかもしれない。 自分は焦る必要がなかった。友人を望んだこともあったが、いつかそれすら止めた。 相手に合わせる必要を持たずとも良い状況だった。重責を必要とせず、ただ流されるままでも良かった。 しかし、京太郎の今は、違う。実力がないことへの苛み、危うい立場への焦燥感、 気持ちと肉体がすりあわない矛盾への怒り、それらが急激に合わさり濁流のように京太郎の今を飲み込んでいる。 桃子はそう理解する。息を吐き、 「じゃ、須賀さん、ほかのところもまわって見ましょ」 桃子は京太郎の手を取った。 〇 「ほうほう、なかなかに大胆な子ですな」 竹井はチェシャ猫を髣髴とさせる笑みを持って二人を見つめる。 「意外だな」 問う呟いたのは加治木だ。 「ふうん? 何が」 「モモがあそこまで彼に入れ込むことが」 そう? と、竹井の声に生返事で返す。 しかし竹井は、 「いやいや、ある意味当然なのかもね」 軽くそういってみせる。 「それは――」 「ま、ある意味私のせいでもあるんだけどね」 ばつが悪そうに竹井は後頭部を軽く掻いてみせる。 ああ、と、 ――きっと、こいつにはもう何もかもが――、 幾度か会う機会が設けられ、それなりの会話もしたが、話せば話すたびに、 ――あらゆるものを見定められているような……、 深い洞察力からくる、何もかもを見通すような魔眼に睨まれているような、そんな気分を思わせる。 「ま、良いわ、行きましょう」 だが、すぐに表情を切り替えて、 「あ、ちょっと待て……!!」 加治木は竹井を追いかける。 〇 楽しかった、と京太郎は素直に感じた。 振り回されるようだったが、幾分か気分は楽になった。 目の前でアイスコーヒーを飲む桃子を見て、そう思う。 手の中に納まるアイスコーヒーは冷たく、舌に落ちる液体は苦く、しかしそれが身を引き締めるようで逆に良い。 ねえ、と、声が突然来る。とっさに身構え、 「あはは、そんなに身構えなくても良いっすよ」 桃子の言葉にゆっくりと肉体を落ち着かせる。 ――ったく、俺はいったい何をやってるんだか。 「ねえ、須賀さん。今日は――楽しかったっすか?」 桃子の問いが来る。 「? ああ」 答えるが、 「本当に?」 再度の問いかけがくる。 「ああ」 告げる。 「……なら、よかったす」 意図が分からない。 「えっと、どうか、したのか?」 京太郎は問う。 「それは、っすね」 一瞬のいいよどみを経て、 「須賀さん。似てるんっすよ」 言った。 「かつての、私と」 これは切開だ。心をこじ開ける余計なお世話。かかわってほしくないところにかかわろうとするような――、 「今、須賀さんは思ってるはずっす。自分は無力、居場所はない、価値を見出せない」 うまい言葉が見つからない。ゆえに陳腐。しかし痛烈。オブラートはそこに存在せず、 「かつての私もそう。望んでほしい。望まれたい。だけど、それを思われない」 「必要とされず、気づけば孤独。ようやく見つけた陽だまりは、時が過ぎれば朧に消える」 「たとえまた会うことができるとしても、いつかは今と同じではない」 吐息、 「孤独だけではなく、不安まで押し寄せて一切合切を飲み込み、そしてなくしていくような感情がただもまれているような」 「不安定な感情を宙の間で吊り下げられているような不安とも言い切れない不定形な感情」 ねえ、と、 「須賀さん。貴方は望んでいるんっすよね? 望まれることを。確固とした立ち居地を。"自ら"にしか望まれない"何か"を」 何もかもを言い終えたように、口をつぐんだ。 京太郎を見る。 目に光はなかった。 それは何もかもを言い当てられたかのような顔。 「御見それしました、とでも言えばいいのかな、俺は」 絞り出された声は細く、 「まったくそのとおり、なんだよ」 頼りがない。 「雑用なんてさ、前にも言ったけど俺じゃなくてもできる。来期の一年生がどうにかする。少なくとも、今の麻雀部で、 咲は咲じゃないといけない。和は和じゃないといけない。優希は優希じゃないといけない。先輩は先輩じゃないといけない。 俺は――」 ああ、 「俺じゃなくても、良い」 涙がくる。押しとどめていた堤防を決裂させたように――、 「俺の価値は、俺がそこに立つ位置はどこにあるんだろう。部活に顔を出すたび思うんですよ」 流れていく。 「雑用を引き受けることで、部活動に専念してもらうことができる、そう思うことでやってきた。やってこれた」 「けど本当は思っていた。見ない振りをしていた。そもそも、俺は必要であるのだろうかって」 桃子にはそれが理解できた。同じだった。 自分の価値がどこにあるのかを理解できない。理解することを望めない。 ――ある意味、悲しいっすよね。 目の前に居る少年は本当に"普通"の少年なのだろう。 自身のように影が薄いわけでもない。しかし、 ――だからこそ、埋もれてしまう。 これは加治木との交流を経て気づいたことだ。 本当は、自分も、いわゆる"かつて"望んでいた"普通"となんら変わりないということに。 人は結局のところ普遍的に普通であり、テレビに出るような芸能人ですら拾われなければただの"人"と変わりがない。 自分はある種特殊な立場に存在しつつも、結局のところ何にも"普通"と変わりがなかったのだ。 ただそれが"他者"と違う視点から気づいただけの話で。 そしてそれゆえに、 ――やっぱり、同じなんすよね、私と彼は。 人はあやふやな存在故に、あやふやな状況であることに気付かない。 自らの立場がいかに砂上の楼閣のような物であろうとも、それが自分の立ち位置だと思い込む。 そこには他者が割り込むことができるというのに。 しかし、気づかない。気づけない。気づこうとしない。気づいてしまえば、 ――怖いっすもんね。 そこが立ち位置だと思っていた何もかもがただの夢幻のようであることを、理解することが。 しかし京太郎は気づいてしまったのだ。 もしも、周囲の人間が京太郎と同じような人間なのならば、きっと彼はそれに気づくことがなかった。 だが、周囲にいるのは全員がスペシャルというやつで、 ――そこに必要とされている人間っす。 その違いを対比し、自らの危うい立ち位置を認識し、 だからこそ飢えている。"望まれたい"その願望。 京太郎は今、その思いにとらわれている。 かつて加治木に出会う前、ひっそりと持っていたそれを目の前に居る彼も感じている。 「俺が俺である必要性を望んでほしい。俺じゃなければならない何かがほしい――なのに――」 言葉が終わる前に桃子は京太郎の手を取っていて、 「私が望んであげるっすよ」 そう告げていた。 「私が、貴方が貴方であることを――、"須賀・京太郎"が"須賀・京太郎"であることを望んであげるっすよ」 声が来る。 「私もかつてそうだったっす。私を望む誰かが居てくれることを望んで、そしてその望みはかなった」 「だから、かつての私の位置に居る須賀君を私はほっておけない」 ねえ、と、 「私は、私は望むっす。須賀君が須賀君であることを」 だから、と、 「だから須賀君にも一つお願いがあるっす」 それは、 「私が私であることを望んでください」 桃子は笑って、 「"東横・桃子"と言う存在を見つけることのできる貴方に"東横・桃子"と言う存在を望み、認めてほしい。そう望むっす」 〇 桃子は既に理解していた。 加治木との別れはいつか来る。必ず。必然を必然的に行うように。 このままではいけないということも、理解している。 ――だから、まずは一歩として、 「いかがっすか」 桃子は控えめに問う。 京太郎は告げた。 「喜んで」 まずはまた新しいいつかを構築する今を求めていこう。 それは依存ではなく、 それはただ傷をなめあうような関係ではなく、 それは平等という、 それは対等という、 そんな形で求めていこう。 桃子/京太郎はそう思えた。 〇 黒髪の女と金髪の男が歩いている。 夜空の下だ。月下に晒され、互いの姿が照らされている。 「じゃあ、東横さん、俺はここで」 「はい、さよならっす」 立ち止まったのは、バスの停留所の前だ。別れを告げ、ゆっくりと名残惜しげに女のほうが去っていく。 数度、振り返るたびに、寂しそうな笑みを男に向けて。 しかし、その寂しさにはどこか希望がある。 「二度と、会えないわけじゃないっすしね」 新たな関係を気づくことができた人と別れるのは名残惜しくも、 だが、それがまた楽しくもあった。 「さて、じゃ、来週はどんな内容で遊びに誘ってみるっすかね」 ―終― 既に幾度も逢瀬を重ねて、気づけば恋人という関係になるのに時間は必要としなかった。 ゆっくり、ゆっくりと時間をかけて互いの距離は縮められていき、 「桃子」 「京太郎さん」 既に互いの距離はゼロに等しい。 水音がする。淫靡さが溶け出したような水音だ。 それは口付けの音であった。 互いに求め貪り、そして必要であるということを確認しあうようにだ。 既に肌は上気している。目の前に居る桃子の肌はまさしく桃のようで、 ――綺麗、だな。 そう思った。 肉体を反転させる。ベッドの上に肉体を下ろす。自身が桃子を見下ろす形に持っていき、 「剥がす、ぞ?」 声の変わりに一度、頭部を立てに振るという挙動でその行為への許可がくる。 胸元のボタンからゆっくりとはがし、しかし、どこか獣のような挙動で手を動かす。 情けないことに男とは目の前に餌があればがっつかずにはいられない性分らしい。挙動はだんだんと早くなり、 「~~~~~!!」 上半身が裸体として晒される。 しかし手は止めず、自らのシャツをはずしていく。 京太郎が行ったのはまず互いの上半身を重ね合わせることからだった。 「――」 「――」 そしてそれ以上は動くことをせずただその行為だけを京太郎は求めた。 それは互いに"はじめて"であったこともあるだろうし、 かつて互いに"望む"互いであろうというその意思の表れでもあり、そして、体温を感じたいという京太郎の思いもあった。 東横・桃子は相変わらず影が薄かった。京太郎にはその姿を確認できるが、未だにその姿を見失う人間も多い。 否、そちらが大半で、京太郎がその唯一だった。 恐れているのだ。いつか自身の目の前からすら消えてしまうのではないかという心理が、 ただ抱くという行為に踏みとどまらせている。 それに気づいたのか、桃子も京太郎の肉体を握り返す。 互いの肉の隙間が埋まっていき、密着していく。服と服の境界はない。 「求めないんっすか?」 小さく声が来る。 ああ、と京太郎は答えた。 「もう、求めているからさ」 体温を感じるというのも、また一つの求めに他ならないと京太郎は感じる。 闇雲に繋がることは、 ――違うよ、な。 繋がることと互いを求め合うことは等号の関係とは当てはまらない。 繋がるのは原初、男女の概念が生まれたときにできたものだが、 ――求めあうのは、違うはずだ。 求め合う概念は、きっともっと後、互いにかけたことを理解することができるようになってからの話だ。 強く思い。その思いはさらに比例して力になる。 「京太郎さん。痛いっすよ」 その言葉に、あ、と、 「悪い」 「気にしなくて良いっすよ」 だって、と、 「それだけ強く私を望んでくれているのは嬉しいっすから」 頬を染めている彼女は愛しく、 「なあ」 だから、 「求めていいか?」 京太郎はそう問うていた。 ――プラトニックは、ここで終了ってことっすか。 それは覚悟していたことであり、 ――望んでいたことでもあるっす。 それは一線だ。 互いが互いである一線。 この行為は意思を融け合わせる行為であり、互いの意思の交わりであり、だからこそ。 ――意思と意思の一線ってことでもあるっす。 身をもみ合うように動かしつつ、 「はがして良いっすか?」 これ、本当は男の側の言葉っすよね? などと思いつつも、腰にある金属片に手を伸ばし、 ――あ、あれ? ぎこちない動きで手を動かすが京太郎が状態にあるゆえに影となって視界が狭まっているということもあり、 なかなか先に進むことができない。 「ああ、俺、自分ではずそうか?」 いやいや、それはいけない。一度やり始めたことを途中で投げ出すのは許容してよいことではない。 故に、 「わ、私がはずしてみせるっすよ」 必死に手を動かす。 ――な、何でとれないんすか? 単純に下手? 否、そんなことはないはず。 と、 「あ」 一息でベルトが外れた。 得意げに、 「ふ、ふふん、どうっすか? 私にかかればこれくらい簡単っす」 桃子の言葉に京太郎から笑みがこぼれ。 「ああ」 ただその一言がくる。充足感だ。何か満たされたような気持ちが現れ、だから、 「京太郎さん。今度はこっちをお願いするっす」 言葉に、無言で手を伸ばすことで京太郎が肯定を示してくる。金属と金属が小さくすりあわされ、スカートがはずされた。 小さくと息が漏れた。呼吸が激しくなる。心臓が激しく高鳴り、 「いくぞ?」 「――っ!!??」 自身の湿りに、京太郎の下の湿りが這わされ、悲鳴にも似た、しかし悲鳴のような悲惨さはまるでなく、 どちらかといえば快感を思わせるような声が湧き出てくる。 ――ほ、本当に私がこんな声を? 桃子の未だに冷静な部分が無意識にそんなことを思うが、すぐにそれは胡散する。 さらに熱がきた。時間差や、うねりの大小を加え、動くからだ。 「~~~~~~~っ!!」 声にならないような声を上げ、力が急激に腰の部分に来る。そりあがりさらに京太郎に肉を押し付けるようにして、 ――!! 力が抜けた。鉄の棒で支えられていたような状況から急激にその支えを抜きはずされたように思える。 荒い吐息を整えるようにして、しかしどこか名残惜しげに、 「ぷ、は」 京太郎の湿りはそこから失われた。 酒など飲んでいないのに、すでに酔いが回ったかのような気分が桃子の中を駆け抜けていく。 しかし、 「いいか……?」 酔いなどすぐに引きはがされた。 "熱い"ものが桃子の下腹部にあたっている。 ――俺も、まだまだ"男の子"なんだな。 自身が男である象徴を隆起させ、思う。 飢えがある。求めていることを理解させられる。 熱が脳内をかすみがからせ、しかし小さく残った理性がいまだ踏みとどまらせている。 ここがレッドゾーンだ、と。 今、この先を行けば、確実に変化が来る。"求め"と"望み"に。 しかし、 ――"望んで"るんだよな、それを。 それだけは確実だ、と己の意志の所在を己に問いかけ、 そして、答えは来る。 それは両者互いの意志の交わりを意味する。 小さく、小刻みの動作で、ゆっくりと、頭が、――縦に振られた。 それが確認だった。 まずは一度離れた体からすり合わせる。互いの胸の隙間を埋めていくよう、力強く。 そこから腹を合わせ、そして、両者の境界を失わせていき、 ――!! まずは粘性の液体に自身の"男性"が包まれた。液体は熱く、しかしそれは不快ではない温度。 滑り落ちそうなのを必死にこらえ、ゆっくりと落とす。 静止が来た。侵入を阻む壁だ。ゆくぞ、と自分と相手に問いかけるように告げてから、さらに力を籠める。 力を感じた。肉を引き裂くような感触がまず伝えられ、そこからさらに、 ――痛っ……!! 背に痛みを感じた。固いものが突き刺さるような感触に神経が強張り、筋肉が震える。爪だ。 桃子が手に力を入れたと同時に、桃子の爪が背に深々と食い込んでいる。 ――これくらい。 いい。これは男の名誉だ、そう京太郎は意識することで痛みをさらに思う。痛みから目をそむけない。 これは"望み""望まれた"一つの証であると。 だから、京太郎はさらに"求め"た。 比喩的に言うのなら、貫かれたというのが正しい。 異物が無理に自分の中へ入ってくるような感覚を思い、しかしそれを望んだのは自分であるということを捉え、 それゆえにその異物の侵入を許した。 それは一線を越えた証でもあり、 ――互いの"望み"が変化する境界線、っすよね。 いまだに熱が肉体から取れない。そもそも自分の動きがどこにあるかする今だ理解できておらず、 ――けど、 それを心地よいと感じる自分が確かにあることを理解した。 「痛いか」 声がかかる。 「痛いっすね」 だからそれに対し、素直に答えを返し、 「そうか」 「そうっす」 「少し、休むか?」 いえ、と、 「休めば、覚めるっすよ」 そうか、と、言葉を聞き、 「なら、いく」 動きが来た。 痛みがある。それを感じ、しかし多幸感があり、 ――意志の、所在っすよね。 科学が進歩し、そしてさらに発展していけば、男が女を、女が男を必要としない時代が来るかもしれない。 しかし、きっとそれは訪れることはないと思う。 科学と技術の入りいれぬ隙間に、人間の"意志"があり、そしてその所在を男女互いに思い続ける限りは、 その時代が来ることはないだろう。 故に、桃子は求めた。京太郎も求めてくる。 喘ぎ、 貪り、 組み合い、 混じり、 喘ぎ、 語り、 それを繰り返す。 ――そして、 「あ、あああああああああああああ!?」 果てが来る。際限がないなどあり得ないから、その思いの落としどころ、終着点に両者がたつ。 それは、 「っ――、く」 一つの終わりであり、始まりでもあった。 交わったまま、布団の中に両者は存在した。 肉にこもる熱はいま冷めず、互いの熱を自身の熱と勘違いしそうになりながら、自身の意思を思い出す。 「京太郎さん」 声がくる。 「ん? どうした?」 「明日、休みっすね」 「ああ。休みだな」 力が込められた。背筋に腕が回され、 「どこか、行きましょうか」 それに呼応するように、自身も腕を背に回す。 「そうだな。天気予報じゃ晴れだったし、少しくらい遠出しても、良いか」 そうっすね、とゆっくりとした声が来て、 「とりあえず、寝よう。明日が来るなら、また朝にでも」 「ん、そうっすね」 闇が来る。 心地の良い闇が。 来る。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6133.html
某日 部室 和「須賀君」 京太郎「ん? なんだ?」 和「貸していただいたこの小説なんですが、時系列がよくわからなくて」 京太郎「ああ、ちょっとややこしいよな。ちょっと待ってろ」カキカキ 和「凄いですね。あれだけの長編をちゃんと理解してるなんて」 京太郎「そうか? 内容が滅茶苦茶面白くて、キャラが最高に可愛いから覚えるのも当然だろ?」 和「全くもってそのとおりですね」 第四章 優希 第五章 和 第十章 まこ 第六章 久 第十一章 ゆみ 第十六章 桃子 第十五章 宥 第二十一章 玄 第十三章 豊音 第一章 咲 第二章 照 第八章 透華 第三章 菫 第七章 美穂子 第十四章 淡 第十八章 エイスリン 第九章 洋榎 第二十章 小蒔 第十二章 マホ 第十七章 絹恵 第十九章 煌 和「なるほど、そういう順番だったんですか」 京太郎「ああ。でもまぁ、長編だから整合性合ってない場合もあるけど」 和「その辺りも楽しみの一つにしておきます」クスクス 京太郎「っと、いけねぇ。もうこんな時間だ! 早く染谷先輩の店のバイトに行かないと!」 和「あっ、そうですね!(メイド服を合法的に着れるなんて……すばらです!)」 久「和はやたら乗り気ね。それに比べて」チラッ 咲「?」ちま~ん 優希「じぇ?」ぺた~ん 京太郎「それ以上いけない」 和「二つの意味で、ですね」ドゴーン 咲「??」 優希「??」 和「いえ。では行きましょうか」 京太郎「あ、そうだ和。メイド服に似合うと思って、この髪飾り買ったんだ」サッ 和「え? こ、これを私にですか?」ドキドキ 咲・優希・久「「「!!」」」 京太郎「ああ。よかったら付けてみてくれないか?」 和「で、でもこんな高そうなものを……い、いいんですか?」モジモジ 京太郎「気にしなくていいよ。だってこう見えても俺」 和「?」 京太郎「わりとお金持ち」 デデーン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6317.html
ぽつんと、取り残されてしまった。手元には、淡がなめていた飴だけがある。 「やれやれ……あいつの言うとおり、塩送ったことを後悔するかもな……しかし、これどーしろってんだ……」 手元の飴を見る。さすがに舐める気にはなれない。 もったいないけど、捨てちまうか…… と、考えていると、突然にゅっと湧き出した手に飴をかっさらわれた。 「うお?! ……て、え?」 「……」 するとそこにはなんとインハイチャンプ宮永照。口にはすでに棒付きキャンディを咥えている。 「……え、えーと」 「激励に来た、つもりだった」 ぽつりと呟いた。そして、こちらを見上げてくる。 「……役目は横取りされたけど、ね……ありがと、淡の友達さん」 そういって彼女は去ってしまった。 飴の処理はすんだが、どうにも……釈然としない。 「……帰るか」 トイレにしては長く出すぎただろう。大の方でしたといいわけでもするか。 俺は、もうすっかり静かになった廊下を、清澄の控え室に向けて歩き出した。 対面に座った淡を見て、咲は思わず眼を見張る。 (……さっきまでと全然違う) 一回目の半荘が終わる頃には淡はすっかり憔悴しきっていた。 それもそのはず、自分ら3人に徹底的にマークされていたのだ。 (それでも、削りきれなかった) 咲からすれば、完全に想定外であった。それほどまでに大星淡の防御力は圧倒的だった。 京太郎のいう『急所』を見つけてなお、咲は淡を抜き去ることができなかった。 (ここからは他の二人も、敵になる) 残りの半荘、点数を稼ぐため、協力していた二人も問答無用で咲から点を奪いに来るだろう、厳しい戦いになる。 (それに、なにより……) 淡の、眼が違う。覚悟を決めた、強く輝く、星のような瞳。油断も慢心も一切ない、全身全霊でもって、『護り』にきている。 (それでも……負けたく、ない) 起親穏乃が牌をきった。続けて咲もツモり、切り出す。 (私は……勝つ。皆と一緒に!) 大星淡は考える、どうすれば勝てるか。 無論、相手より点数が高くなくてはならない、それは大前提。 そして淡は7000点のリード……これは、あまり大きくない。 3900の直撃、場合によっては5200のツモで捲られるだろう。 しかし淡はこの7000点が、とてつもなく頼もしい防壁に思える。チームが稼いでくれた、私に繋いだバトンだ。 手を眺める。少しだけ考えて、淡は牌を切った。リーチはしない (リーチしてこない……) 先ほどまでも見受けられた傾向だ。手を組み替えて、高い手を作るのだろうか。磐石ではない点差を穴埋めするためか。 (でも、そこが弱点!) そここそが、淡に食らいつくための急所だ。遅れたスタートダッシュ『六向聴』を補うため加速せんと、咲が喰らい付く。 「ポン!」 穏乃の切った牌に鳴く。鳴いて、少しでも早く。 咲は素早く不要な牌を切り出した。 「ロン」 背筋が、凍りつく。 「30符一飜だけ、だけどね。1000点」 黙聴だ。理解して、咲は思わず冷や汗をかいた。 これは、強敵だ。 京太郎は滝のような冷や汗をかいている。 別に、先ほどの淡との会話が誰かにばれたとかではない。知ってるのはおそらく宮永照だけだ。 では、なぜかというと画面内の淡の恐ろしさに、である。 大星淡はテンパイを維持したまま、リーチをかけず黙聴という手を取り、放銃率の低い咲から直撃を奪った。 点数こそ低いが、驚異的なのは速度とその隠密性だ。 (手が遅くなるハンデを背負って、あんなのと打ち合わなきゃいけねーのかよ) 今更ながら京太郎は恐怖した。淡を焚きつけるべきではなかった。まさかこれほどまでの魔物だとは夢にも思わなかった。 (これ咲が負けたら完璧俺のせいじゃねーーーか!!) なんとも情けない話だが京太郎は自分の保身を考えていた。ばれたらやべーなとか、土下座の美しいフォームとか、ハラキリセプクの作法を学ぼうとかだ。 しかし、画面に映る、淡の顔を見て、その煩悩も露と消えた。 (いい顔しやがって) そこには、覚悟を決めて、しかしあの独特の愛嬌も失わない美貌が映っている。とても、いい顔だ。 (頑張れよ……二人とも) 咲に心の中で謝る。この戦いはどちらかの応援ではなく、一人の麻雀うちとして見学させてほしい。 この試合は、きっと素晴らしい試合になるだろうから。 ーーー ーー ー (あぁ……気が遠くなってきた……) 頭をフル回転させすぎて淡は顔がぼんやりと赤くなってきた。知恵熱を初めて実感している。 とにかく、とにかく早上がりを目指し続けた。他家は五向聴以下自分は聴牌というハンデを最大限活かして、とにかく早く流した。 全て安手であったが、相手のアガるチャンスを潰し続けた。 そして、ついに、オーラス。 (……ちくしょー) 手元を見る。配牌は確かに、聴牌、しかし役がない。 (黙聴は無理かー、でもなー、咲だっけ?相手に手を組み直してる余裕あるかなー) 対面をちらりと見る。咲の方も相当余裕がなさそうな顔をしている。じかし向こうはささっと鳴いて、ついでにリンシャン牌を掴んで五向聴を早ければ3巡で聴牌まで持ち込んでくる。なんの冗談かと思うが、自分は人のことを言えないか、と苦笑する。 (リーチ棒出したくないなー) 二位清澄との点差は、わずか2300まで迫っている。1000点の直撃ならまだギリギリで勝てるが、リー棒を出してたらもうアウトだ。 (怖いなー) 頭がボンヤリする。勝負を仕掛けるのが怖い。やはり手を組み替えるべきではないか。しかし、しかし、だがしかし…… (いや、迷うな、逃げちゃダメだ) さすがに今ここで逃げられない、どっちみち黙聴はバレているのだから、先にアガったほうが勝ちというシンプルなルールで行こう、そうしよう。 淡、一世一代の大勝負、点箱から千点棒を取り出し、宣言。 「リーチ!」 場が張り詰める。他二校も、点差は1万程度まで迫っている。誰にでも勝機がある。 (この渾身のダブリー、振り込んでよね) あぁ、手を伏せた後にドッと淡の背中から冷や汗が吹き出てきた。 怖い、ちょー怖い。こんなに緊張した麻雀はいつ以来だろうか。テルーに初めて順位で勝つかどうかの卓でも、これほどの緊張はなかったと思う。 (……この一勝負で考えれば私は20000以上く削られてるよね、ダメだなー、私) しかし、しかし今自分は勝っているのだ、仲間の稼いだ点のおかげで (よし、きめた、とりあえず控え室戻ったらみんなに謝ろう。とくに菫に……いや、菫部長って言ったほうが今はいいよね?多分) 牌が切られてゆく (とにかく早くみんなにあって、謝ろう、そうしよう) 牌をひく、あたり牌ではない。 (で、そんでもって、うちが勝ったら、その後すぐに清澄の控え室行こう。そんでもって、きょーたろーが出てくるの待って、どうだーかったぞーって自慢してやろう、そしてすぐにアイスクリーム食べに行こう) ツモ番が、咲へ回る (……負けたら、そうだな、その時は) 「……カン!」 (あーーーーー) 大星淡は負けを悟った。 ……… …… … あぁ 脚が重い 己の脚はこんなに重かっただろうか まるで、足首に10キロのバーベルをくくりつけているようだ あぁ でも 戻らなくては 控え室に ドアノブに手をかける。 ……決心がつかない。 みんなに、どんな顔をして会えばいいんだろうか 全てを、台無しにして、私はどんな顔をすれば、いいんだろう。 手が動かない、ドアノブを回せない、まるで杭が打ち込まれなように手首が動かない。 だめだ、ダメダメ、だめなんだ、謝らないと 不意にドアが開かれた。 「あっ……」 「……ん?」 その先には、テルーがいた。 あれ?戻ってきてたんだ、と言いたげな顔だ。 あぁ……心臓が潰れてしまいそうだ。 「……ほら、こっち」 「あう……」 手を握られて、引かれるがまま、控え室の真ん中に連れてこられた。 みんなが、私を見ている。 「……ぁ……そ、の……」 謝ろう、そう決めたはずだ。 負けたら謝ろう。精一杯謝ろう。土下座してでも、謝ろう。 そう、決めたんだ、最初の一言は、言い出しにくいけれど。 みんな、私を見ている、と、思う。 私が顔を伏せてるから、表情は、わからない。 怒ってるのか、悲しんでるのか 「……ご……ごめん……」 精一杯口にした それで限界だった。 すいませんでした、とか、申し訳ありませんでした、とか、丁寧な口調を意識したけど、結局出てきたのはこの三文字だけ あぁ、菫部長に怒られるなーって、おもった。 とたんに、何か温かいのに包まれた 「ぇ……テルー?」 「……」 テルーが、私を抱きしめてた。あったかくて、やわらかくて、お菓子の優しい香りがする。 「……いい麻雀だった、淡。私の、自慢の後輩」 「っ」 ずるい そんなこと、いわれたら がまんできるわけないじゃないか 「うっ……ふぇ……うえぇぇぇぇぇん……ごめんなさい……ごべんなざぃ……ごべんなざぃぃぃぃ……みんなの、みんなが、取ってくれた点数……全部、私が、私が……」 強くテルーの体を抱きしめると、強く、抱き返してくれた。 また、後ろから何かが覆いかぶさってくる。 「馬鹿……あんないい麻雀見せられて怒れるものか。チームのために、己を捨てて……頑張ったな、淡」 右から 「淡ちゃんは頑張ったよ……みんな知ってる」 左から 「私の尻拭いで大変だったろう? ……もっと、お前に楽させてやれなくて、ごめんな」 あぁ、やさしくしないで 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!!」 泣き止みどきが、わからなくなっちゃうじゃないか そのまま、みんな、私が泣き止むまで、ずっと抱きしめててくれた。あぁ、一生分の借りを作っちゃったかもしれない。 ー夜ー 「ではーーーーーーーー!清澄高校の団体戦で優勝を祝ってーーーー!!」 { ` /,ヽヽ \ _, -‐ ´ ∟_ \ ヽ / \ /λ ヾ 、 \ へ / |iミ V.彡} l } ヽ 、 ー 、 j |l ノ j| | ゝ 〉 >、 ` ヽィュ_ |i ハ ゝ, {| ヘ \i / \ \``ゝ, }. / ヾ、ヽ ヽゝ `, ヽ / | , -‐ ` ヽ \ ノ. ∠`へ, ' ノ x弋 ヾミ 、 \ 〈 ',. | } } \ }´`ゝ~ ュ _ . 〃 i'〈弋 リ` ´{テ } 〉ヽハ , 乾っ!杯っ! ヽ }. | ´ / ,,_ ゝ,,._ \ゝ 从 ,, , ` ,,, / 从 / ですわーーーーーーーーー!!!!!! ′. ヽ ヘ.__, -‐ ト _ >、  ̄ ` ヽ .\ ', ヘ ャー― , . /ヘ ゙,ソ /j ゝ ゝ ー,,ュ, -‐ ´ ー´,, ` ー- , } ヘ ` ヾ , ヽ ノ , ´{| ゝ /ノ\ `ゝ、  ̄ ゝー‐< ,, _`` ‐- ´ } ヽ ー < | f メ ⅳ \ \ `\ , -‐ `>ー- ェ 〉 \ /V ,ヘー- ュ ゝ ゝ、 ` ,, / /´´ \ \ .` ひ二つ ∧ `ヽ } ー 、 \ , -‐ ´ / ' / ヘ 〉 \ | 、 ノ ヘ ヽ } / ノ ノ 〉、 / i \ ', { 〉 \ \ 「「「かんぱーーーーーーーーーい!!!!」」」 「うるせー……」 マイクによってより煩くなった龍門渕透華の乾杯音頭で、宴会場に寄り集まった長野勢が一斉に飲み物を喉に流し込む。 なんとかアルコールにしてくれと透華は必死にハギヨシに頼み込んだが、流石に無理だと突っぱねられていた。 代わりというか、宴会場を盛大に貸し切ったこの優勝おめでとう会は、どこから持ってきたのか海の幸山の幸詰め込み放題の超豪華宴会である。 「ちょっと!私より目立たないでよ!なんで優勝校の部長の私よりあんたの方が目立ってんのよ!」 「やかましいですわ!こうでもしないとこのssの私の目立ちどころがないではありませんですこと!?」 「ssってなに!?」 やかましく言い争う清澄部長と龍門渕部長を捨て置き、部屋の隅で、京太郎は静かにオレンジジュースを喉に流し込んだ (……いずれぇ) 女三人よらばなんとやら、それならば20人近く集まったこれはなんなのか。阿鼻叫喚か、地獄絵図か、少なくとも男の夢とは言い難い。 (どうしようかな……) そんなことを京太郎が考えていると、ぽんぽんと、肩を叩かれた。 「須賀くん、よければご一緒しませんか?」 そこにはごく最近龍門渕の執事さんだったと知ったハギヨシが、グラスとワインを手ににっこりと笑っていた。 「さ、どうぞ」 トクトクトクと、手にしたワイングラスに濃厚な色の液体が注がれてゆく。 「いや、いいんすか?俺が飲んじゃって」 「お気になさらず、男同士の話には酒がつきものでございます」 そういいつつ、優雅にくいっとワインを喉に通すハギヨシ。 動作のひとつひとつが様になっていてまるで映画の俳優のようだ。 それに倣い、京太郎もグラスの中身を喉に流し込む。 家で親の目を盗んで飲んだビールよりも、幾分か熱く感じる。 「くぁっ熱……でも、うまいな」 「そうでしょう、なかなかいいワインでして」 笑顔を絶やさずワインを口にするハギヨシ。 結構度数が強いはずだがためらいなく飲み込んでゆく。 執事は酒にも強いのかと、京太郎は内心畏れを抱いた。 「あのような女性の花園、須賀くんには辛いでしょう」 「あはは……五人は慣れてるんすけど、あの人数はさすがに、女子校に迷い込んだみたいで」 「心中ご察しします」 暗い部屋で、ワインを交わしての話し合い。 なんとも大人っぽくて、京太郎は静かに胸躍らせた。 「さて……せっかくの人目に触れない酒の席……年の差は4歳程度ですが、須賀くんは何か悩み事はございますか?」 唐突に語り出したハギヨシの質問が京太郎の胸を深くえぐった。 「悩みというものは人に打ち明ければ幾分か軽くなるもの、あわよくば解決策がわかるかもしれません。須賀くんの年の頃、私は多くの悩みに打ちひしがれていまして……相談できる大人がいれば、何度もそう考えました。須賀くんが、同じような目にあっていなければ、と思いまして」 全くもっていつもの調子でハギヨシが訪ねてくるが、全くもってその通りで京太郎は悩みを抱えていた。 この悩みは、自分一人で解決すべきではないか、京太郎は、なんとなくそう考えている。少なくとも、そう考えるを得ない性質の、悩みであった。 ふと、数日前を思い出す。 『何かに迷ったときは、身近な大人を頼ること』 白い髪の女性の言葉を思い出す。今思えば、あの言葉は今この瞬間を、予期していたのではないか。 「じつは……」 京太郎は、ポツリポツリと、胸の内をハギヨシに明かし始めた 「最近、一人の、同い年の女の子と知り合ったんです」 「最初見たときはなんだこの妖怪とか思ったんですけど……まぁ、なんやかんやで、交流ができまして」 「一回、一緒に遊びに行って、それ以外にも、なんかの縁で出会ったりして、それ以外にも、LIMEで話をしたりして……」 「……なんでだろう、俺は、今日そいつがピンチで負けそうってときに、自分の高校の麻雀データをそいつに見せちまったんです」 「そんな気はなかったんですよ、ただ、そいつが負けて打ちひしがれてるから、俺がもっとボコボコにされてる記録見せれば元気になるかなって……」 「でも、冷静に考えれば、なんでそんなことをしたかわからないんです」 「少し考えれば相当やばいことって分かるはずなのに、俺はいつの間にかそいつのところに行って、頑張れって言ってたんです」 「そいつを応援するようなそいつを励ますような、そいつを支えるようなことを、LIMEとかでいろいろ、行っちゃったり、して」 「それで、いまは……」 「清澄が優勝して、すげー嬉しくて、でも……頭の片隅で、いま、あいつは、どうしてるんだろうって考えてる自分が、いるんです」 「これがなんなのかよくわかりません……それが、俺の悩みです」 一通り語り終わった京太郎はワインをやけになったかのように飲み込む。ハギヨシは微笑ましげにそれを眺めている。 「……そうです、か……須賀くん、時に、今LIMEには何か連絡は来ていませんか?」 「え?」 京太郎はそう言われて、慌てスマホを取り出して電源ボタンを押す。なんだ、何も通知はない…… とたんに通知が届いた。新着メッセージが届いたようだ。 「……」 京太郎は化け物でも見るかのような目でハギヨシを見つめるが、ハギヨシはただニコニコと笑うばかりだ。 とにかく、その通知を開いて見ると、何の因果か、件の淡から届いたメッセージのようだ。 『今、旅館の外にこれる?』 文章からして、京太郎が泊まっている旅館の外のことだろう。無論、行ける。 「須賀くん」 ハギヨシが、京太郎を呼ぶ。 「皆様のことは、私にお任せを……君は、自分の迷いを断ち切るために、自分の信じた道を行きなさい」 京太郎は、すっと立ち上がった。少なからず酒を飲んだ体はしかし、少しもふらつきを見せない。 「ありがとうございました、ハギヨシさん」 京太郎が体を翻し部屋を出て行く。 それを見送った後、ハギヨシはグラスとワインを何処へやらと片付けた。 「頑張ってくださいね、須賀くん」 そして、ハギヨシはゆっくりと立ち上がった…… 懐から執殺と書かれたメンポを取り出しながら 「……」 「……」 二人とも、無言だ。 京太郎はなんとなしに空を見上げる。この辺りな東京にしてはまだ空気が綺麗な方らしく、空にはぼんやりと星が見えたりしたのだが、今日は雲が厚く、見ることは叶わない。 「負けちゃった」 唐突に淡がぽつりと呟いた。 「あの後さ、控え室に戻ったら……みんな、私のこと慰めてくれたんだ」 下を向いたまま、淡は言葉を紡ぐ。 「私が全部のリードを台無しにしたっていうのに、みんな、私は悪くないって、自分たちがもっとリードをって、無理させて、済まなかったって……」 声の調子は変わらないが、少しづつ、途切れることが多くなってきた。 「っ……あはは……こん、な……悔しい黒星、初めてだよ……白糸台の……大星、淡なのにね……笑えないや……」 なんとか声の平成は保っているが、ノイズのように混じる嗚咽で、もう、ごまかしようはない。 「っ……悔しい……!こんなの、悔しくて……みんなに申し訳なくて……!悲しくて、情けなくて……!」 一度決壊すれば、後はもうたやすい。きつく閉じた目からホロホロと大粒の涙が流れ出し、地面の色をポタポタと濃くしてゆく。 「みんなそれでも、優しく……!それで余計辛くって……!!」 隣でただうつむいて涙を長く淡を、どうすればいいか京太郎にはわからない。ただ、なんとなく、不器用に、淡の頭を優しく撫でてやった。 サラサラでツヤツヤの金髪が指をすり抜けてゆく。 そのまま、しばらく京太郎は淡の頭を撫で続けてやった。 やがて、淡の瞳から溢れる雨が止む。 こてんと、倒れるようにして京太郎の肩に、頭を預けた。 甘く柔らかい香りがして、京太郎の鼓動が少し早くなる。 「なぁ淡」 ぽつりと、京太郎が言葉を漏らした 「空を見てみろよ。ひでー曇天だな」 言葉を受けて、淡がゆっくりと、腫れぼったい目を空へ向ける。その先には今にも降り出しそうな黒い雲が浮かんでいる。 「俺って、あんなんだ」 京太郎の言葉の意味がよくわからず淡は首をかしげた。 「いやな、俺の麻雀の戦績ってさ、あの曇り空に似てるんだ……」 「俺の一位率って、部内で一割を超えることないんだよ、三位以下が7割くらいだ、一位取れた日なんかもう、飛び上がって喜ぶね、そんくらい負け込みで、それがなんとなーく、あの空に似てるんだ」 淡は少し笑った。あの清澄メンバーにボコボコにのされてうめく京太郎の姿が脳裏に浮かんだからだ。 「でもな、どんな曇りでも、ほんの少しの風が、その雲を吹き飛ばしてくれるんだ」 「風?」 「うん、風。とっさの閃きとか、運とか、そう言うのだ。そういう要素で麻雀って勝敗が変わるんだ」 「お前は今日たまたま風向きが悪くて、雲に覆われちまった……でもな、きっとそんな雲、すぐに風が吹き飛ばしてくれる、万年曇り空の俺が言うんだ、間違いないぜ」 ポンっと、改めて京太郎は淡の頭に手を置いた。無抵抗のまま頭を撫でられる淡は黙って、京太郎の言葉を聞いていた。 「そっか……今みたいな曇り空でも……ちょとした風が吹けば……」 「雲の切れ間に」 「星が輝く」 「……ま、つまり麻雀なんて運ゲーってことだからそんな落ち込むなってことだよ!あー、夜更かしして眠いぜーったく……」 自分のセリフが恥ずかしくなったのか、京太郎は顔を赤くしてポンポンと淡の頭を軽く叩き、態とらしい伸びやあくびをする。 そんな京太郎をみて、淡はクスリと笑った。 「……うん、やっぱ、きょーたろーに、相談してよかった」 「なんかいったかー?」 ハンドボール仕込みの無駄にアグレッシブな柔軟体操を披露する京太郎に、淡はいよいよ頬を緩ませ、それこそ、満天の星空のような笑顔を浮かべた。 「きょーたろーに、ありがとーっていったの!」 「は、はは!礼を言われることなんてしてないぜ!お、俺そろそろ旅館戻るわ!じゃなー!」 「あ、まってよー!ウラ若き高校100年生を送ってかないつもりー!?」 思わず走り出し公園から飛び出す京太郎を淡が慌てて追いかける。 そんな、二人は気づかない。二人の真上に位置する雲が、ちょうど揺らいで切れ間を作り、そこに、輝く夜空が広がっていた。 須賀京太郎にとって東京という土地は、憧れと、驚きと、そして若干の嫌悪を抱かせる場所である。 この驚きというのは実に多彩な意味を持つ。 まさかの40℃越え、まさかの迷宮地下鉄、まさかの出会い、まさかのetcetc…… そんなこんなを体験しつつ、個人戦第1日目の朝、京太郎は新聞を読みながら朝食を喰らっていた。 「はー、『またも襲撃!?マフィアボスの執事がボコボコに……』なんかんだこの執事を集中的に狙った事件ってのは、ハギヨシさん大丈夫かな」 「あの人ならば暴漢に襲われても余裕で返り討ちにしそうじゃのう……」 「で、あるか」 同じく朝食をかきこむ先輩二人よりも早く、朝食のフレンチトーストを胃に収めた京太郎は、試合に出場する咲と和の荷物を肩にかけた。 「じゃあいってきまーす」 「はい、咲のお守りよろしくねー!」 「わしらも後で行くからのー」 「お待たせしました、須賀くん」 「京ちゃん、よろしくね」 「おう、じゃあいくぞ」 蒸し暑い日差しの中、三人は旅館の外へと踏み出した。 今日は2人の個人戦第一試合がある。京太郎は2人の荷物を運ぶ兼咲のお守りだ。ちなみに荷物運びはついでであり本命は咲の見張りである。 「あっつい~……」 早くもグロッキーになりかけている咲の頬に冷たい麦茶の入ったペットボトルを押し付けて、会場へと向かう。和はその暑さにはもう幾分か慣れたようで、うんざりしつつも順調二歩を進めていた。 「2人とも頑張れよ、今日の個人戦」 「はい!1位2位のトロフィー、両方清澄に飾ってみせますよ!」 「どっちが金かは勝負だね、和ちゃん!」 2人の満面の笑みを見て頼もしくなった京太郎は、気合を入れて会場へ到着足を進めた。 そして、試合会場に到着した。会場内には初日に勝るとも劣らない観客が詰め寄っており、その盛り上がりはいろんな意味で団体戦を上回るかもしれない。 「じゃあ、私たちは控え室に入ってます。須賀くん、荷物ありがとうございました、重くなかったですか?」 「あんくらい軽いもんだよ!じゃあ、部長たちの席確保してくるわ、頑張れよ!」 2人から離れて、京太郎は巨大モニターの設置されたルームの中の椅子4つほどに確保を示す荷物を置いた。 そのうちの一つに腰掛けて、ふうと一息、モニターを眺める。 「部長たちが来るまで30分くらいか……」 その間、暇だ。 暇つぶしに自分の荷物から麻雀の教本を取り出し、パラパラとページをめくる。 そしてしおりを挟んでおいた『牌の透視方』の項目を開き、いざ読みふけようと気合いを入れた 「きょーたろ!」 「おわ!」 その途端、柔らかい何かが後ろからぶつかってきた。 「あ、淡か?」 「せーかーい!むー、つまんない」 首だけで振り返るの、ぷーっとむくれているのは見間違えようもない、星のような瞳を持つ大星淡である。 「あー、お前も個人戦出場枠か?」 「そう!こっちでは雪辱をハラハラしてやるんだからー!」 メラメラと燃え上がる闘志を瞳な携える淡は傍目から見ても相当気合いが入っている。 「そうか、俺は清澄の2人の応援だけど、お前も頑張れよ」 「そんなこと言っておきながら私のことも応援してくれるきょーたろーが好きだよ~!」 「好きってお前……」 呆れたような口調ながらも頬を少し染める京太郎をニヤニヤとチェシャ猫のような笑いで眺める淡は、すっと姿勢を正し、京太郎にビシッと指をさした 「そう、実は今日は個人戦以外にも一つ大事な用事があったのさ!」 「大事な、用事?」 「そう、きょーたろーに一つ、挑戦状を叩きつけに来たのだー!」 「挑戦状?」 意味がわからない。強い側から弱い側に挑戦状というのは意味がわからない。 頭にクエスチョンマークを無数に浮かばせる京太郎をくすくすと笑い、淡は、告げる。 「私こと大星淡は優勝してみせます!テルーよりも!咲よりも強く!優勝してみせます!」 なんと、と京太郎は思った。こういうことを臆面なく言えるのは淡の大きな強みだと思う。 「だから、一つ京太郎に約束してほしいことがあるの」 「え、それ強制?」 「モチのロン!」 「マジかよ」 京太郎はうなだれた。この元気っこが突きつけてくる無理やりの約束が、まともなものとも思えない。 「その約束ってのは、なんだー?」 「それはねー……京太郎、今年の冬までに、個人戦、長野枠で出場できるくらい強くなって!」 「……は?」 また、無理難題を押し付けられたものだ。第一、それで淡になんのメリットがあるのか 「私もネトマで協力するからさ!ね!頑張ろうよ!」 「なんでお前にそんなこと言われなきゃいけねーんだよ」 「だって、そうじゃないと季節ごとに絶対に会えるって保証、ないじゃん?」 「……は?」 にこやかに告げる淡に、京太郎は少し、固まった。 会えるって保証。つまり、会いたいって、こと? 「おまえ、それ、どーゆー」 「はい!約束したからね。それじゃ、これは契約の証!」 ぼーっとしてる京太郎の頬に、淡は唇を寄せて…… ちゅっ♪ 「……は?はぁ!?はぁーーーーーーーーーーー!?!?」 椅子から飛びすさり尻餅ついて無様に交代した京太郎は声にならない声を上げた 「アハハ!キョータロー面白い!」 「おま!おま!だって!おま!!」 幸い周りに人は少ないが、その少ない人多々は全員こっちをガン見していた。 「いまのは、この淡ちゃんとの契約の証、約束破ったら、承知しないんだから!!」 そして淡は振り返り、まったねーと、去っていった。耳が、真っ赤だ。 しばらくへたり込んでいた京太郎は、顔は真っ赤のまま立ち上がった。周囲の人間の視線が、痛い、死ぬほど痛い。 「はぁ……やれやれ」 また面倒ごとが増えてしまった、と、京太郎は首を振った。 取り敢えず、今日個人戦が終わったらみんなに麻雀の指導を頼まなくてはいけない。 カンッ!! ーーー京ちゃんが好きだと自覚したあわいーーー 「はいはい、呼ばれて飛び出て即参上」 たったいま、数秒前、LIMEを送ったばっかり。 それなのに、すっかり見慣れた金髪の京太郎は、そばの物陰から姿を表した。 なんでもうここにいるんだろう。 呼んだらすぐ来てくれた、まるでヒーローみたいな登場に、少しだけ、ほんの少しだけ、胸が高鳴る。 「ほれ」 何かを差し出された。 麻雀ダコだけではないその手には、チュッパチャプスくらいの棒付きキャンディーが乗っている。 「脳みそってスゲー大食いな器官でさ、しかも甘いもんしか受け付けねーらしいぜ」 「……そうなんだ」 なんとも、どうでもいい豆知識を聞かされた。 私のことを気遣って、甘いものを、持ってきてくれたのかな? 胸が高鳴る。 「……びみょー」 気恥ずかしさを隠すように、すこしだけ、尖らせた口調で言う。 「ははっ、まぁもらいもんの飴だからな、文句はその人に」 「もらったものを誰かにあげる?フツー」 何が楽しいのか、にこにこと、京太郎はわらっている。気楽そーな顔してさ。 「……なんで、送ってすぐに来たの?」 「こりゃ呼ばれるなって思って。紳士たるものレディの呼びかけには5秒以内に応じるもんだぜ」 「ストーカー?」 「ちげーよドアホ」 「アホだと~?」 あぁ、全く、こっちの気分も知らないで ずいぶん前から、まっていてくれたんだろう。 すこしだけ、ほんの少しだけ、罪悪感が募る。 「なぁ、麻雀で勝つって、なんだと思う?」 すこしだけ話をして、不意に京太郎が問うてきた。 「……そんなの、点数が少しでも高ければ勝つでしょ」 「そおーだそのとーりだ!たとえ百点棒一本でも多い奴の、勝ちだ。100点でも低けりゃそいつの負けだ」 何を、当たり前のことを。京太郎は真剣な顔だ。 「そのルールのせいてで俺の部内の一年生四人の中では、トップ率はダントツドベの0.95だ。わかるか、10回やって1回目トップになれるかどーかだ。そりゃそーだ、何もかもが劣ってる俺があいつらに容易に点数合戦で勝てるわきゃないからな」 「何その自虐情けない」 「やめろ死にたくなる」 えらそーに語ってたかと思えば途端に顔を曇らせる。 ……私にだって、わかる。それは私を励まそうとしてるんだ。 不器用に、どう慰めればいいかわからなくて、自分の情けない姿を見せるくらいしか、方法が思いつかないんだ。 なんだろう、そんな姿が、すこしだけ、可愛い 「まぁともかく麻雀ってのはそういうゲームだ……で、淡、聞くぜ。いま、この麻雀で勝ってるのは誰だ?」 「そんなの……私だよ。7000点、上にいる、けど……」 「そーだお前はまだ勝ってる!お前の仲間たちが、稼いでくれたおかげでな」 その言葉に、四人の顔が思い浮かぶ。 まったく、生意気だ。京太郎のクセに きっと、私に足りないものが何かわかっててそれで、厳しい口調で私に教えてくれてるんだ。 思い込みじゃあない。その顔を見れば、真剣そのものな顔を見れば、そのくらいわかる。表情を読むのは、麻雀打ちの基本だし。 そんでもって、京太郎に励まされた私は……まぁ、なんというか、結論から言うと負けちゃいまして。 おまけに何が悔しいって、そのあと、控え室で大泣きしてしまったことだ。 あぁ、あぁ、思い出しただけで、あぁ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁわぁぁぁぁぁもおおおぉぉぉぉぉ!!! 「ふっはははははは、どうした淡、普段の態度が影も形も見当たらないぞ」 「やめて!スミレやめて!忘れて!私泣いてないもん!高校100年生は泣かないもん!」 「ふふ、淡ちゃんの泣き顔、写真撮っちゃった」 「タカミー!?」 「あっはははは、淡~、ちょっとイケてないんじゃなーい?」 「うわああぁぁぁぁぁ!!」 もうダメだ、私はこのメンバーにこのネタで一生からかわれ続けるだろう。想像するだけで頭の中がすっからかんになる程に恐ろしい。 でも、まぁ、いやじゃ、ない。 「淡」 そのあと、珍しくテルーが気を使って私を控え室の外に連れ出してくれた。 テルーは私をからかってこないからなんとかかんとか、一息つくことができた。 「あぁ……ありがとテルー……あー……はずかしー……」 「気にすることはない」 テルーは何やら口に白い棒を咥えてピコピコと揺らしている。みたところ棒付きキャンディーの棒の部分か。 先程きょーたろーからもらった、ベトつく飴を思い出す。 「淡、あの男子は、清澄の生徒?」 ビクッと、思い切り体が震えた。 この状況からして、あの男子、というのはどう考えても…… 「テルー……見てたの?」 「うん」 「……どの、あたりから?」 「脳みそってスゲー大食いってあたり。彼のおかげで私のお菓子好きが間違いではないことが証明された」 「ああぁぁぁぁぁほぼぜんぶじゃぁぁぁぁん!!」 またも撃沈、もうやめて、とっくに淡ちゃんの点棒はゼロだ。 つまりボロボロ泣きながらつぶやいたあのつぶやきもこのつぶやきも……あああわあわあわあわぁぁぁぁぁぁぁ!!! 「彼のおかげで、淡は変われた。本当は私たちの役割だっただけに、ちょっと悔しい」 ポンっと頭に手を置かれた。そのままなすがままに撫でられる。抵抗する気はない、気力がない。 「淡、あの男子の前では素直だったね」 「ちがうもーん……あの時だけだもーん……気の迷いだったんだもーん……」 「淡」 テルーは、ポンっと私の頭を軽く叩いた。 じっと、目を見つめてくる。 「ちょっとゴメンね」 「え?」 「照魔鏡!!」 「アワァァァァァァァ!!!??」 突然なんだと言うのだ、慌てて壁にもたれかかっていた体を起こすと、テルーはこちらを見て、にっこりと笑った。 「うん。うんうん。淡、青春だね」 「なにそのよく雑誌で作る作り物笑顔!?」 「大丈夫、私は全部わかってる」 「覗いたからでしょ!なに!?なにを覗いたの!?」 「淡の淡い恋心、彼への」 「……へぇ、恋心、へぇ……へえあ!?」 「ふぅん、淡はあの彼に抱きしめて欲しいんだね、それで……あれ、それだけだ。それ以上は想像できない?キスとか浜辺で追いかけっことか××××とか『イリアステルに削除されました』とか歯磨きプレイとか」 「なにいってんの!?何言ってんの!?」 もうテルーの大暴走は止まらない、超絶営業スマイルで私も知らない私の心の内を暴くだけだ、もう絶対楽しんでる。 「ふふ……淡」 「ぎぎぎぃ……なによぉ……」 もうスクラップ寸前の私の肩を、ポンっと叩くと、やっと普段通りの無表情……に、少しだけ笑みを浮かべた。 「叶うと、いいね」 「……ふんっ」 散々からかわれた私は、ツンっとそっぽを向いてやった。それでもクスクス笑うテルーが鬱陶しい。 でもまぁ、そのテルーのおかげで、私は京太郎への想いに気づくことができた。 でもやっぱ納得いかないのでそのあとテルーのお菓子を奪って食べてやった。バレた。これは……面倒なことになっちゃった…… おまけ(時系列を気にしたら敗け)- 「海に行こう!」 「……うん?」 唐突であった。 本当、本当に唐突であった。 第1巡目で不要牌を切ったら人和されちゃいましたーってくらい唐突だった。 りんりんらんらんと真横で鼻歌を歌っている淡をスルーし麻雀指導本『これであなたも神域の打ち手』を読みふけっていた京太郎は思わず聞き返してしまった。 「あ、いまうんっていったね!いいましたね!はい、確かに言いました!」 「まて、何もかもをお前の中で進めていくな」 とうっと、淡の頭にハエも殺せないチョップをかます。いった~いと、オーバーなリアクション。 「だって、せっかくの夏だよ!?麻雀だけで終わらせたらアラフィフになっちゃうよ!」 「お前その麻雀だけで終わらせる奴がこの東京に今何人いると思ってんだ」 「そいつらは全員アラカンになればいーの!私とキョータローは違う!」 ミャーミャーとやかましい猫のように騒ぎ立てる淡を前に、京太郎は深く、深海より深く、地球のコアくらい深くため息を吐いた。 短い付き合いだが、こう言い始めた淡が頑固だというのは重々承知している。ちうしれ、にもらずいぶん困らされたものだ。 「はいはいわかったわかったいってやるよ」 「やたー!じゃあ早速水着買いに行こう!」 「え?」 「だって持ってきてないでしょ?買わなきゃじゃん」 「あー……うん、そうか、そうだよな、変なことないよ……な?」 「ないない、ないよ、全然ない。すごく自然!」 というわけで、二人は仲良く連れ立って近くの水着専門店へとやってきた。 「水着、専門店……か。長野にこんなものはなかったな」 「え?マジ?」 「長野は内陸の土地だぞ」 「あっ……」 何かを察した淡はそれ以降何も言わず、そのまま店内へ徒歩を進めた。男女合わせて置いてあるらしく、カップルも少なくない…が、金髪コンビの二人は結構目立つ。 「じゃあ先に京太郎えらんじゃってよ!」 「そうか?じゃあ……予算的に……うん」 京太郎はどんな水着を選ぶのか、と目を輝かせる淡を背に、京太郎はドンドンと買い物カゴの中に商品を放り込んで行く。 「こんなもんかな……」 麦わら帽子 サングラス アロハシャツ 真っ黒なトランクスタイプ サンダル ボディタオル 「……キョータロー……」 「な、なんだよ」 「ヤクザ?」 「ちがわい!」 しかしすでに淡の頭の中には浜辺のレディ達に恐れ慄かれる金髪長身でサングラスをかけた威圧感満載の筋肉モリモリマッチョマンしか浮かばなかった。 さて、今度は淡の番……となって、焦るのは京太郎である。 淡に手を引っ張られるままに連れてこられたが、女性用水着が木々のように辺りにそびえる女性水着コーナーは、なかなか近寄りがたいものがある。 これどうかしらとか彼氏に聞いてたりしてる人もいるから問題はないだろうが…… 「あ、これかわいい!どうどうみて!」 と、声のほうを向くと淡は一つの商品に目をつけたらしく京太郎に見せびらかしている。 「あー……首の後ろで結ぶ奴か」 「そうそう!ホルターネックって奴!ビキニだよビキニ!」 どうどう~?と胸の辺りに水着を当てて見せびらかしてくる淡。その涼しげな水色の水着は淡によく似合うように思える。特に、こう、なかなかに豊満な淡のバストを持ち上げるように強調するビキニ姿を想像すると…… 「ふふーん、これ気に入ったっぽいね、じゃあとりあえず保留!」 おもわずぼーっとしてたら悟られたらしく、淡はそれを買い物カゴに放り込んでしまった。どうやら好みを悟られたようだ…… 「じゃあこれは?どう?真っ赤なパレオ!」 次に取り出されたのは、やはりというか、なかなか大胆に胸を露出するパレオタイプのビキニだ。下半身には長めのスカートのようなものがついているため、必然的に肌色の多い上半身に目がいってしまう。情熱的な赤色もまた、淡には似合うだろう。 「なるほど~、きょーたろーは正直さんだね!じゃあ次は~」 と、ドンドンと淡は水着を漁る。 ふと、淡の買い物カゴに大量の水着が積み重なった頃、ふと京太郎の視界に白い水着が目に映った。それを見逃さなかった淡はその視線の先の水着をバッと手に取る 「ふんふん、モノキニかぁ~」 取り出された純白のモノキニ。 ヘソの辺りにレースで編まれた花弁のような部位があり、そこから四方向に花弁が開いたようなデザインだ。胸の谷間、脇腹など、なかなかに挑発的なデザインをしている。 「ふふ~ん……こういうの、好きなの?」 「どうだか」 ニヤニヤと笑いながらたずねる淡に京太郎はそっけなく顔を背けた ……耳まで真っ赤だが 「ふふふふ~ん……ほんっとーに嘘つけないねーきょーたろーはさ!じゃあこれに決めた!サイズは~……」 「い、いや別に好きとは」 「あれ?嫌い?」 「いや、別に、どっちでも……その……」 「あ~もーかわいーなー!」 んーっと背伸びして淡は京太郎の頭を撫でてやった。 「ななっな、なにすんだよっ」 「うんうん、かっこいいきょーたろーもかわいーきょーたろーもいいね!じゃあ買ってきまーす!」 そのまま、選考落ちした水着を一瞬で元の場所に戻すと、他の幾つかの商品と一緒に淡はレジへとかけて行った。 「……知られてはいけないことを、知られた気がする」 周囲の生暖かい視線をこらえながら、よろよろと京太郎もレジへと這っていった。 淡のお買い物 モノキニ ラッシュガード 麦わら帽子 そして、そのまま淡に引っ張られるがままに電車を乗り継いで、ついに二人は海へと到着した! 「海だ~~!やったーーーー!!ジャカジャン!」 「せーかい中をぼーくらのー……何言わすかこら」 すでに体力をほぼ削られた京太郎は、元気よく飛び跳ねる淡についていくのがやっとである。 暑い、すんごく、暑い。午後1時くらいだろうか、もう日差しは生命ある全てを焼き尽くさんとするほどサンサンと降り注いでくる。いや、惨々と言うべきか。 「じゃあ早速着替えてこよう!海の家の前で待っててね!」 元気よく更衣室へ飛び込んでいく淡を見て、まぁ、せっかくなら楽しむか、と、苦笑いしながら京太郎も男性更衣室へと足を運んだ。 「……」 海の家の前のベンチの一つ。一人の男が腰かけている。 その長身は、どうやら足の長さが理由らしく腰の低いベンチのせいでなかなかに窮屈そうだ。 短めの金髪は麦わら帽子に収められ、鋭い眼光は真っ黒なサングラスに隠されている。 アロハシャツの隙間から覗く分厚い胸板や割れた腹筋、トランクスタイプの水着から覗く引き締まった太もも。 それは、誰が、どう贔屓目に見ても、近寄り難いくらい、怖かった。おまけにそれがはるか虚空を眺めているのである。尚更だ。 「おっまたせ~~~!」 すると、そんな人々が思わず振り向くくらいかわいらしい声が響く!男どもはその声の主人を見て鼻の下を伸ばし、女どもは嫉妬に目を細めた! その恐ろしい金髪男とお揃いの麦わら帽子からは、しかに長く、艶やかに、きらめく金色の髪が揺れている。 顔は喜色に染まり、クリーム色のラッシュガードに覆われた体躯はしかし、でるとこは出て、締まるところは締まったボディを隠しきれていない。 肌は日本人離れして白く、シミ一つもない。そして、それより何より、帽子の影に隠れているはずの瞳が、何よりも魅力的に輝いていた。 だれだ!!?この美女におっまたせ~と言われたのは誰だ!?と男たちが視線を走らせる!果たしてその美少女の向かった先には…… 「きょーたろー!」 「ダアアアバカ!!抱きつくんじゃぁねえ!!!」 「イージャンイージャン!役得でしょ!」 「こっちは命がけなんだ馬鹿野郎!!!」 あの、おっかない男であった。 男たちは血の涙で砂浜を染めた。 「えっへへへ~、じゃあ早速泳ごう!」 「はいはい……」 淡にひかれるがまま、海辺の方へと向かって行く。砂浜を濡らして、引いてまた濡らし、を繰り返している浅瀬へと足首をつからせる。 「ひゃーつめたい!」 「あぁ……すずしいな……」 アロハシャツと帽子はベンチの近くに置いてきた。もう濡れるのは怖くない。だんだんとテンションが上がってきた京太郎は、手首を掴む淡の手を外すと、ぐっと身をかがめ、そして跳ねた! 「わ!」 「イヤーっ!」 そのまま、ダッシュ、そしてバク転、派手に着水。周囲に盛大に水しぶきが飛び散った。 「す、すごーいきょーたろー!」 「へへ、昔取った杵柄ってな」 頭の先まですっかりずぶ濡れた京太郎は、警戒心なく駆け寄ってくる淡に、一気に水をかけた! 「ひゃっ!」 「どうだ!お前も濡れろ!」 「やったなこの~!どりゃー!くらえすたーすぷらっしゅ!!」 「ただの水かけじゃねーか!」 そのままギャーギャーと、色気も何もないまま二人は盛大に水を掛け合う。 ついた当初感じていた疲れは、すっかり京太郎から消え去っていた。 「むぐむぐ……ぷはっ」 「どうだ」 「ちょっとはやいよー……」 暫くはしゃいだ後、少し離れた場所で二人は泳いでいた。淡は浮き輪装着、京太郎は立ち泳ぎである。 「お前がそんなのつけてるからだろ」 「むー、きょーたろーにはレディーを待つっていう精神がないんだね」 「お前以外にはあるよ」 「なにそれ!」 ギャーギャーと喚いてくる淡におもわず京太郎は笑ってしまった。それにつられて、少し遅れて淡も笑いだす。 「あははははっ!……ふー。ねー、京太郎」 「ん?」 急に真面目トーンになった淡に、京太郎も少しだけ真剣になる。 「……来年の夏も、その次の夏も、こうやって、二人で遊びたいな」 「……」 「もちろん夏だけじゃないよ。春は桜、秋はもみじ、冬は……雪、ないんだよなぁ……でも、インハイ出れば、こっちに来れるんだから……その……」 「……頑張って、麻雀」 「……おう」 こっぱずかしくなって、京太郎は浅瀬の方へとくるっと向いた。 「さあさあのろまな大星さん。浅瀬まで競争と行こうぜ。買った方がコーラ奢りな!」 「え、ちょ!」 「ヨーイドン!」 「ま、まってよー!きょーたろーのばかー!」 後ろで喚く淡を放って凄まじい勢いで京太郎は泳ぎ始めた。今日は散々やられっぱなしなのだから、このくらいの仕返しは、許してもらいたい カン! エピローグ 須賀京太郎にとって東京という土地は、憧れと、驚きと、そして若干の嫌悪を抱かせる場所であった あった。過去形であって、もちろん今は違う。 須賀京太郎にとって東京という土地は、もはや長野についで二番目に長い時間を過ごした場所であり、もはや憧れや驚きなどとっくに枯れ果て、いまや臭い空気と濁った空と、蒸し暑い温度に嫌悪を抱くばかりである。 だが、それでも、ここには魅力がある。 「春のIH以来だな……」 去年の冬の頃に買ったキャリーバッグをどかっと地面に下ろし、京太郎は一息ついた。 予算を節約するために、交通手段は深夜バス。本来なら新幹線でひとっ飛びなのだが、個人的な理由により、夏休みに入ってから速攻で課題を終わらせた京太郎は一足早く東京入りしていた。 そのため、大会期間に入るまでは安ホテルで節約生活だ。財布の中にはバイト代が詰まっているが、無駄遣いは避けたい。 「……さて、あいつは……」 バスの止まる場所は教えてあったはずだ。 人で賑わう辺りを見回してみる。すると、見当違いの方向を向いてピョンピョンと跳ねている見慣れた金髪が目に映った。 ばれないよう、そろりそろりと近づいてみる。 「うーどこだろどこだろ……」 「……あーわい!」 「あわわわっ!」 後ろから、そいつを抱きすくめてやった。一瞬身を縮ませたものの、こちらの正体に気づいたそいつは、パアッと顔を明るくして無理やり振り向きこちらに抱きついてくる。 「きょーたろー!」 「春以来だな」 「うん!うん!長野県一位おめでとう!」 「おう!」 須賀京太郎。清澄高校二年生。 長野県男子個人一位である。 そのまま近くのカフェになだれ込んだ二人は、テーブルを挟んで、淡は紅茶を、京太郎は珈琲を口に運んでいた。 「いやー、本当に京太郎はすごいよ!」 「お前に散々叩き潰された成果が出たな」 「ふふーん、高校101年生の淡ちゃんのおかげだね!」 「お前それまだやってんのかよ」 苦笑いとともにブラックコーヒーを啜る。その好みだけは理解不能だと淡に突っ込まれた。眠いのだから仕方がない。 「で、京太郎……次の目標わかってるよね」 「おう、勿論……」 少し溜めて、宣言。 「次の目標は、俺とお前、揃って個人戦で優勝すること」 「そのとーり!二位なんてちゃちいことは言わないよ、やるんなら優勝!」 「そしてその後に……」 「エキストラマッチ!」 そう、今年の夏は、昨今さらに加速した麻雀旋風に乗るように、インターハイに新たな目玉が追加された。 それは、男子女子個人戦の1.2位を集めたエキストラマッチである。 「そこで戦うのが私たちの目標!忘れないでよね!」 「あったりまえだろ!お前こそ咲にやられんじゃねーぞ」 二人は、お互いの目標を再確認し、そして、お互いを激励しあった。 / / | | | | | l l | | | | | / / | |__ | | | | | l l /| | | | |. /// | |\ |‐\八 | | | |__,l /-|‐ リ リ | | / / - 、 | x===ミx|‐-| | `ー /x===ミノ// / ∧{ / | .八 _/ { { 刈`| | l /´{ { 刈\,_| イ /ー―‐ ..__. / / | |/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } / . . . . . . . . . . `「⌒ .. // /| l、 ー‐ \{ | / ー‐ j/ /}/ . . . . . . . . . . . . . .| . . . . . / _,/ . ..| | \ ! j/ ′/ . | . . . . . . . . . . . . . . .| . . . . . . / . . . . { |\ハ_, ノ ,___/{ . .| . . . . . . . . . . . . . . .| . . . . .∧ がんばろーぜ、淡!. / . . . . . . . ′ | . .|\圦 / j/l/. . ′ . . . . . . . . . . . . . . . ./ . . .∧. /. . . . . . . . . . ′_,ノ⌒ヽ | 、 、 _ -‐' / . / . . . . . . . . . . . . . . ./ . / . . / . /\ . . . . . . r‐ ' ´ ∨\/ ̄ )  ̄ ̄ / /. ./ . . . . . . . . . . . . . . / . / . . ./ . . / . . . . . .\ . .ノ ----- 、 ∨/ / 、 / ,/ . / . . . . . . . . . . . . . . / . / . / . . . . . . . . . . . . . / ‘, ‘, ./、 \ / /. . / . . . . . . . . . . . . . . ./ . // . . . . . . . . . . / . . . . .{ ---- 、 ‘, } / . . } ̄ \ ̄ ̄ ̄/ ̄ / .{/ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -<⌒ . . . . . ./ . . . . ./ ‘, ‘,「l /⌒^\________/}/ . . . . . . . . . . . . . . . . . /´ \ . . . . / . . . . . .{ . . ‘, 人U{ . . . . . . .| \ / .| . . . . . . . . . . . .―‐┐ / \ . . . . . . . . } -- /\ . ノ r/ / . . . . . .| . . . \ ,/ . . . | . . . . / . . . . . . . . . . . ./ _, -──- .,_ '´ `丶、 / \ , / \. / . / ヽ ′ / / `、. .' / /, // /| | ` i . / 」_ ′/ | | i| . i. i | j/, /イ`メ、 | 小 || ト.! j .| ∨/ / |/ ヽ | ァT丁l | | ノ i| V j 抖竿ミ ノ ノ ,ノイjノ | i___ ____彡' , i| i| j 八| x x /ィ竿ミ 刈 | } ̄¨ え≠ / 八 i|/l | | x x / ノ | ′ / -‐ ' ハ 八 ト、 ヘ.__ ` 厶 イ ノ/ __,.斗‐=≠衣 ヽ八\ 丶.__ソ . イ(⌒ソ イく きょーたろーこそ! jア¨¨^\ \ \ >-=≦廴_ ア /ノヘ\ 斗ァ'′ \ \ ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ/圦 | 、\ ヽ 、∨tl `ヽ . ∨ V\ i { `| Vi \ ハ i } | } i } ∨,} }≧=- | 辻_V\`i} i } | /} iハ} 辻ノ ノ ¨〕V//リ iノ ////V〔 ¨〕もいっこ!カン! n∧ i / | | | .| | | | w .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| J( 'ー`)し | かんけつ | .ノ† ( ⌒\ |_____| ( ヽへ \ .| i / \\ . | .| ( \\、| i ノ ヽ ヽ、っ) .i/ ノ | / / \ / ./ \ ヽ、_ / / ヽ、_ \ / ( ヽ、\_ / ノ \ ヽ / / ヽ ( / / ヽ) / ) ./ / .し'
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3348.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1393921285/ 京太郎「よし、ナンパしよう。」 京太郎「運が悪くなるが、女性にモテると噂の泣きぼくろも付けた。」 京太郎「しかしリスクが高いな。よし、コンマに頼ろう」 京太郎「けど逆に悪いコンマだと...」 京太郎「考えても仕方がないか。よーし...こい!!」 京太郎「っと、その前にターゲット決めないとな。」 京太郎「あれは...清水谷さんか?それにしても、あんなに急いでどこへ」 竜華「怜~」 京太郎「人探しか。ちょうどいいな。すみません清水谷選手ですよね?」 竜華「怜~...って、なんやねん。今忙しいから、またあと...」 京太郎「大変そうですね。俺も手伝いましょうか?」 竜華「あ、はい。お、お願いします...///」 京太郎「じゃあ、一緒に探しましょうか。」 竜華「う、うん(あかん...うちどうして、こんな初めて会う男に)」ドキドキ 京太郎「(この黒子のおかげか、すんなり接触できたな。)」 竜華「あ、え...っと、」 京太郎「自己紹介がまだでしたね。須賀京太郎です。」 竜華「し、清水谷竜華です!(あかん。声が裏返ってもうた)」 京太郎「じゃあ、行きましょうか。」ニコッ 竜華「は、はい!!」 竜華「へえー、うちらと同じやな。」 京太郎「といっても、雑用ですけどね。」 竜華「雑用でも偉いやん。それに、うちらも須賀君みたいな人やったら大歓迎やで?」 京太郎「俺も、竜華さんに会えてラッキーでしたよ。竜華さん、素敵ですもん」 竜華「須賀君ったら、上手やな~。本気にしてまうやろ///」 京太郎「本気だったら、どうします?」 竜華「え?」 京太郎「俺が本気で竜華さんに惚れていたとしたら?」 竜華「ちょ、ち、近いで...須賀く「京太郎」」 京太郎「京太郎って呼んでください。竜華さん」 竜華「け、けど...あって間もないし...と、年上をからかったらダメやで、京太郎君(ち、近い)」 京太郎「竜華さん。」 竜華「京太郎君...(あかん...けど、振りほどけん。振りほどきたくないねん)」 京太郎「嫌だったら、言ってくださいね。」 竜華「い、嫌なわけ...ない「ひゅーひゅー」」 怜「竜華、えらい楽しそうやなー」 京太郎「あなたは確か...」 竜華「あ、あああ!」 怜「なんやお楽しみ見たいやし、お邪魔虫は退散しよかな~」 竜華「ちゃ、ちゃうねん。ちゃうねん。怜~」 怜「すごいな~竜華は。肉食系女子やん。」 竜華「こ、これは...その...」モジモジ 怜「ウチよりやっぱり男がええんか~...残念やー」 竜華「ちゃうねん。そら怜も大事やけど...京太郎も」 怜(あわてる竜華もかわええなぁ) 京太郎「これ以上の接触は危険か?」 京太郎(焦るな...効果は理解した。あとはじっくり...ふふふ) 竜華「京太郎君?」 京太郎「おっと、どうかしましたか?」 竜華「あ、あのな、怜も見つかったことやろ?だから、お礼、なるかわからんけど一緒にお茶飲まん?」 怜「えらいルックスの男やな...けど、竜華の太ももは渡さんで!」 竜華「怜!」 京太郎「あはは。ありがたい話ですね。」 竜華「ほな、一緒にいこ?」 京太郎「けど、買い出しの最中なので失礼します。」 竜華「そうなんか...残念や」 京太郎「じゃあ、また会いましょう。」 竜華「ほんま?約束やで!」 京太郎「じゃあ、竜華さん、怜さん。失礼します」 竜華「ほなな~」 怜「なあ竜華?」 竜華「なんや?」 怜「また会う。言うてたけど、連絡先しっとるん?」 竜華「そらもう...あーー!!」 怜「はぁ...(しゃあない。この怜ちゃんが竜華の恋を成就させたるで!)」 竜華「怜、ニヤニヤしてどしたの?」 怜「なんでもないで~」 京太郎「ふぅ...予想以上の効果だな。」 京太郎「買い出しで頼まれていたおやつも買ったし帰るか。」 京太郎「お店でかわいい店員におまけもしてもらった。ふふ...この黒子があればこの世のおもちは...ふふふ、はーっはっは!」 京太郎「ただいま戻りましたー」 まこ「おー、おかえりー」 久「ずいぶん遅かったわね。リュックはそこにおいてちょうだい。」 京太郎「ええ。色々ありまして。よいしょっと」 咲「お帰り、京ちゃん!」 京太郎「ああ。ただいま。咲」 咲「......」 京太郎「咲?」 咲「あ、何でもない。なんでもないよ?(なんだろう...今日の京ちゃん見てるとドキドキする)」 京太郎「変な咲」 咲「私変じゃないもん!」 和「......」 京太郎「変な人はみんなそういうんだよ。咲」 咲「だから、私変じゃないもん!」 京太郎「はいはい。」 和「咲さん。」 咲「なに?和ちゃん」 和「あっちで牌譜を見直しましょう。さあ行きますよ。」 咲「え、でも、さっきみんなで」 和「いいから早く」ズルズル 咲「またねー京ちゃん」 京太郎「おう。またな~(おかしいぞ...この魅惑の黒子が和に効かないだと?)」 京太郎「安物だからか?レズでも効くはず...それに、さっき部長にも効かなかったような...」 久「さっきからなにブツブツ言ってるの?」 京太郎「部長!脅かさないで下さいよ」 久「失礼ね。あら?須賀君、泣きぼくろなんてあったかしら?あら、取れないわね。」 ドクンッ! 久「ひぅっ」 京太郎「部長?」 久「な、なんでもない。何でもないわ(おかしいわ...須賀君の顔を見てから胸が変ね)」 京太郎「そうですか。(部長、さっきまでの反応と全然違うな。)」 久「あははは。」 京太郎「熱でもあるんですか?」ピトッ 久「ち、近いわよ。(須賀君の顔...最近まともに見てなかったけどこんなに...)」 京太郎「熱はないみたいですね。良かった」 久「い、一応お礼を言っておくわ。ありがと」 京太郎「いえいえ。部長に何かあったら大変ですから」 久「そうね。何かお礼をしなくちゃ...そうだ♪」 まこ「また悪い顔しとる」 久「今度から私のことを『久』って呼んでいいわよ。」 京太郎「久ですか?でも、部長は先輩」 久「これは命令よ。京ちゃん」 京太郎「きょ、京ちゃん?まぁいいか。わかりました。久(部長の目、これは竜華さんと同じだ)」 久「よろしい♪」 まこ「また変な思い付きかのう?」 久「京ちゃん、これからもよろしくね♪」 美穂子「う、嘘ですよね...」 美穂子「私の、私の上埜さんが...男に」 美穂子「許しません。上埜さんは尻軽じゃありません。あの男...許しません...絶対に!」 京太郎「おまけで貰ったお菓子...どうしようかな。部屋で一人で食べるのもつまらないし」 京太郎「夜風に当たりながら食べよっかな?」 京太郎「そうと決まったら...夜の公園で食べよう」 公園 京太郎「どこで食べようかな?」 京太郎「あそこがいいかも。」 京太郎「ここでいいや。いただきまーす。」 「いただきます。」 京太郎「誰だ!」 照「お菓子の妖精。そのボッキーがほしい」 京太郎「ああ、どうぞ。」 照「いただきます。」ガツガツ 京太郎「ああ、俺のボッキーが...」 照「最後の一本...いただきます。」 京太郎「ちょっと待てや」 照「なに?今忙しい」 京太郎「まずそのポッキー返せ。もともとは俺のボッキーだ」 照「......」ジー 京太郎「?」 照「!」 京太郎「ボッキー返せ」 照「んー」 京太郎「ボッキー咥えてどうした?」 照「ボッキーを二人で食べる///」 京太郎「赤らめる前に、口元の食べかす何とかしろよ。」 照「失敬。」ごしごし 照「よし。んー♪」 京太郎「どうしようかな」 照「はやふ~♪」 京太郎「......」ぎゅー 照「いたい...」 京太郎「あんまり食べると、太りますよ?」 照「太ったら責任取ってね。京ちゃん」 京太郎「ふざけ...京ちゃん?」 照「久しぶり。元気だった?」 京太郎「照さん!?」 照「かっこよくなったね。」 京太郎「久しぶりの再会がボッキー強奪なんて...照さんは相変わらずですね。」 照「照れる。照だけに///」 京太郎「久しぶりに会ったんだし、どこか行きます?」 照「なら、ケーキでも食べない?じゃんけんで負けたほうがおごりで」 京太郎「じゃんけんって...そこは先輩である照さんが」 照「じゃーんけーんポン!」グー 京太郎「ポン」パー 照「......」 京太郎「やったー」 照「仕方がない。菫を応援に呼ぼう」 照「うん。そう。財布もって...よろしく」 京太郎「照さんが奢ってくれるんじゃなかったんですか?」 照「私に任せて」フンス 京太郎「まあいいか。」 照「ついた。」 菫「まったくいきなり財布を持ってこいなんて」ブツブツ 照「菫早いね。」 菫「お前のせいだろう...が...?」 京太郎「はじめまして。」 照「どうかした?」 菫「おい、あのイケメンはなんだ」ヒソヒソ 照「弟、婚約者?」 菫「ふざけるな!ずぼらなお前にこんな」 京太郎「あのー」 菫「ああ、失礼した。初めまして。白糸台の部長である弘世菫だ。」 京太郎「初めまして。須賀京太郎です。」 菫「よろしく頼むよ。」 京太郎「はい。こちらこそ」 菫「......(照にはもったいない男だな。このルックスに金色の髪...私にぴったりじゃないか)」 菫「いきなりで悪いが、ここより私たちのホテルに来ないか?照の身内というなら、歓迎しよう。」 京太郎「ホテルですか?」 照「私も一緒」 菫「そうだ。なんなら、泊って行ってもいいぞ?ベッドは2つしかないし、照の寝相は悪いから私と一緒だが」 菫「そうだ、麻雀はできるか?もしできないなら私が教えてやろう。なに、遠慮はするな。」 菫「食べ物は何が好きだ?ホテルに行く前に買い出しに行こう」 菫「なに、財布の心配はするな。照のお菓子代に比べれば...どうだ?くるだろ?くるよな?」 京太郎「おっと、メール...すみません。帰らなきゃいけないみたいなので、失礼します。」 菫「そ、そうか。なら...お詫びだけさせてくれ。」 京太郎「お詫びですか?」 菫「ああ。ちょっとじっといしていてくれ。動くなよ?」 京太郎「はぁ」 菫「んむっ」 京太郎「んんっ!」 照「ほぁっ!」 菫「ふぅ、ファーストキスだ...特別だぞ」 京太郎「な、な...」 菫「じゃあまた会おう京太郎君。行くぞ照(これで彼も私にシャープシュートだ)」 照「え、んー...わかった。」 京太郎「ラッキー...だったのかな?」 宥「す、すごいなぁ...うぅ、寒い。早く温かいもの買わないと」 宥「けど、白糸台にあんな人いたかなぁ?」 京太郎「急いで帰って来いって部長、何の用事なんだろ?」 宥「きゃっ」 京太郎「おっと、すみません。大丈夫ですか?(おもちだ、服に隠れてるけど、大きなおもちだ!)」 宥「は、はい」ブルブル 京太郎「失礼ですけど、寒いんですか?」 宥「う、うん。私、変だよね」 京太郎「......」ぎゅっ 宥「え、えぇ」 京太郎「いきなりごめんなさい。寒そうで見ていられなかったので」 宥「い、いえ...(この人...あったかぁい♥)」ぎゅっ 宥「ふわぁ///」 京太郎「どうですか?」 宥「う、うん。あったかかったです」 京太郎「じゃあこれで、俺は失礼しますね。」 宥「あ、あの、ちょっと待って」 京太郎「どうしました?」 宥「ありがとう。私、松実宥です。」 京太郎「須賀京太郎です。宥さん」ニッコリ 宥「また、ギュッてしてほしいな」 京太郎「ええ。いいですよ(おもちが大きい人は大歓迎です)」 宥「約束だよ」チュッ 京太郎「こちらこそ」チュ 宥「キスってあったかーい♥」 京太郎「じゃあさようなら。」 宥「はぁ~い」 京太郎「黒子様様だな。」 京太郎「これさえあれば何でもできるぜ。貧乳も寄ってくるのが難点だが」 京太郎「あ、そうだ。部長に連絡してねーや。怒られっかな」 京太郎「げっ...着信20件?スゲー怒られるかも」 ぷるるる 京太郎「もしもし、ぶちょ『須賀君?今どこ?無事?』」 京太郎「あのー『何回かけても出ないから心配で心配で、あ、これはあれよ、そう。部員の失態は部長の失態だからよ。』」 京太郎(いつもの部長じゃない。) 『ちょっと?返事をしなさい。もしかして、女の子と一緒かしら?』 京太郎「そ、そんなことあるわけ...会ってました。」 『いますぐ私たちの宿泊先に来なさい。理由は、わかるわね。』 京太郎「はい。」 久「お帰りなさい。京ちゃん」 京太郎「ただいま帰りました。部長」 久「部長?」 京太郎「ただいま久」 久「よし♪」 京太郎「ところで、咲たちは?」 久「あら?またほかの女の話?それ、失礼だからやめたほうがいいわよ。私だからちょっとの罰で許してあげるけど」 京太郎「待てよ...今の俺は魅惑付...いけるか?」 久「ちょっと、私の話聞いてる?」 京太郎(よーし...) 京太郎「久」ギュ 久「な、なによ。急に抱き付いて」 京太郎「心配かけてごめんな。」 久「な、別に心配なんて...してたけど」 京太郎「俺は、清澄高校の須賀京太郎。どこにもいかないさ。」 久「ん...なら、私のそばにいなさい。部長命令よ。」 京太郎「それはちょっと...」 久「さっきのは嘘かしら?それとも、あなたも私の前から消えるの?」 京太郎「それはその(目が...なんだ、光が消えたというか)」 久「あははは。冗談よ。じょーだん」 京太郎「じょ、冗談?」 久「みんなもう寝ちゃったし、だれも見てないからからかってみたのよ」 京太郎「は、はぁ」 久「さ、夜も遅いし、もう帰っていいわよ。それとも一緒に寝る?」 京太郎「じゃあ失礼します。」 スタスタ...... 久「泊っていけばよかったのに」 次の日 京太郎「うーん、いい朝だ。飯も食ったし皆に合流しようかな。」 京太郎「あれ?部長、早いですね。」 久「こら、また部長って言ったわね」 京太郎「おっと、おはよう久」 久「おはよう、京ちゃん」 京太郎「それにしてもどうしたんですか?」 久「朝一番で日光に浴びると肌にいいのよ」 京太郎「へー」 久「京ちゃんもどう?」 京太郎「今日もまた買い出しに行けばいいですか?」 久「そうね。離れるのは寂しいけど」 京太郎「ははは。久らしくないですね。」 久「私だって女の子ですもの。たまには甘えたくなるわ」 京太郎「ちょっと、急に抱き付かないで下さいよ。」 久「残念ね。せっかく京ちゃんを独占できるのに」 京太郎「独占って...物みたいに言いますね。」 久「それはいいわね。でも、覚えておいてちょうだい。京ちゃんが物なら、私はさっさと自分のものにしているわ。」 京太郎「はい?」 久「なんてね♪さ、みんなを呼んでくれる?」 京太郎「はい!」 久「ふふふっ男子三日会わざればって言うけど本当ね。」 久「京ちゃん......今は遊びなさい。けどね、いずれは私のものよ。そうなった時には...ふふ」 京太郎「今日も人がいっぱいいますね。」 和「女子の大会なのに...どうして男が」ブツブツ 咲「京ちゃん、強い人いるかな?」 京太郎「うーん...咲より強いとなると」 和「咲さんより強い人なんていません。なぜなら咲さんですから」 京太郎「和?」 久「そうね。でも、油断は禁物よ。IHには魔物が潜んでいるわ。」 優希「どんなやつも私のタコスの具にしてやるじぇ~」 京太郎「笑顔で恐ろしいことを言うな。」 優希「う、うるさいじょ!い、犬のくせに...かっこよくなって...」ボソッ 京太郎「なんだ?」 優希「な、なんでもないじょ!」 久「その前に、。京ちゃん...少し話したいことがあるの」 咲「あ、私も話したいことあるんだけど」 京太郎「えーっと...こういう時はどちらから」 和「咲さん、一緒にお花をつみにいきませんか?行きましょう」 咲「え、え?わ、引っ張らなくても歩けるよ」 和「さぁ行きましょう。」 咲(最近京ちゃんとお話しできないなぁ...それに、部長の京ちゃんに対する反応...気のせいかな?) 久「ふふっ...ナイス和」 京太郎「何か言いました?」 久「いえ、何も言ってないわ。じゃあまこ、優希、さきに部屋に行っててくれる?私たちもすぐに向かうから。はい、これタコスよ」 優希「わかったじぇ~」 久「ふふふっ......行ったわね。」 京太郎「部長?」 久「こら、また呼び方忘れてるわよ。」 京太郎「あ、久。みんなの前じゃ恥ずかしくて」 久「ねぇ、ちょっと相談に乗ってくれないかしら?」 京太郎「相談ですか?」 久「ええ。最近、京ちゃんのことを思うと、なんだか胸が苦しいのよ。京ちゃんが優希と喋っていると特に、咲ともそうよ。」 京太郎「もしかして病気ですか?一緒に医務室行きます?」 久「そうね。でも、これはきっと医務室へ行っても治らないわ」 京太郎「も、もしかして、心臓病とか!?」 久「うーん...もっと大病ね」 京太郎「なんてことだ...部長が...うわっ」 久「でも、京ちゃんに抱き付くと、動機もおさまるの。それに、心の隙間が満たされていく気がするの」 京太郎「で、でも...こんな場所で抱き付かれたら周りの目が...」アセアセッ 久「いいじゃない。美少女に抱き付かれて幸せでしょ?」 京太郎「は、離れてくださいよ。恥ずかしいじゃないですか」 久「なによ...仲のいいところをアラサーとかに見せてあげましょうよ。」 京太郎「アラサーって...」 ギヤァー アラサーが発狂したぞー!抑えろー!! 若いからって調子に乗るんじゃないぞ☆ 鬼が出...ぎゃー!! 久「ね、面白いでしょ?それに、今は私とおしゃべ「京太郎君!」」 京太郎「この声」 竜華「久しぶりやな~やっと会えたで~覚えとる?」ギュッ 京太郎「竜華さん!(相変わらず大きい!)」 竜華「覚えててくれたんか!?うれしいわ~♥」 久「竜華さん?」ムカッ 京太郎「もちろんですよ。」 竜華「さすが京ちゃん、かっこええだけやないな~」ムギュー 京太郎「それほどでも」 久「ねぇ、貴女清水谷さんよね?私の京ちゃんから離れてくれないかしら?」 竜華「なんでや?それに、京太郎君はあんたのもんやないで?あんたが離れたらええやん」 久「い、いうじゃない...でも、『部外者』である貴女のほうが無関係じゃないかしら?」 竜華「なんやと?」 久「それより、私たち試合があるから帰りたいのだけど」 竜華「そんなら帰ればええやん。」 久「そうね。じゃあ京ちゃんも行くわよ。」 竜華「ちょ、京太郎君は試合ないやろ?な?」 京太郎「確かに、試合はないですけど」 久「だからなにかしら?」 竜華「ほんなら、京太郎君借りてってもええやろ?」 久「ダメに決まっているわ。彼も大事な部員、人だもの」 京太郎「だ、そうです。すみません」 竜華「う、嘘やろ?」 久「残念だったわね。じゃ、試合があるので失礼するわ。行くわよ、京ちゃん」 京太郎「は、はい。じゃあ、失礼します。竜華さんたちも頑張ってください!」 竜華「きょ京太郎君...」 久「決勝で戦えるといいわね~、できればもう会いたくないけど」クスクス 竜華「京太郎くーん!」 竜華「......あの女、許さんで」 京太郎「部長に言われて買い出しは無しになったけど、軟禁状態だ」 咲「ぶ、部長に京ちゃんを部屋から出すなって言われてるから、ごめんね。でも、その分二人でお話しよ?」 京太郎「そういえば...あの人は今何してるのかな?」 京太郎「菫さん...おもち大きかったな。」 咲「菫さん?誰?」 京太郎「あ、き、気にするなよ。」 咲「ふーん...」 菫「はぁ...」 照「菫?お菓子食べる?」 菫「はぁ......会いたい」 照「無視された...お菓子買ってくる」 菫「会いたい、会ってギュッてしてほしい。」 淡「誰に~?」 菫「王子様だ」 淡「ぷっ...あはははは!」 菫「何がおかしい!」 誠子(弘世先輩の独り言...なんて言えない) 淡「だって、王子、いまどき王子って...あははは!今時言わないですよ?」 菫「それくらいカッコよかったんだ!」 淡「うっそだー!菫先輩って大げさ~」 菫「違う、けして過大評価などでは...いや、なんでもない。」 淡「??」 菫「いいから、この話は終わりだ。(おっと、危ない。ライバルは少ないほうが狙いやすいからな。淡にこれ以上喋るわけには...)」 淡「変な菫先輩...!」 菫「どうした?変な顔をして」 淡「イケメンなら、彼女とかいるんじゃないんですか?」ププッ 菫「なんだと?」 淡「だって~イケメンだったら普通はいるでしょ~」 菫「あり得ん...彼に彼女...私以外の」 誠子(独り言から察するに、弘世先輩は彼女じゃないんじゃ...) 淡「菫先輩は彼女じゃないですよ?たぶん」 菫「あ゛ぁ?」 淡「ひっ!」 誠子「地雷を踏みに行くなんて...さすが大星、高校100年生」 菫「耳が遠くなったかな、もう一度言ってくれないか?」 淡「あわわわ...そ、そんなに言うのなら、会わせてくださいよー...なんちゃって~」 菫「なんのつもりだ?」 淡「い、いえ、せっかくなんで、先輩の見てみたいな~「奪る気か?」」 菫「私の王子様を奪う気かと聞いているんだ」 淡「そ、そんなつもりは」 菫「嘘だ!」 バンッ!! 淡「ひっ!!」 淡「な、なんで...」 菫「あまり調子に乗るなよ?彼と同じ金髪だからと言って、お似合いとは限らない。私のような大和撫子こそが一番なんだ。」 淡「菫先輩...なんか変...」 菫「それにだ。彼に私はファーストキスをささげている。この意味が分かるか?」 菫「おとぎ話でもあるように、彼は私の運命の相手だ。王子様なんだ。気安くお前のような1年が」ブツブツ 淡「に、逃げなきゃ...」 淡「ご、ごめんなさーい!」ダダダダッ 菫「逃がすか。大将戦もあるんだぞ?それに、逃げるふりをして、彼に会うつもりじゃないのか?」 淡「そ、そんな、顔も知らないのに...」 菫「黙れっ!!」 淡「ひぅっ!」 誠子(ご愁傷様...大星) ガラララ 照「ただいま。」 誠子「お、お帰りなさい。」 尭深「...ただいま」 淡「うわーん、てる~、尭深せんぱ~い」 照「何かあったの?」 尭深「?」 菫「あぁ、会いたいなぁ...君も会いたいよなぁ...私はここだぞ?早く来てくれ私の王子様」 照「?」 竜華「あぁ、あかん、だめ...んっ」ビク 竜華「京太郎君、京太...いっ..」 『京ちゃんは私のものよ~』 竜華「うわぁぁ! はぁ、はぁ...」 竜華「慰めても慰めても、この体は満足せん...怜に膝枕しても、まだ足りんねん。しかも、いつもいく寸前にあの女の顔が浮かぶ...」 竜華「竹井久...」ギリッ 竜華「うちがいない間に彼に変なことしとらんやろな...あの女なら、部長権限や言うて」 竜華「あかん。考えれば考えるほど彼、京太郎君が不安や。よしっ探しに行こ!」 竜華「待っててな、京太郎君♥」 竜華「けど、どこ行ったらええねん。京太郎君の連絡先も、宿泊先も聞いてないし」 怜「本能やで竜華」 竜華「怜!」 怜「運命の相手なら、必ず会えるで。うちら2人みたいにな」 竜華「怜~」ギュッ 怜「これじゃ、いつもと逆やんか。世話が焼けるでほんま」 竜華「行ってくる、応援してな。怜」 怜「後のことは、まかせてーな。」 竜華「おおきに、おおきに。」 竜華「確か、京太郎君はうちらと逆の会場やったな」 竜華「会場に来たものの、もう夜やし会場にもおらん。」 竜華「......」 久『貴女には、京ちゃんはもったいないわ。他校のくせに、京ちゃんも迷惑よ。』 竜華「あない屈辱、二度と忘れられんねん。けど、このままじゃ京太郎君とも会え...『だーれだ♪』」 竜華「ひぁぁっ!」 京太郎「おっと、そんなに驚かなくても、俺ですよ。」 竜華「その声...!」 京太郎「はい。京太郎です。竜華さん、覚えてますか?」 竜華「うちの名前まで...感激やぁ~」ギュッ 京太郎「抱き付くなんて、案外甘えん坊でかわいいですね。」 竜華「本物に触れれてうれしいわ...やっぱり、京太郎君は運命の人やったんやな。」 京太郎「運命の人ですか?」 竜華「そや、大阪から来たうちと、長野から来た京太郎君、普通会えへんで?」 京太郎「確かにすごい偶然ですね。」 竜華「それに、昼間は竹井久に邪魔されても、夜には2人きりで会える。これはもうあれや!うちらはロミオとジュリエットやん!!」 京太郎(竜華さんは俺の黒子でベタ惚れ状態...ルックス、スタイル良し、邪魔者もいない。仕掛けるなら今か?) 京太郎「ジュリエット、会えてうれしいよ。」チュッ 竜華「んんっ!」 京太郎「貴女と会えたのが運命なら、俺はどんな運命も受け入れましょう。」 竜華「んっ、それって...うちと」 京太郎「ええ。とりあえず、俺の部屋に来いよ。2人きりで、な?」 竜華「う、うん。ええの?」 京太郎「もちろんだ。それとも、竜華は俺が怖いか?」 竜華「ううん。こわないよ?」 京太郎「今日は泊っていくだろ?」 竜華「ええの!?泊る!」 京太郎「ふふっ(こんなに簡単にいくとはな)」 竜華「笑った顔も、かっこええなぁ~」 京太郎「竜華もいいよ。特に、足がいい。」 竜華「ひぅ、もう、手が早いなぁ。」 京太郎「竜華も期待してただろ?」 竜華「もぉ~、言わんといてぇな、はずかしいやん」 京太郎「ま、部屋でゆっくりな。」 竜華「優しく、頼むで///」 怜「竜華...」 怜「寂しなるけど、よかったなぁ竜華、幸せになり」 怜「避妊はしっかりな。怜ちゃんはクールにタクシーで帰るで。」 ブロロロロ 竜華「とき?」 京太郎「どうした?」 竜華「怜がいたような...気のせいやろか?」 京太郎「いたなら、誘うか?」 竜華「ううん。気のせいやったわ。それより、はよしよ?(怜には悪いけど、彼だけは誰にも渡したないねん。)」 京太郎「まったく、こんなに淫乱に育てた覚えはないぞ。」 竜華「こんなん、京太郎君の前だけやで。」 京太郎「ははっ、じゃあ今日は帰さないからな。」チュッ 竜華「んっ...こっちも、帰る気ないで♪」チュッ 京太郎「ふっ、んっ、んっ」 竜華「あんっ、んんっ、ひぐっ、あんっ」 京太郎「この体、触り心地、最高だな。」 竜華「ひっ、そこはだめ、弱い、ひっ!!」 京太郎「竜華の体、だれのものかしっかり叩き込んで」 竜華「来て、うちも、もう、んん~~~!」 まこ「良い子もいるだろうし、S○Xシーンは省略じゃ。すまんのう。」 京太郎「朝か...なんだ、この感触」 竜華「んんっ...」 京太郎「そうだ。竜華さんが泊ってたんだった。」 竜華「京太郎くぅん...」 京太郎「そうだ。俺はやったんだ。これでもうキャスターにはならない。俺はランサーだ。女を突いたんだ。」 竜華「えへへ...」 京太郎「それにしても、いい体だな。」モミッ 竜華「あうっ、も~なんなん、朝から」 京太郎「裸で寝てるほうが悪いんですよ。触りたくなりますって」 竜華「そんなん、京太郎だって同じやん。もっかいする?」 京太郎「やりたいけど今日も試合あるでしょ?体、べとべとでしょ?シャワー浴びません?」 竜華「そやな。名残惜しいけど、うちも学校あるしな。でもまたしてくれるやろ?うち、もう京太郎君の彼女みたいなもんやんか」 京太郎「そうですね。じゃあ、俺と付き合います?」 竜華「うん!ゆ、夢じゃないよね?あの女も出てこんよね。」 京太郎「何言ってんすか。現実ですよ。俺に抱かれたことも、俺の彼女になったことも」 竜華「京太郎!」ギュッ 京太郎「竜華」 竜華「浮気したら...許さんで」 京太郎「竜華?」 竜華「京太郎がうちを選んでくれたのは嬉しいで。でもな、もし京太郎がほかの女と一緒にいたら...」 京太郎「だ、大丈夫。竜華以外の」 竜華「なら安心や。やっぱり、相思相愛だと安心するで。そや、写メとっとこ。怜たちに見せよっと」カシャ 京太郎「りゅ、竜華?」 竜華「よし、きれいに撮れたで。」 京太郎「ちょ、ちょっと(しまった、おもちを前に焦りすぎたか?)」 竜華「なんや?キスか?ええで、んっ」 京太郎「そ、そうじゃなくて、その...写真とか、彼女とか、ちょっと急ぎすぎじゃないかな~なんて、」 竜華「は?」 京太郎「ひっ...(竜華の目から光が)」 竜華「なんや、何か不満でもあるんか?」 京太郎「そういうわけじゃ...ただ、あまり縛られても俺が困るというか」 竜華「うちがそんな重い女に見える?ただ京太郎と幸せになりたいだけやん。そやろ?それとも、うちが嫌いになったんか?」 京太郎「そういうわけでは...(おかしい、黒子があるのに、優位に立てない)」 竜華「ならええやん。あの竹井とかいう酷い女にも伝えといてな。京太郎にふさわしい女は誰か、っちゅうことをな。」 竜華「そや、なんならうちが伝えたるで。電話、貸して」 京太郎「い、いや、さすがに『貸せ!』」 竜華「よし、それでええねん。あ、もしもし?え、京ちゃん?おもろいこと言うなぁ、私の京太郎君やで?気安く呼ばんといてえな。」 京太郎「あ、あわわ」 竜華「京太郎君ならおるで。そや、あんま酷い仕事押し付けたらあかんよ?」 竜華「彼氏を奴隷扱いされて喜ぶ女なんておらんで?なに?誰が彼氏彼女やと?うちと京太郎君に決まっとるやろ。鈍いなぁ」 竜華「そういうわけや。ほなな。」 京太郎「まずいことになった......」 竜華「なにがや?」 京太郎「久に...」 竜華「京太郎?久、言うたか?」 京太郎「え、ええ。」 竜華「うち以外と親しくなったらあかんで?京太郎はイケメンやし、女の子が勘違いしてまうやろ?」 竜華「だから、うち以外の名前呼びはもう禁止や。わかったな?」 京太郎「でも、幼馴染とか、呼びなれてる「返事は?」」 京太郎「了解です。マスター!(な、なんだ...口が勝手に...)」 竜華「そないかしこまらんでも...長い付き合いになるんやし、よろしくな。京太郎♪あつっ、なんや、太ももに変な模様が」 京太郎「ウソだろおい...あれってジョークじゃなかったのかよ。」 竜華「なんや、何か知っとるんか?」 京太郎「それは俺を縛る呪い...最大3つまでマスターの願いをかなえます。(まただ...また勝手に)」 竜華「そうなんか...それって、私の夫になれ。とかも効くんか?」 京太郎「それがマスター...主の望みなら」 竜華「ええこと聞いたで。これから楽しみやな、京太郎♪」 京太郎「はい。主の御心のままに(俺はこの時初めて、竜華さんが怖いと思った。)」 京太郎「まずいことになった...この黒子、デメリットがあるとは聞いていたが、ここまでとは」 竜華「なにブツブツ言ってんの?」 京太郎「何でもありません。主、それよりこれからどう行動するのですか?」 竜華「その、主言うのやめてほしいな。なんか距離感じてしもうて寂しいねん」 京太郎「しかし、主は主であり」 竜華「竜華でええよ。京太郎」 京太郎「わかりました。竜華様」 竜華「なんか違うけど、まあええわ。それより、さっきから電話鳴りやまんね」 京太郎「ええ。どうやら、部長からのようです。」 竜華「しつこいなぁ...そや、京太郎から直接言えばええねん。」 京太郎「言えというのは?」 竜華「そやなぁ...『部長、俺彼女ができました。俺はこの人に忠誠を誓います。』でええよ。あの女の悔しがる顔が目に浮かぶで」 京太郎「で、ですが、それでは...」 竜華「京太郎、言えへんの?」 京太郎「...わかりました。(逆らえない...黒子のせいか?しかし、このままじゃ)」 竜華「ほら、電話やで。しっかり言いや」 京太郎「もしもし部長ですか?ええ。須賀京太郎です。実はですね部長、俺彼女ができました。俺は今後この人に忠誠を誓います。」 竜華「ええでええで~」ニマニマ 京太郎「冗談ではなく、え、脅されてる?そんなことは...」 竜華「脅すわけないやんかな~」ギュッ 京太郎「わ、竜華、急に抱き付かないで...え?今どこか?まだ旅館ですけど」 京太郎「え、いや、来られても困るんで...え、竜華に変われ?」 竜華「ええで、電話貸して。もしもし、さっきからヒステリックな声あげて...あんまり京太郎困らせんなや」 竜華「え?困らせてるのはお前?馬鹿言うなや。あんたホンマしつこいで。な、京太郎もそう思うやろ?」 京太郎「俺は......竜華さんのものじゃない!」 竜華「なんやと?」 京太郎「助けてくれ、久!咲!」 竜華「久言うたな。さっきの話は無しや。今日は京太郎君、千里山に連れてくわ。色々お話したいしな。じゃあ切るで。」 プツッ...ツー、ツー 竜華「京太郎、今の言葉なんや?なんかの冗談やろ?彼氏になって気が動転してただけやろ?そうに決まっとるよな?」 京太郎「俺は、竜華のことは確かに好きだ。けどな、こんな関係望んでないんだよ。がはっ!」 竜華「言うやんけ...京太郎、やっぱり男らしいなぁ、そういうところも大好きやで」 京太郎「だったら、さっさと俺を解放「それはできんナぁ」」 竜華「そや、これ試してみよか。3つまで願い事かなうんやろ?」 京太郎「霊呪...それで俺を縛る気か?」 竜華「ううん。縛るなんて人聞き悪いなぁ...ただ、京太郎君の目を覚まさせるだけやないか」 京太郎「覚まさせる?」 竜華「そや。誰の彼氏か、うちがどれだけ京太郎を愛しているか、ほかの女が京太郎にとってどれほど害悪かをな。」 京太郎「主、いえ、竜華...どうして」 竜華「さっきから主や竜華やキャラぶれとるなぁ...久のせいか?久の声聞きいてからやもんな。ほんま清澄の部長は悪女やで」 京太郎「......俺にどんな呪いをかけるつもりですか?」 竜華「そやなぁ~...一番はあれやろ。うちと結婚、子作りやろ。」 京太郎「そ、そんな...」 竜華「けどな、京太郎には本心で好いてもらいたいねん。こんなのに頼らんでな」 京太郎「ならば、そんなものに頼らず、俺を解放してくれれば「それはあかん。」」 竜華「京太郎は魅力的やからな。逃げられんようにしとかんと...そや、これにしよか」 竜華「命令や。これからはできる限り、うちと一緒にいてもらうで。」 キィーン 京太郎「あぐっ、がっ、頭が...(なんだこれ、脳みそに針を刺されているような...)」 竜華「効いたんかな?京太郎?」 京太郎「何でしょうか、わが主、竜華様」 竜華「京太郎のこれからの予定は何?」 京太郎「今日は、これから竜華様と千里山高校のメンバーと合流し、その後は竜華様の付き添いになります。」 竜華「ん~~♪」 京太郎「竜華様?」 竜華「清澄はええんか?」 京太郎「はい。竜華様と一緒にいることが、俺の使命ですから。」 竜華「そやな。なら、こんなホテルチェックアウトして、うちらのホテルこれから泊ろっか。1人増えても一緒やもん。」 京太郎「竜華様のそばにいられれば、俺は構いません。」 竜華「ええ返事や。さすが京太郎やな。」 竜華「怜もびっくりするやろな...うちが彼氏連れてきたら...じゃ、行くで。邪魔者が来たら面倒やし」 京太郎「はい。」 竜華(この霊呪、効き目抜群やな。使いどころ選ばんと...) 京太郎(清澄のみんな...ごめん。俺はもう、戻れないかもしれない) 竜華「♪」 一方そのころ 阿知賀イベント コンマによっては修羅場有 宥「うう、寒い...」 玄「おねーちゃんがマフラーを脱いだ!?」 憧「嘘、雪でも降るの?」 宥「寒いとね、あっためてもらえるんだよ?」 憧「あっためてもらう?」 玄「だ、誰に?」 宥「金髪の...太陽みたいな人///」 憧「そ、それって男?」 宥「うん...とっても、あったかい人」 玄「ど、どんな人なのです?」 憧「だから、金髪の太陽みたいな人って」 宥「それに、すっごくきれいな顔なの。泣きぼくろも素敵で」 憧「ベタ惚れじゃん...名前とかわからない?」 宥「うん...一回しか会ったことないから...また会いたいなぁ」 憧「一目ぼれ!?」 宥「そうなるのかなぁ...でも、あの人はすごく素敵なの。あったかくて、私を包んでくれるの」 憧「ゆ、宥姉がそこまで...」 玄「お姉ちゃんをここまで...ええい、見つけ次第とっちめてやるのです!」 宥「誰を?」 玄「そのナンパ男をなのです!」 宥「なんで?」 玄「だって、お姉ちゃんに抱き付くなんて...」 宥「とっちめて、もし私が嫌われたら?」 玄「えっと、それは...」 憧(真顔で問い詰める宥姉、怖いわ) 玄「そうなのです!とっちめるより、捕まえてお姉ちゃんに会わせるのです。」 宥「探してくれるの?玄ちゃんは優しいね」 玄「あ、当たり前なのです!私のコンマ運にかかれば、男の1人や2人、すぐ」 憧(玄ってコンマ運いいっけ?) 宥「じゃあ、お願い、しようかなぁ...きっと、この会場にいると思うから」 玄「お、お任せあれ!」 玄「行ってくるのです!」 宥「頑張ってね~」 憧「試合始まるのに、見つけられるのかな?」 玄「その前に、おトイレ行ってくるのです!」 憧(ホントに大丈夫かなぁ...) 玄「見つけたのです!」 憧「はやっ!」 玄「女子トイレの近くにいたのです。金髪、イケメン、泣きぼくろ、ビンゴなのです。」 京太郎「ここは?」 憧(うわ、すごいイケメン...化粧しっかりすればよかったかも。でもなんで女子トイレの前?) 玄「まぁまぁ、お姉ちゃんが話があるのです。」 京太郎「お姉ちゃん?」 宥「お、覚えてますか?」 京太郎「貴女は確か...宥さんでしたっけ?」 宥「はい...覚えてて、くれたんですね。」 憧「宥姉嬉しそ~」 玄「お姉ちゃん、私もほめてほしいのです。」 宥「試合、頑張ってね。」 玄「そ、それだけ?」 宥「憧ちゃん、玄ちゃんのことお願いしていい?2人きりになりたいの」 憧「は、はい。ほら、玄、行くよ。」 ズルズル 玄「お姉ちゃーん!」 宥(見つけてくれてありがと...玄ちゃん) 京太郎「それで宥さん、いったい何の用事でしょうか?」 宥「あの、あう...えい」ギュッ 京太郎「!?」 宥「あったかーい」 京太郎「宥さん?」 宥「少しだけ、少しだけでいいの。貴方のぬくもりに包まれたいの」 京太郎「困ったな...弱っている女性を拒むわけにもいかないが、わが主との約束もある......」 宥「主?誰かなぁ?」 京太郎「俺の大切な人です。髪が長く、俺のことを心配してくれる心優しい方です。」 宥「......」ギュッ 京太郎「宥さん?」 宥「聞いてもいい?その人って、誰?もしかして...彼女?」 京太郎「ええ。わが主こと竜華様は俺の彼女です。」 宥「...して」 京太郎「何か言いました?」 宥「どうして...どうして彼女なんて...」 京太郎「それが主の望みだからです。」 宥「貴方は...それで満足なの?」 京太郎「ええ。それが彼女、竜華様が望んでいることですから」 宥「さっきからそればっかり...私に抱き付いたのはどうして?彼女がいたなら、どうして白糸台の人ともキスをしたの?」 京太郎「そのようなこともありました。しかし、今の俺は竜華様が大事なんです。俺が一緒にいなければ...だから、これで失礼します。」 宥「行かせない。貴方は...きっと騙されてる。」 京太郎「...離してください。」 宥「いや...わがままだけど、ここで離したら、もう会えない気がするから」 京太郎「竜華さんが俺を待っているんです。」 宥「また竜華さん...そんなにあの人がいいの?」 宥の病み度が3/10となりました。 京太郎「ええ。あの人が私の主ですから。」 宥「だったら...私はどうすればいいの?」 京太郎「それは...あがっ、っつ!(またこの痛み...なんだこれ)」 宥「だ、大丈夫?」オロオロ 京太郎「え、ええ。軽い頭痛ですから。失礼します。」 宥「ここで、休む?」 京太郎「優しいですね。宥さん...」 宥「貴方が...心配だから」 京太郎「そのやさしさを...いっ、ほかの人に向けてあげてください。俺なんかよりもいい人が...」 宥「無理だよ...」 宥「京太郎君だから、こんなに心配なんだよ?」 京太郎「宥さん...」 宥「わがままだってわかってる...けど、京太郎君は私の...大事な」 竜華「やっと見つけたで。京太郎」 京太郎「竜華様!」 宥(清水谷...竜華...) 竜華「ほら、ほかの女と話とらんで、部屋いくで。命令忘れたんか?」グイッ 宥「あっ......」 竜華「なんや?人の彼氏に手だすつもりか?」 宥「そうじゃない...京太郎君は頭痛が...」 竜華「そ、そうなん?大丈夫?」 京太郎「はい。竜華さんに会ってから、頭痛が引いていきました。」 竜華「らしいで。案外、あんたが原因やったりしてな。ほな、京太郎に何かあったら困るし、あんま近づかんでな」 宥「自分勝手...」 竜華「なんか言ったか?」 宥「自分勝手だって言ったんです。」 竜華「面白いこと言うな、あんた。松実、宥やったか?」 宥「貴方に京太郎君は相応しくない。別れて」 竜華「あほらし、恋人ごっこしたいなら、ほかの男でやれや。行くで京太郎」ギュッ 京太郎「はい。竜華様」 宥「京太郎君!」 竜華「竜華でええ言うとるやろ。それと、敬語禁止な」 京太郎「ごめん、竜華...心配かけて」 竜華「ま、許したるわ。京太郎はイケメンだから、さっきみたいなストーカーぎょうさんおるやろうしな。けど、2度はないで」 京太郎「竜華を裏切るなんて、絶対しないさ。」 竜華「ええこや。今日の夜も、たっぷりしよな♪」 宥「なんで...京太郎君...あったかくないよ...寒いよ...ぐすっ」 憧「あれって、清水谷さんだよね?なんで、うちらの部屋に...って、宥姉!?」 宥「うぅ、ぐすっ、許せない、絶対許せないよ...京太郎君がかわいそう」 憧「京太郎ってさっきの?それに、清水谷さん...なにがあったの?」 京太郎「怜さん...大丈夫かな...」 竜華「怜のためにも、絶対勝たなあかん。そやろ?」 京太郎「ええ。精一杯、サポートしますよ。」 竜華「ありがとな...京太郎、うち不安なんや。」 京太郎「不安?」 竜華「怜の病気の再発、それに、京太郎までいなくなってまうかもって考えたら...怖いんや」 京太郎「竜華...」ギュッ 竜華「京太郎?」 京太郎「一度忠誠を誓ったからには、絶対裏切りません。約束します。」 京太郎「だから、もう悲しい顔はしないでください。」 竜華「きょうたろ~」ギュッ セーラ(こいつら病室で何いちゃついとんねん。) 次鋒戦 泉「高1最強としてここは...」 菫「ロン、8000だ。」 泉「またですか...」 宥「ねぇ...少し聞いてもいいかな?」 泉「私にですか?」 宥「うん。千里山に...京太郎君、いるよね?」 泉「え、ええ。おりますけど」ビクッ 菫「なに、京太郎だと?」 泉「な、なんですの?二人とも、今試合中ですよ?」 菫「なぜ君たちのところに彼がいるんだ?」 泉「そら、清水谷先輩の彼氏だからって聞いて「彼氏だと?」」 菫「今彼氏といったか?」 泉「え、ええ。言いましたけど」 菫「ふざけるな!!」 泉「わ、私に言われても」 宥「彼、ストーカーがいっぱいだから困るよね。今も...千里山に監禁されて」 泉「か、監禁!?」 宥「違うの?だって...清水谷さんが、私の京太郎君を奪っていったよ?」 菫「監禁か...今はやりの王子を助ける姫...ふふふ。私にぴったりだな。」 泉「監禁なんてしてません!清水谷先輩と京太郎さんは相思相愛です。さっきだって、園城寺先輩が倒れるまでは部室で...///」 菫「腹は決まったな。」 宥「必ず助けてあげる...」 泉「な、なんです、二人して...そんなに睨まないで下さいよ」 菫「狙いは千里山だ」 宥「京太郎君...待っててね。かならず助けてあげる。」 泉「そんな理不尽な...勘弁してくださいよ」 菫「私の王子をさらった罪」 宥「あったかさを奪った...あの女」 菫・宥「「潰す(してあげる)」」 泉「とばっちりじゃないですか~」 美子(私だけ蚊帳の外...) イベント ランチタイム~竜華と京太郎~ 京太郎「竜華さん、何か食べないと体に毒ですよ?」 竜華「食べたいけど...食べたないねん。」 京太郎「怜さんが心配なのはわかりますけど、竜華さんだって試合あるんですよ。」 竜華「じゃあ京太郎が食べさせてや。」 京太郎「え?」 竜華「だから、京太郎が食べさせてくれるなら食べる言うてるんや」 京太郎「それは、いいですけど...」 竜華「決まりやな。じゃあさっさと食べにいくで」 京太郎「あれ、ほかのみんなは呼ばないんですか?」 竜華「あほ、2人きりで食べたいんや。って、何言わせるねん///」 京太郎「じゃあ、何食べます?」 竜華「そやなぁ...京太郎と一緒ならなんでもええけど...ま、食堂言って決めよ♪」ギュッ 京太郎「はい。」 「もきゅもきゅ...パフェおかわり」 竜華「混んどるなぁ...」 京太郎「はぐれないように、気を付けないといけませんね。」 竜華「はぐれても、今まで会えたやろ?だいじょうぶやで」 京太郎「それもそうですね。どれにします?」 竜華「京太郎のおすすめってある?」 京太郎「そうですね、タンパク質やビタミンも摂取できる、オムライスとかどうですか?」 竜華「京太郎が食べさせてくれるなら、なんでもええよ♪」 京太郎「じゃあ、俺のは竜華さんが選んでください。」 竜華「じゃあ、ハンバーグとかどう?お肉やし、好きやろ?」 京太郎「じゃあそうしましょうか。注文してくるので、席の方お願いします。」 竜華「はいはーい。」 竜華「どこにしよかな...あ、ここ空いてる。京太郎も見えるし、いい場所やな。」 竜華「京太郎は優しいなぁ~...最高の彼氏や~♪」 宥「ここ、いいですか?」 竜華「すんません、彼氏が座るんで...って、あんたか」 宥「奇遇ですね。私も...彼氏を待ってるんです。」 竜華「京太郎なら渡さんで」 宥「それは彼が決めることですよね?これだから話を聞かない大阪人は...」 竜華「べらべらとよう喋るやんけ。さっさと目の前から消えろや」 宥「下品ですね...彼を返してくれれば...すぐ帰りますよ?」 菫「いーや、彼は私のものだ。」 宥「弘世さん...」 菫「悪いな、彼にはファーストキスを奪われたこともあるのでな。」 竜華「なんや、さっきからぞろぞろと...目ざわりや。」 菫「京太郎はこんなガラの悪い魔女につかまったのか?」 竜華「誰がガラの悪い魔女だ。それに、どっちかっていうと、あんたらのほうが人の男に手を出そうとする悪女に見えるで」 菫「なんだと?」 宥「ふふっ...」 竜華「ちっ...あんたら見て食事なんて出来るかい...京太郎、ここ出るで。」 京太郎「え、今食事貰ってきたところですよ?」 竜華「京太郎のストーカーがびっしりおる場所で飯なんて食えるかいな」 照「私は婚約者だから大丈夫」 菫「照、誰が婚約者だ!」 照「京ちゃんとはホテルに行きそうになる仲...ミスで行けなかったけど」 菫「なに、それは本当なのか?」 宥「ウソつきばっかり...私が彼を...」 照「この前はいけなかった。だから今度こそ行く」 竜華「言いたい放題言いよって...」 照「やっぱり、京ちゃんには、おしとやかな女の子の方がいいと思う。」ムシャムシャ 菫「同感だな。すくなくとも、こんな獣みたいな女は相応しくはない。」 竜華「なんやと?白糸台だか何だか知らんけど、あんまりふざけたこと言ってるとしばくで」 宥「ほら...口でかなわないと暴力...獣同然」 竜華「お前ら...」 京太郎「ちょっと、喧嘩はやめてくださいよ。」 照「喧嘩じゃないよ?」 菫「そうだな。」 宥「うん...京太郎君も、嫌なことは嫌って言ったほうがいいよ」 竜華「な、なにをやねん!」 照「貴女が彼女だって言い張ること」 菫「それが彼にどれだけ負担となっているか、考えたことがあるのか?」 竜華「んなわけあるかい!京太郎...そやろ?」 京太郎「え、ええ。もちろんです。竜華さんは、俺の彼女です。」 宥「」ズキッ 菫「くっ...」 照「?」 竜華「ほら見んかい、京太郎がこう言ってるんや。外野はさっさと帰りな」 菫「しかし、それが京太郎の、私の王子の本心とは限らない!照!」 照「照魔境で見てみる。」 竜華「なんやと?」 京太郎「照魔境?」 宥「待ってててね。今、私たちが助けてあげるから」 照「出た。京ちゃんの本心は...一度忠誠を立てたからには、俺は竜華さんと添い遂げる!らしい」 菫「馬鹿な!?」 宥「う、嘘...」 竜華「ほら見んかい、彼女っちゅうんわな、無理やりなるもんやないんやで!」 菫「しかし、彼と貴様の接点すらもないじゃないか!」 竜華「うちらはな、偶然会い、一度は障害にぶつかりながらも、あきらめんと再度あった仲や。つまり、本能から結ばれとんのや!」 宥「本能...」 竜華「怜から聞いたで。あんた、妹使って京太郎探し当てたそうやないか。うちがトイレ行ってる間に、ようもまぁ盗んだもんや」 宥「ちがっ...盗んでなんか...」 竜華「ま、そんなことしてもすぐ見つけるけどな。それくらいうちらの仲は深いんや!」 宥「あっ...あぁ...」 菫「しかし、彼とキスしたのは私だ。」 照「それはちょっとうらやましい」 竜華「キスくらいくれたるわ。その程度のつながりで...よくもまぁ吠えれるもんやなぁ」 菫「それくらいだと!?」 竜華「これ見てみい。京太郎もほら」 京太郎「は、はい。」 菫「首筋?」 宥「赤い...あったかい...まさか...」ガクガク 竜華「さすがにぶりっ子っちゅうわけやないやろ。見た通りや。そんなわけで、さっさと帰りな」 照「待って」 竜華「なんや、まだあるんかい」 照「鏡で見た。足の模様...何?」 竜華「ああこれかい。うらやましいやろ?」 菫「刺青か?大阪はこれだから」 竜華「じゃかぁしいわ!いい機会やし教えたる。これはな、京太郎とつながった証なんや。」 照「つながった証?」 竜華「簡単に言えば、おまえらストーカーと彼女の違いみたいなもんや。」 宥「私はストーカーなんかじゃない...ストーカーじゃない」 竜華「ええ機会や。この証の力...見てみるか?」 菫「力だと?」 竜華「といいたいところやけど、見せるのはもったいないわ。」 宥「その証...奪いさえすれば」ブツブツ 竜華「無駄やで。それにな、京太郎はうちと一緒にいないと、大変なことになるんよ。」 照「大変なこと?」 竜華「そや。そこのマフラー撒いてるストーカーさんなら、よお知っとるやろ?」 宥「頭痛...まさか...」 竜華「そや。詳しくはそのストーカーから聞きや。もうええやろ。こっちも大事な時間無駄にしたないねん。」 竜華「行くで、京太郎。ここじゃ食べれんやろ?怜の場所いこか」 京太郎「は、はい。」 照「待って、京ちゃん」 竜華「なんやねん...しつこいなぁ」 照「京ちゃんの声で聴きたい。本当に、私たちが嫌いになったの?」 竜華「あほか、そんなもん決まっとるやないか。」 照「貴女には聞いていない。私が効いてるのは京ちゃん」 竜華「...さすが個人戦チャンプ...ずいぶん偉そうやなぁ」 照「照魔境で見ても、それが京ちゃんの本音とは限らない。だから答えて、京ちゃん」 竜華「ふん、何度聞いても変わらんで。京太郎」 京太郎「俺は...」 竜華「言ったれ言ったれ」 京太郎「俺は......」 菫「京太郎...」 宥「京太郎君...」 京太郎「俺は...俺は、竜華さんの彼氏じゃない!」 照「京ちゃん!」 菫「よっし!」 竜華「嘘やん...またなんかの冗談やろ?朝みたいにな、そやろ?」 京太郎「主、いえ竜華さん」 竜華「なんや?キスか?それとも、ベッド行くか?」 京太郎「初めての相手はあなたでした。それに、初めてできた彼女...嬉しかったです。」 竜華「なんやねん...なんでそんなさみしい顔すんの?」 京太郎「怜さんにお別れが言えないのはつらいですけど、いくら縛られようとも、やっぱり本心は帰れませんでした」 京太郎「正直に言います。最初に竜華さんを抱いたとき、覚えてますか?」 竜華「も、もちろんやん。」 京太郎「本当はあの時、竜華さんの体目当てでした。」 竜華「なん...やて?」 京太郎「本当にすみませんでした。いくら謝っても、許してくれるとは思いません。」 竜華「いやや。そんなこといわんで...」 宥「往生際が悪いですよ...清水谷さん」 京太郎「訴えるなら、訴えてもらっても構いません。」 菫「安心しろ。君は私が守る。」 京太郎「菫さん...」 菫「いっただろ?君は私の王子様だと」 宥「あったかいギュッてしてくれる?」 京太郎「宥さん...」 照「良かったね。京ちゃん」 京太郎「照さん...」 「...んで」 「...んで、...郎」 「...じる。」 京太郎「竜華さん?」 竜華「そっかぁ、うち捨てられたんかぁ...なら、京太郎なんて...」ブツブツ 菫「醜いな」 宥「散々私たちを馬鹿にしてたのに...」 京太郎「竜華さん...」 竜華「いらんよね。けど、京太郎を誰かに渡すんも嫌や。京太郎はずーっとうちのものや。ほかの誰でもない、うちのものなんや。」ブツブツ 照「なんだか怖い...」 竜華「なああんたら...うちから京太郎を奪って楽しいか?」 竜華「うちは許さん...あんたらを絶対に許さんで。うちが地獄に行っても、それは1人でやない。京太郎も一緒や。」 照「なにするき?」 竜華「アハハハハ!令呪を持って命ずる。京太郎、うちを殺せ!」 「「「!?」」」 菫「馬鹿らしい...何が命ずる!だ。くだらない。」 宥「京太郎君もそうおも...う...え?」 京太郎「う、ウソだろ...やめてくれ...殺したくない...殺したくないんだ」 竜華「ここは食堂...刃物ならいっぱいあるで。」 照「止めなきゃ...あぅっ」 菫「すごい力だ...おい、周りのみんなも手伝え!」 竜華「もう遅いで。ほらおいで、ここやで。京太郎の大好きなここ刺してえな。」 京太郎「やめ...ひぐっ、やめてくれ...」 竜華「あはは、泣いてる顔もええなぁ...さ、はよ頼むわ。京太郎の手で、うちを殺して。」 京太郎「嫌だ。だれか、誰か...俺を止めてくれー!!」 宥「ダメ...力が強すぎる。」 菫「周りの連中も刃物を持っているせいか、手を貸そうともしないとはな。」 竜華「安心しいや。ちゃあんと、最後の令呪も残したるさかい...」 京太郎「いやだぁーーー!」 ザクッ! 竜華「かはっ...そ、げふっ、それでええんや、それで...これで、げほっ...京ちゃんは永遠に...」 女の子が刺されたぞー! 救急車、それに警察をよべー! 京太郎「あ、あぁ...」 照「京ちゃん!」 京太郎「照さん...おれ、おれ...」 菫「よくも、京太郎を人殺しに!」 竜華「最後、っのれい、じゅ、を、もって、命じる...」 菫「また何かする気か?」 竜華「自害せよ、京太郎...うちの、げほっ、ために...」 菫「まずい、宥、照、京太郎を止めろ!!」 宥「京太郎君!」 京太郎「と、止めないでください...俺は、俺のせいで...」 宥「いや...いやだよ...こんなの...あったかくないよ...」 照「やめてー!」 ザクッ 京太郎「がはっ...い、いてえ...けど、ぐふっ...竜華さんはこれ以上の痛...」 竜華「さ、最初の令呪...覚えとる?」 京太郎「え、ええ...一緒にいるですよね。」フラフラ 照「動かないで、出血が...」 京太郎「これでお互い...地獄行きですかね...げほっ、おえっ」 菫「血が...おい、救急車はまだか!」 京太郎「手遅れですよ。ヒュー...ヒュー...じぶんでもわかる。」 宥「だめ、貴方はあったかくないと...また私をあっためて...ぐすっ」 京太郎「竜華...本当に、こうなっちまうとはな...」 竜華「2人で...死ぬと..ロミオと...ジュリエットみたいやな...先、いっとるで」 京太郎「ああ...地獄でも、一緒にいてやるよジュリエット」 竜華「......」 京太郎「笑顔で逝きや...あぁ、待っててくれ...ジュリエット...俺も、もうすぐ...」 照「京ちゃん!!」 菫「京太郎!」 宥「京太郎君!!」 京太郎「......」 「いやぁぁぁ!!」 DEAD END
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5849.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420351389/ 京太郎「なぁ」 淡「んー?」 人の家のソファでポッキーを咥えながら持ち込んだファッション雑誌を読む淡。 足をパタパタさせて、まるで我が家のように振舞っている。 まぁ可愛いからいいかって――そう思う気持ちが浮かんでくる俺も、きっと大概なんだろうな。 京太郎「大学1万年生って、結局なんなんだ?」 淡「あー、それはね!」 雑誌をソファに置いて、淡はすくっと立ち上がった。 瞳が爛々と輝いて、実にイキイキしている。 淡「高校1年生の時の私が、大体高校100年生分の強さだから」 京太郎「うん?……まぁ、うん」 淡「今の私はあの時の100倍強いから! だから大学1万年生!!」 100×100=10000。 実に単純で、シンプルな答えである。 京太郎「淡は可愛いなぁ」なでなで 淡「でしょーっ!!」 ふふんと、鼻を鳴らして胸を張る淡。 昔は慎ましやかだったスタイルも、今では立派なおもちに成長したなぁと思う。 けど、 京太郎「淡はバカだなぁ」 淡「なんでっ!?」 ちょっぴりアホな子ほど可愛いっていうのは、本当のようである。 カンッ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3391.html
京太郎「こんなにたくさん女の子がいるんだ、俺にも彼女くらい出来るはず…」 京太郎「よし!じゃあハギヨシさんに告白しよう!」 京太郎「って男じゃねえか!ダメだろ!」 京太郎「まあ安価は絶対だしな…どうせ告白しても成功しないだろ…」 京太郎「それじゃあ行ってくるか…」 ハギヨシ「それで話というのは?」 京太郎「いや実はですね…」 京太郎「前からあなたの事が好きでした。付き合ってください。」 ハギヨシ「!?」 京太郎(やべー…言っちまったよ…) ハギヨシ「それは…本気で言ってるのですか…?」 京太郎「はい?」 ハギヨシ「本気で言っているのかと聞いているんです。」 京太郎「え、ええ…もちろんです。」 ハギヨシ「そうですか…分かりました…」 京太郎(怒らせちゃったかな…) ハギヨシ「実は私も貴方の事が好きでした。喜んでお付き合いさせて頂きます。」 京太郎「えっ」 ハギヨシ「それでは服をお脱ぎ下さいませ…」 京太郎「えっ?いやっ、ちょっ…やめ…」 大沼「何をしとるんじゃ!お前ら!」 京太郎「あなたは確か…大沼プロ!」 ハギヨシ「ちっ…邪魔が入ったか…」 大沼「まったく…近頃の若い奴は…ワシも一緒にやらせんか!」ポロンッ 京太郎「」 大沼「ほれ、さっさと尻を出さんか。」 京太郎「ちょっ…やめっ…」 ハギヨシ「お待ち下さい。私の方が先です。」 大沼「なんじゃと!老人に先に譲らんか!」 ハギヨシ「いいえ。こればかりは譲る訳にはいきません。」 京太郎(何なんだこいつら…) 大沼「さっさと譲らんか!この若造が!」 ハギヨシ「いいえ。こればかりは絶対に譲れません。」 京太郎「二人とも落ち着いて…」 大沼 ハギヨシ「うるせえ!黙ってろ!」 京太郎「(´・ω・ `) 」 ハギヨシ「分かりました。ならばどちらが京太郎様を満足させられるか勝負しましょう。」 大沼「ふん…小癪な…まあ良いだろう…」 大沼「それでルールは?」 ハギヨシ「お互いに挿れ合って先にイった方が負けという事でどうでしょうか。」 大沼「良いだろう…ワシに勝負を挑んだ事を後悔させてくれるわ!」 京太郎(今のうちに逃げよう…) 京太郎「やっと逃げてきた…まさか裸のまま追ってくるとは…」 京太郎「偶然警察の人にすれ違わなかったらヤバかったな…」 照「君は確か咲の高校の…」 京太郎「そういうあなたはチャンピオンの宮永照じゃないですか。こんなところで何を?」 照「それはこちらのセリフ。きみこそ何をしているの。」 京太郎「えーとですね…ちょっと危ない奴らから逃げて来たというか…そういうあなたは何を?」 照「「すがきょうたろう」とかいう咲にくっつく虫がいるそうなので始末しにきた。」 京太郎「えっ」 照「ところでまだ君の名前を聞いていなかったけど…」 照「君…名前は?」 京太郎「え…えーと赤木しげるです!」 照「アカギ…?どこかで聞いた事がある名前…」 京太郎「いやちょっと色々とやってるんですよ…はは…」 照「まあすがきょうたろうじゃないならいいよ。」 ハギヨシ「京太郎様…私達から逃げてこんなところで何を…?」 京太郎「お前…どうしてここに…」 照「おい…京太郎とはどういう事…?」 ハギヨシ「フフフ…今度は逃がしませんよ…」 京太郎(色々やべえ!こうなったら狂言を吐いて場を混乱させるしかない!) 京太郎「こいつが須賀京太郎です!錯乱して俺と中身が入れ替わったと思い込んでいるんです!」 ハギヨシ「なっ…」 照「そうなの?」 ハギヨシ「いやそんな訳無いでしょ!」 京太郎「やっぱコイツ錯乱してますよ!咲さんに手を出す前にやっちゃって下さい!」 照「よし…君たちホモセックスしよう…」 京太郎「うんうん!…って何だってええええええ!?」 京太郎「何でそんな事しなきゃいけないんですか!普通に始末すれば良いでしょ!」 照「いやだってコイツをホモにすれば咲に手を出さなくなるし….それに咲も京太郎にホモになって欲しいって言ってたからな。」 京太郎(咲…お前…) 照「さあ始めよう…逃げようとしたら…わかるよね…?」ギュルルルルル 京太郎「うう…」 ハギヨシ「( ´ ▽ ` )」 照「さあ早く」 ハギヨシ「wktk」 京太郎(もう終わりか…さようなら俺の童貞と処女…) 大沼「やめんかお前ら!」 京ハギ照「!?」. 京太郎(げええええ!よりによって今一番来て欲しくない奴が!) 京太郎(ん?待てよ…これを利用して…!) 京太郎「あのチャンピオン…ちょっといいですか?」 照「何…?」 京太郎「実は大沼プロはホモなんです。なので大沼プロとヤらせた方が色々と良いかと。」 照「そうなの…?ならそうしようかな…」 京太郎(よっしゃああああああ!) 照「さあ…早く始めて…」 ハギ 大沼「いやいやいや!」 照「…」ギュルルルルルル ハギ 大沼「はいいいい!」 京太郎(今のうちに逃げる!) 京太郎「やっと家に着いた…もう疲れた…」 京太郎(よく考えたら彼女を作ろうとしたらこうなったんだよな…もう彼女なんかこりごりだ…) 咲「あ!京ちゃんどこいってたの!」 京太郎「おう咲…ちょっと色々とな…」 咲「もう!心配させないでよ!すごく心配してたんだからね!」 京太郎「ごめん…」 咲「本当に悪いと思ってる…?」 京太郎「ああ…当然だろ。」 咲「ならキスして。」 京太郎「えええ?ドユコト?」 咲「本気で悪いと思ってるんでしょ?なら謝るかわりにキスして。ね…?」 京太郎(えーとつまりこれは告白ですか!?咲が!?俺に!?) 咲「早くしてよ…誰か来ちゃう…」 京太郎(こいつこんなに可愛かったっけ…?くそっ咲の癖に!もうやっちまえ!) チュッ 咲「んっ……はあっ」 京太郎(やっちまった…) 京太郎「…咲…何でこんな事を…」 咲「何でって?決まってるでしょ…京ちゃんが好きだからだよ。」 京太郎「そうか…………咲」 咲「何?京ちゃん?」 京太郎「好きだ。付き合ってくれ。」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1857.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362238426/ 久「……」 京太郎「ほ、本当なんですか部長……」 久「……残念だけど、ね」 京太郎「そんな……」 京太郎「すいません、俺が居ながら……」 久「須賀君のせいじゃあないわ」 久「それに部長の私の責任でもある」 京太郎「部長」 久「と、いうわけで悪いんだけど……」 京太郎「はい!」 京太郎「今すぐ迷子になった咲を探しに行ってきます!」 久「よろしくね、龍門渕の執事さんにも協力してもらってるから、2人で連絡しあってちょうだい」 京太郎「行ってきまーす」 優希「気を付けてなー」 京太郎「おう」ガチャ バタン 京太郎「(まさか東京でも迷子になるとは……)」 京太郎「(変な人に着いていったりしてるんじゃないだろうな)」 京太郎「……」 京太郎「やべぇな、早く見つけてやらないと」トトト 京太郎「(あんまり遠くには行ってないと思いたいんだけど…)」 京太郎「って、あれ?」 照「……」スタスタ 京太郎「(見憶えのある髪型発見!)」 京太郎「おーい、咲ー!」 照「……」 京太郎「咲ー!」 照「?」クルッ 京太郎「探したんだぞ、いやー早めに見つかって良かっ……」 京太郎「……」 照「……」 京太郎「……すいません、人違いでした」カァァ 照「(照れてる)」 照「君、ちょっといいかな」 京太郎「えっ」 京太郎「すいません、本当反省しますんで……」ペコペコ 照「いや、そうじゃなく…」 プルルルルル 京太郎「……」 京太郎「すいません、俺です」 照「出ていいよ」 京太郎「失礼します」ガチャ 京太郎「もしもし、須賀です」 京太郎「どうしたんですか、ハギヨシさん」 京太郎「え、見つかった? 本当ですか?」 照「……」 京太郎「ありがとうございます! ありがとうございます!」ペコペコ 照「(電話越しにすごい頭下げてる……)」 京太郎「いや、本当に迷惑をかけてすいません」ペコペコ 京太郎「ああ、はい……分かりました」 京太郎「それじゃ、本当にありがとうございました」ペコ 京太郎「……」ガチャ 京太郎「……」ツーツー 京太郎「いやー、すいません。人前で話し込んじゃって…」ワハハ 照「君」 京太郎「はい?」 照「なんかサラリーマンみたいだね」 京太郎「?」 京太郎「それで、さっき何か言いかけてましたけど……」 照「うん」 京太郎「何か用が…」 照「あれ」 京太郎「?」 照「あそこに見える……」 京太郎「ああ、国際フォーラムですか」 照「うん」 京太郎「あれがどうかしたんですか?」 照「……」チラ 京太郎「?」 照「君、行きたいんじゃないかなって」 京太郎「……」 京太郎「は?」 京太郎「いや、確かに行きたいというか……帰りますけど」 照「一緒してあげよう」 京太郎「いや、いいですって」 照「……」 京太郎「さっきは本当にすいませんでした」 京太郎「じゃ、俺はこれで」スタスタ 照「……」 京太郎「……」スタスタ 照「……」 京太郎「……」チラッ 照「……」ポツーン 京太郎「あのー、何してるんですか」 照「何も……」 京太郎「国際フォーラム行くんじゃ…」 照「いや、着いてくるなって言われたから」 照「視界から消えるまで待っていようかな、と」 京太郎「……」 京太郎「(めんどくせぇ!)」 京太郎「すいません、いや…」 京太郎「そんなつもりじゃなかったんですけど……」 照「……」 照「一緒してあげようか?」 京太郎「……」 京太郎「あの、もしかしてなんですけど」 照「うん」 京太郎「迷子ですか」 照「……」 照「違う」 京太郎「(間が空いた……)」 京太郎「ここから建物見えてるんですけど」 照「見えてるね」 京太郎「……」 照「……」 京太郎「……」 照「行こうと思えばなんとか行ける」 京太郎「そんなに苦労することですかね?」 照「ここらへん道が複雑だから…」 京太郎「ちょっと関係無い話なんですけど」 照「何?」 京太郎「あの、その制服」 京太郎「もしかして白糸台高校の制服じゃ」 照「そうだよ」 京太郎「地元じゃないんですか」 照「……」 照「私の出身は長野」バーン 京太郎「長野から通ってるんですか?」 照「違う」 京太郎「じゃあどこから」 照「……」 照「なんでいじめるの……」 京太郎「すいません、なんか加虐心を煽られちゃって……」 京太郎「本当すぐっスよ、歩いて10分かかかるかどうか」 照「分かってる」 照「ただ、私が行こうとすると30分はかかる」 京太郎「……」 照「……」 京太郎「知り合いにもいるんですよ」 京太郎「よく迷子になるやつが」 照「へえ」 京太郎「なんで何度も同じ場所で迷子になるんですかね?」 照「道が悪い!」シャキーン 京太郎「……」 照「……」 京太郎「地図要りますか、大会パンフレットの」 照「いや、いらない」 京太郎「部員の皆も探してるんじゃないですか?」 照「多分、100人は探し回ってると思う」 京太郎「なんだそれ」 京太郎「……」 京太郎「何年生ですか?」 照「3年」 京太郎「もしかして、名字は宮永…」 照「照」 京太郎「やっぱり!」 照「?」 京太郎「もしかして、咲のお姉さんじゃないですか!?」 照「……」 照「案内ありがと」ダッ 京太郎「ちょ、いきなりどこへ」 照「着いてこないでね」タタタ 京太郎「いいですけどー!」 京太郎「そっち逆方向ですよー!」 照「……」タタタ 照「(走り出した手前、止まれない)」 京太郎「(とか思ってるんだろうなぁ)」 京太郎「ったく、仕方ねぇな!」ダッ … …… 淡「あ、テルー!やっと見つ…」 京太郎「……」タタタ 照「……」タタタ 淡「て、テルーが…」 淡「知らない男に追われてる!」ダッ 淡「テルー!」 照「はぁ…はぁ……淡?」ピタ 京太郎「急に止まった!」ピタ 京太郎「帰りは別で構わないんで、せめて正しい方向に…」 淡「テルー!」ドドド 京太郎「ん?」 淡「とうっ!」ヒュッ 京太郎「いきなりキック!?」 京太郎「危なっ!」ヒラ スカ 淡「避けるな変態!」 京太郎「変態じゃねえ!」 京太郎「部員ですか!? 止めて下さいよ!」 照「……」 照「……」ニコ 京太郎「(さっきの事根に持ってる!)」 京太郎「(こういうところそっくりだな、ホント)」 淡「さぁ!」 京太郎「ん?」 淡「どこからでもかかってこーい!!」 京太郎「……」 京太郎「お前、アホだろ…」 淡「なんですとぅ!?」プスコ 京太郎「いや、なんで戦おうとしてんだよ?」 淡「悪い人から私がテルーを守る!」 照「……はぁ、はぁ」 京太郎「……」 照「はぁ……淡…はぁ、はぁ、この人は悪い人、じゃない…はぁ」 京太郎「(なんだ、説明してくれるのか)」 京太郎「(ていうか、息切れすごいな)」 淡「え?」 淡「えーと、じゃあなんなの?」 京太郎「息、整えてからで大丈夫ですよ」 照「はぁ、はぁ……うん」 照「ふぅ」 京太郎「……」 淡「……」 照「この人は、意地悪な人」 京太郎「状況が複雑になるんで、そういう答えはやめて下さい!」 … …… 淡「ふーん、じゃあキョータローはテルーを案内してくれてたんだ」 京太郎「さっきから何度も言ってんだろ……」 照「違う、同行させてあげてた」 淡「え、えぇ…」 淡「んーと、つまり?」 京太郎「説明がややこしくなるから、一々茶々入れないで下さい」 照「……」ズーン 淡「む!」カチン 淡「キョータロー、ちょっと先輩に対して礼儀がなってないよ!」 京太郎「お前だってタメ口じゃねえか」 淡「私はいいの!」 京太郎「(面倒くさ……)」 京太郎「大体なんだよキョータローって」 京太郎「金太郎みたいなイントネーションで呼びやがって」 照「ぷっ」 京太郎「……」 淡「……」 照「……」 淡「それは置いといて…」 淡「本当はしつこくナンパでもしてたんじゃないの?」 京太郎「だぁーっ!」 京太郎「だから、違うっての!!」 淡「ほんとにー?」ジトー 京太郎「まず、俺はC以下には興味無ぇんだよ!」 淡「な!」ストーン 照「……」ストーン 淡「テルー、失礼すぎるよ! このセクハラ野郎!」 照「……」ストーン 京太郎「お前こそ初対面の俺に蹴りいれてきやがって!」 京太郎「脳みそが胸以上に何も入ってないんじゃねえか?」 淡「……」カチーン 淡「あったまきた!!」ガサガサ 京太郎「は?」 淡「……」ババーン 京太郎「グルグルキャンディ?」 淡「レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ」 京太郎「な……」 京太郎「(こいつ、急に何を……)」 淡「ふぅー」 京太郎「……」 京太郎「ま、まさか…」 淡「……」ニヤリ 淡「アメちゃん喰らえ!」 京太郎「や…」 京太郎「やめろォオオオオッ!!」 ベチャッ … …… 久「で、悔しいから仕返しをしてやりたい…と」 京太郎「はい」 京太郎「常識的に考えて酷いと思いませんか!?」 京太郎「顔面ですよ! 顔面!」 京太郎「その後、俺がショックでどれだけの間その場を動けなかったか……」 久「まぁ、間接キスされたと思えば……」 京太郎「部長は飲みかけのコーラぶっかけられて間接キスだ、ラッキーって喜べるんですか!?」 久「それは無理ね、私が悪かったわ」 京太郎「分かって貰えましたか」 久「(ご丁寧にラップに包んでそのアメまで持ってきて……)」 久「そのアメを持ってくることに抵抗は無かったの?」 京太郎「いや、もちろんありましたよ」 京太郎「あのチビせんべいが舐めた涎付きのこの上なく汚いアメですからね、嫌に決まってますよ」 久「(チビせんべいって……)」 京太郎「ほら、見て下さい」 久「ん?」 京太郎「未だに鳥肌が!」 久「いい! 見せなくていいから!」 久「その……」 久「包んであるラップはどうしたの?」 京太郎「ああ、これですか」 京太郎「いや、東京って凄いですよね!」 京太郎「まさかラップを街中で配ってるなんて」 久「普通、男子高生はそんなの貰ってこないと思うけどね」 京太郎「そうですかね?」 久「うん」 久「(私は多分貰ってくるけど)」 久「あと、一応聞いておくけど…」 京太郎「はい?」 久「なんで、真っ先に私のところに?」 京太郎「あぁ」 久「……」 京太郎「部長って、こういう悪巧み的な事好きそうじゃないですか?」 久「へー、そんな風に私の事見てたんだ」 久「じゃ、バイバーイ」 京太郎「調子乗ってすいませんでした」 久「よろしい」 まこ「戻ったぞ」ガチャ 京太郎「染谷先輩、お邪魔してます」 まこ「京太郎か。どうした?」 京太郎「それが…」 … …… まこ「なるほど、それは大変な目にあったのぉ」 京太郎「染谷先輩ー!」 まこ「おお、よしよし」ワシワシ 久「あれ、私の時となんか反応違わない?」 まこ「で、話を聞いてさっきから気になっとったんじゃが」 まこ「何故そのアメを持ってきたんじゃ?」 久「ああ、それ私も気になってた」 京太郎「これは証拠品ですよ!」 京太郎「このアメをネタにあいつをゆすろうと思いまして!」 まこ「……」 久「ま、まぁ色々ツッコミどころはあるんだけど…」 久「それは置いといて、具体的にどうやってゆするの?」 京太郎「それを聞きに来たんじゃないですか!」 久「あー……納得」 京太郎「染谷先輩、何かありませんかね?」 まこ「すまんが、急にパッとは思いつかんの」 京太郎「そうですか……」 まこ「悪いな」 久「(ちょっと、何猫かぶってんのよ!)」 まこ「(こういうのはお前さんの得意分野じゃろ)」 久「(まこまでそんなこと言うの……)」 京太郎「部長は?」 久「んー……そうね」 久「あ! そうだ」 京太郎「何か思いつきましたか!」 久「試合前に直接嫌がらせされたって運営に言えばどうかしら」 久「そうすれば出場停止とまでは行かなくても何かしらの動きが…」 京太郎「……」 まこ「……」 久「冗談だから、2人ともそんなに引かないでちょうだい……」 まこ「いや、お前さんのことだから本気じゃと」 京太郎「……」コク 久「2人ともさっきから私に対して失礼すぎるわよ」 … …… 久『もう面倒見きれないから一年生だけで適当に話合ってちょうだい』 京太郎『そんな!』 久『どうせ、私が意見出したら白い目で見るんでしょ……』 久『どうせ私は腹黒いわよー…』 京太郎『じゃ、染谷先輩も失礼しました』ガチャ まこ『おう』 バタン 久『あれ、フォロー無し?』 京太郎「と、いうわけで」 京太郎「第一回チキチキ白糸台対策会議ー!」パチパチ 咲「白糸台……」 優希「急に部屋に呼び出すから何かと思えば……」 咲「私、帰るね」 京太郎「いや待てよ、咲」 咲「……」スタスタ 京太郎「ちょ」 咲「……」ガチャ 京太郎「ま、待って下さい! お願いします!」 優希「(必死だじぇ…)」 咲「じゃあ、少しだけね……」 京太郎「おう、悪いな」 優希「(咲ちゃん、テンション低いなー)」チラ 優希「(まぁ、お姉さんのいる高校。しかもあまりいい思い出がなさそうだし…)」 優希「(仕方ないのかもしれないじぇ)」 京太郎「それじゃ、まずメンバー毎に紹介を」 咲「……」 優希「……」 優希「(空気が重いじぇ)」 京太郎「じゃ、まずは先鋒から」 咲「(いきなり…)」 京太郎「先鋒、宮永照」ペラ 咲「……」ドキドキ 京太郎「方向音痴」 優希「え?」 咲「……」 咲「は?」 京太郎「じゃあ次」 京太郎「次鋒、弘世菫」ペラ 京太郎「情報無し」 咲「……」 優希「……」 京太郎「中堅、渋谷尭深」ペラ 京太郎「情報無し」 咲「……」 優希「……」 京太郎「副将、亦野誠子」ペラ 京太郎「情報無し」 咲「……」 優希「……」 京太郎「次」 京太郎「大将、大星淡」 京太郎「……」プルプル 京太郎「こいつだ!!」ビリビリ 優希「急に写真を破いてどうしたんだじぇ」 京太郎「聞いてくれるか」 咲「私、トイレ行ってくるね」 咲「(緊張が解けて尿意が…)」スタスタ 京太郎「待て、咲」 京太郎「何故部屋から出て行こうとしてるんだ」 京太郎「トイレなら俺の部屋にもあるだろ」 京太郎「お前、もしかして理由つけて逃げる気じゃ」 優希「そこは察するべきだじぇ」 優希「(音)」ボソ 京太郎「!」 京太郎「……」 京太郎「や、やっぱり行っていいぞ」 咲「聞こえてるからね……」 京太郎「いや、でも待て」 咲「私、早く行きたいんだけど…」 京太郎「監視として優希もついていけ」 優希「別にいいけどー」 京太郎「……」 京太郎「いや! やはりダメだ!」 京太郎「そのまま2人で居なくなる気なんだろ!?」 咲「それでもいいかなって気分になってきたよ……」 … …… 京太郎「……」 優希「……」 京太郎「……」 優希「咲ちゃん遅いなー」 京太郎「やめろ、こっちは考えないようにしてんだよ!」 優希「で、結局大星淡がどうかしたのかー?」 京太郎「ああ…」 … …… 優希「……」 優希「それって、思いっきり私怨だじぇ」 優希「私たちは結果的に騙された形になるじぇ」 京太郎「……」 優希「タコスを要求する!」 京太郎「そういうと思って」サッ 優希「さんきゅー☆」 優希「そういえば、のどちゃんはなんで呼ばないんだじぇ?」 京太郎「だって和は多分怒るだろ……」 京太郎「遊びに来たんですか? 須賀君は。とか」 京太郎「子どもですか、須賀君は。とか」 京太郎「最悪、「はぁ……」とか溜め息だけつかれてそのまま話が終わってしまう可能性がある」 優希「京太郎はのどちゃんを冷たく見過ぎだじぇ」 京太郎「そうかな……」 優希「……」 優希「いや、やっぱりそれで合ってるような気もしてきたじぇ」 京太郎「だろ」 和「お邪魔します」ガチャ 京太郎「和!?」 咲「さっきそこで会ったから一緒に来たんだ」 京太郎「(余計な事を!)」 和「白糸台の対策会議と聞きましたが」 優希「それウソだじぇ」 京太郎「おい!」 優希「京太郎が白糸台の大将に恨みがあるらしいから仕返ししたいんだってー」 京太郎「……」 和「……」 京太郎「すいません……」 和「そんなに卑屈にならなくても……」 和「一応、話だけでも聞きましょうか」 京太郎「き、聞いてくれるのか!?」 和「は、はい。まぁ一応」 和「個人的に白糸台の大将には少し、興味もありますから」 京太郎「……」 京太郎「俺、和のこと過小評価してた……」 和「?」 咲「その言葉、使い方あってるか微妙だよね……」 … …… 和「酷いですね……色々と」 京太郎「だろ」 咲「(京ちゃんが仕返ししようとしてることも、色々に入ってると思うよ)」 京太郎「俺はどうすればいいと思う?」 和「そうですね……」 和「須賀君、ここは私たちに任せてくれませんか?」 京太郎「つまり?」 和「私たちが、必ず決勝で借りを返しますから」 京太郎「和……」 優希「(和ちゃん、話を終わらせにかかってるじぇ)」 京太郎「いや、やっぱりダメだ!」 京太郎「それじゃ俺の気が済まないんだよ!」 和「……」 和「直接的に仕返しするというのは、どうも……」 優希「いい加減諦めたらどうだー?」 咲「そうだよ京ちゃん、相手は女の子だよ?」 京太郎「決勝で咲が大星を飛ばして泣かせるって約束してくれたら諦める!」 和「子どもですか」 京太郎「言われた!」ガーン 京太郎「皆、ちょっと他人事すぎないか?」 咲「そう言われても」 優希「実際他人事だじぇ」 京太郎「俺だって部員なんだぞ!?」 和「本人が言うと一気に価値が下がりますね、その言葉」 京太郎「皆経験してないからそんなことが言えるんだよ!」 京太郎「他人が舐めたアメを直に顔面だぞ!?」 京太郎「和もそんなことされたら嫌だろ?」 和「確かに嫌です……」 京太郎「仕返しを考えるだろ?」 和「いえ」 和「当たる前に躱します」シャキーン 京太郎「当たった程で話してるんだけど……」 京太郎「咲はどうだ?」 咲「私は…」 京太郎「嫌だろ?」 咲「うん……」 咲「私、泣き虫だからそんなことされたら多分泣いちゃうよ……」 優希「あー、泣かれたら相手も辛いはずだじぇ」 和「一番効果的かもしれませんね」 京太郎「俺も泣けば良かったかな……」 和「それは……」 優希「大の男が急に泣き始めたら、ぶつけた本人も驚いて引かれるだけだと思うじぇ」 京太郎「優希……」 優希「私か?」 京太郎「大乱闘になることうけあいだな」 咲「あぁー…」 和「確かに」 優希「みんな失礼だじぇ」 京太郎「あー、今思えばなんか優希に似てたかも」 優希「おい」 咲「この人が?」 咲「破れてビリビリになってるけど……」 和「あまり似ているとは思えませんね」 京太郎「いや、外見じゃなくて」 京太郎「知能指数が」 優希「私をなんだと思ってるんだじぇ」 久「まだやってたの、須賀君」ガチャ 京太郎「部長」 久「もう適当に控室にでも赴いて、御校の生徒の落し物ですとか言ってきたら?」 京太郎「あっ、それいいですね」 京太郎「その場で他の部員でも居たら俺が受けた被害をそのまま伝えられますしね」 咲「え、そんなのでいいの?」 優希「アッサリ決まったじぇ」 和「(そんな完全アウェーの場所に1人で行くつもりなんでしょうか……)」 久「どうでもいいけど、皆夜更かしは無しでね」 京太郎「はーい」 優希「ほーい」 咲「はい」 和「はい」 … …… 菫「淡」 淡「はい……」 菫「照」 照「なに……」 菫「何故自分達が正座させられているか分かるな?」 淡「まったくもって!」 照「なんで?」 菫「よーし、5分追加ー」 淡「鬼ー!」 照「菫、酷い……」 菫「お前が自信満々に自分の働いた悪事を自慢してきたときは流石に頭が痛くなったぞ、淡」 淡「だ、だって……」 菫「照、お前は親切にしてもらった方じゃないのか?」 照「違う」 菫「どういうことだ?」 菫「淡の話は間違っているということか」 淡「えぇ!?」 照「確かに案内はしてもらった」 照「だけど意地悪もされた」 菫「初耳だな」チラ 淡「うぅ」 菫「で、どんなことをされたんだ? 答えによっては見方を変えるかもしれん」 照「……」 照「……」 菫「やはり嘘か」 照「違う、菫はいちいち早すぎ。我慢が足りない」 淡「そーだそーだ!」 淡「この裏切りものー!」 菫「私はむしろお前たちの行為に裏切りを感じているんだが……」 菫「で、結局何をされたんだ?」 照「ぐ…」 菫「あんな大見得切ったんだ、まさか嘘じゃないよな?」 照「……」 菫「……」 照「……こ」 菫「こ?」 照「こ、言葉責め」 菫「(案内する相手に言葉責め?)」 『本当にドジで方向音痴ですね、あなたは』 『仕方ないから僕が案内してさしあげましょう』 菫「……」 照「……」 菫「ツンデレ?」 照「?」 菫「舐めたアメをぶつけるなんて、今時幼稚園児でも思いつかんぞ」 淡「幼稚園児……」ガーン 菫「第一、照は止めるべきだろ」 照「私はちゃんとアフターケアをした」 菫「ほう、どんな?」 照「ティッシュで拭いてあげた」 菫「顔に付着したアメの上にティッシュか」 照「そう」 菫「……」 菫「はっはっは」 菫「お前らは悪魔か」 照「菫には負ける」 菫「さっきからブレないなお前」 94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 21 50 42.61 ID Jd4ppuXao このポンコツコンビww 95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 21 54 41.59 ID L5+/m9Wbo ティッシュのカスが付くな 96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 22 15 12.36 ID bExLrPaTo せめてハンカチにしろよww 97 : ◆j7coLoRPl6 [sage]:2013/03/04(月) 22 45 13.94 ID 4d2nN6c3o … …… 久「まこー、その卵焼きちょうだい」 まこ「別に構わんが……」 まこ「京太郎、昼も食べずに何処かへ行ってしもうたが。よかったのか?」 久「え、そうなの?」 咲「裸単騎がどうとか行って出て行きましたよ」 和「大丈夫でしょうか…」 まこ「試合に出んとはいえあまり自由にさせ過ぎるのもどうじゃろ」 久「……」 久「ごめん、それ多分焚きつけたの私…」 まこ「何処へ行ったんじゃ?」 和「多分、白糸台高校のところだと……」 まこ「白糸台ってあの軍隊みたいなところか」 まこ「おいおい、大丈夫なんか?」 久「……」 98 : ◆j7coLoRPl6 [sage]:2013/03/04(月) 22 45 52.25 ID 4d2nN6c3o … …… 京太郎『大星淡を出せー!』 『なんだお前は!』 『各部員、取り押さえろ!』 京太郎『離せ! 証拠品もあるんだ!』 【清澄高校一年生、ロリポップを持って王者白糸台に突撃。初出場のプレッシャーか】 … …… 久「想像したら凄く心配になってきたわ」 まこ「気付くのがちょっと遅過ぎやせんか」 久「こうしちゃ居られないわ」 久「優希! 須賀君を止めてきて!」 和「優希なら、タコスを買いに行っていて居ませんが」 まこ「いや自分で行けよ」 99 : ◆j7coLoRPl6 [sage]:2013/03/04(月) 22 47 07.71 ID 4d2nN6c3o 久「まこ、着いてきて!」 まこ「1人で行け」 久「え、冷たくない」 まこ「自分の蒔いた種じゃろ…」 久「違うのよ……いや、そうだけど……」 久「正確には違うのよ!」 まこ「……」 和「部長……」 美穂子「差し入れに来ましたー」ガチャ 久「!」 久「美穂子! グッドタイミング!」 美穂子「た、竹井さん?」 美穂子「どうされたんですか?」 久「お願い美穂子! 力を貸して!」 久「須賀君が暴力事件を起こしそうなの!」 美穂子「ほ、本当ですか!? 大変!」 まこ「(よくもまぁ……)」 久「私1人じゃ止められないわ、お願い!」 美穂子「で、でも…私なんかが……」 久「大丈夫、美穂子なら出来るわ」 久「あんなに規模の大きな風越をまとめるキャプテンですもの」 久「お願い、力を貸して」 美穂子「竹井さん……」 咲「……」 和「……」 まこ「……」 久「(あぁ、私の信頼がリアルタイムで崩れ落ちていく……)」 … …… 淡「菫、酷い……」スタスタ 尭深「部長の言ってること、間違ってないと思うけど…」 淡「先輩酷い!」 淡「一体どっちの味方なの!?」 尭深「今はちょっと、淡ちゃんの味方には付き辛いかな……」 淡「うー」 尭深「ほら、一緒に探してあげるから……がんばって探そう?」 淡「……」 尭深「淡ちゃん?」 淡「私ってかわいそう……」 尭深「(この子もブレないなー)」 京太郎「おい、ちょっと待てそこのチビ」 淡「誰がチビだ!」クル 尭深「(真っ先に反応しちゃってるよ…)」 京太郎「お前、忘れたとは言わせねえぞ」 淡「あ!」 尭深「(グルグルキャンディを手に持ってる……誰だろ)」 淡「あの時の変態!」 京太郎「大声でその俗称を呼ぶのはやめろ!」 尭深「(いきなりビンゴですか)」 … …… 久「あれ、あそこに見えるの…」 美穂子「す、須賀君でしょうか」 美穂子「誰かと話してるみたいですね」 久「あれ、白糸台の制服じゃ…」 美穂子「そんな……た、大変です!」 美穂子「一触即発です!?」 久「……」 久「(この子を連れてきたの、間違いだったかも……)」 美穂子「止めないと!」 久「待って、美穂子」 久「もう少し様子を見ましょう」 美穂子「竹井さん……」 久「私は須賀君がそんなにすぐ暴力に訴えかける子だとは思ってないの」 美穂子「ご、ごめんなさい 私ったら」 久「(それに近い行動には速攻で出てるけどね)」 … …… 尭深「すいません、私たちの後輩がご迷惑をおかけしてしまった様で……」ペコ 京太郎「い、いえいえ! そんな、顔を上げて下さい」 淡「もう帰っていい?」 京太郎「お前は待てよクソチビ」 淡「さっきからなんなの! チビ、チビって!」 淡「大体、私よりたかみーの方が身長低いんだから!」 尭深「えっ、私?」 京太郎「……」 京太郎「いや、お前の方が小さい」 淡「どこ見て言ってんの!?」 尭深「?」 淡「やっぱりこいつ変態だ!変態、変態!」 京太郎「さっきから変態、変態と……」 京太郎「だが、これを見ても同じことが言えるのか?」 淡「そ、それは!」 尭深「グルグルキャンディ…ですか?」 京太郎「そうです! しかもそこのチビ、大星淡が舐めて俺にぶつけた物!」 尭深「(何故回収してきたんでしょうか)」 淡「そ、そんなもの見せてどうするつもりなの……」 京太郎「これがある限り俺の優勢は揺るがん!」 淡「ぐぬぬ……」 尭深「……」 尭深「あ、あの」 京太郎「はい」 尭深「どうして、そのアメを持っていると優勢になるんですか?」 京太郎「えっ」 京太郎「……」 淡「もしかして、何も考えてなかったんじゃないのー」 淡「ぷぷぷっ」 尭深「(淡ちゃん、思いっきり不利そうな顔してたけどね……)」 京太郎「さっきからお前なんなんだよ!?」 淡「いひゃいいひゃい!ほっふぇはひっはるな!」ビヨーン 京太郎「この!」 淡「ひゃめろへんふぁい!」グニャグニャ 京太郎「無駄にもちもちしやがって!」 尭深「(気に入ったのかな……)」 … …… 美穂子「ああっ! ついに須賀君が暴力を!」ガーン 久「じゃれあってるだけに見えるんだけど」 久「(隣の子も全然止めてないし…)」 美穂子「止めに行ってきます!」ダッ 久「えっ!?」 久「(いつもは引っ込み事案な美穂子がここぞという時に発揮する行動力が……)」 久「(まさかこんな時に発動するなんて!)」 久「私も止めなきゃ!(美穂子を)」 久「……」 久「(やっぱり、なんか面白くなりそうだからもう暫くここで様子を見ようっと)」 美穂子「須賀君!」ダッ 京太郎「ふ、福路さん!?」 淡「はれ?」 美穂子「暴力振るっちゃダメ!」 京太郎「すいませんでした」パッ 淡「うぅ~……」ヒリヒリ 淡「先輩も止めてよー…」 尭深「淡ちゃん、楽しそうだったから。つい」 淡「全然楽しくないよ……」 美穂子「大丈夫?」 淡「う、うん」 美穂子「須賀君、どうしてこんなことしたの?」 美穂子「私、私……」フルフル 京太郎「うわぁぁぁぁぁ!!」 京太郎「ごめんなさいごめんなさい!」 京太郎「お願いだから泣かないで下さい!」 淡「……」 尭深「……」 久「(須賀君は完全にオリの体制ね)」 まこ「何しとるんじゃ」 久「まこ!?」 まこ「心配して見にきてみれば……」 久「返す言葉もないわ……」 … …… 京太郎「という訳でー」 京太郎「第二回チキチキ白糸台対策会議~」パチパチ 咲「わー(棒)」パチパチ 和「……」パチパチ 優希「……」モグモグ 京太郎「そこ! 食べるな!」 京太郎「2回目はマジで行く、俺は本気だ」 優希「どうせ中途半端にヘタレて気まずくなるだけだじぇ」 京太郎「最悪、あいつが嫌な気分になるならそれでも構わん!」 和「執念ですね」 咲「もうやめた方がいいと思うな…」 咲「福路さんも悲しんでたし」 京太郎「う!」 和「あまり言いたくありませんでしたが…」 京太郎「なんてな、分かってるよ」 京太郎「お前ら、試合があるもんな」 京太郎「迷惑かけて悪かった」 京太郎「ま、今日くらい一年皆で集まってなんか遊ぼうぜ」 咲「え、もういいの?」 京太郎「おう」 京太郎「これ以上引っ張ってもお前らに悪いし、俺も大人気なかったからな」 和「大人になりましたね、須賀君」 京太郎「そ、そうか?」 咲「うん。ちょっと見直しちゃったよー」 優希「ま、京太郎なりにはなー」 京太郎「バカにすんな」 京太郎「俺だってちょっとは考えてんだよ」 咲「それじゃ、ジュースで乾杯しよっか」 和「いいですね」 京太郎「それじゃ、清澄の優勝を願って!」 「「「「乾杯!」」」」 ~大会終了後~ 菫「淡はどうした?」 誠子「ちょっと夜風に当たってくるって言ってました」 菫「なんだその台詞……ドラマの見過ぎじゃないのか」 尭深「淡ちゃん、団体戦で負けた事を気にしてるんだと思います」 菫「分かってる」 誠子「照先輩もずっとあんな調子だし……」 照「……」ボー 菫「だが仕方ない事だ」 菫「私たちはベストを尽くしたんだ」 菫「それでも負けたんだ」 菫「淡の負けじゃない。私たちの負けだ」 菫「いくら言ったところで結果は覆らないさ」 尭深「部長……」 京太郎「折角優勝したんだからちょっとくらい奮発してやらないとな」ガサ 京太郎「自分の小遣いが少しくらい減ったって……」 京太郎「減ったって……」ズーン 京太郎「……」 京太郎「おっ?」 淡「……」ボー 京太郎「公園のベンチで何してんだあいつ」 京太郎「おーい」 京太郎「(いや、ちょっと待てよ)」 京太郎「(よく考えたら勝った学校が負けた学校に声かけるってマズいんじゃないか?)」 京太郎「(あいつ、かなり接ってたしな……)」 京太郎「(しかも俺、試合にすら出てないし)」 京太郎「うーん」ウロウロ 淡「……」ボー 京太郎「(このまま帰るべきか……)」 淡「……」ボー 京太郎「うーん」ウロウロ ヒュッ 京太郎「いてっ!」コツン 淡「周りでうろちょろすんな!」 京太郎「だからって石ぶつけんなよ……」 淡「何してんの」 京太郎「いや、買い出し…」ガサ 淡「優勝校はパーティってワケ?」 京太郎「あー……まぁ、それは」ポリポリ 淡「ふー」 淡「私……出なきゃ良かったなー」 京太郎「ん?」 淡「去年までは優勝してたのに……」 淡「最後の最後で、先輩達の最後の大会をダメにしちゃった……」 京太郎「……」 京太郎「(内容重ッ!)」 淡「わ、私……」 京太郎「お、おう」 淡「……」 淡「清澄のアホーッ!!!」 京太郎「!?」 淡「お前のせいだ!お前の!」 京太郎「俺は試合に出てねぇよ!」 淡「うるさい! アホー!」ヒュッ 京太郎「うわっ! 砂投げんな!」 淡「バカー!」 京太郎「やめろっての!」 淡「……」 淡「お菓子寄越せ!」ガサガサ 京太郎「おい!」 … …… 淡「ふーっ、食った食った」ゲプ 京太郎「あぁ……奮発した高級チョコが……」 淡「ざまぁないね!」 京太郎「お前、絶対太るぞ」 淡「……」 淡「もう知るか!」 淡「横綱になってやる!」 京太郎「お、電話」プルル 京太郎「あ、部長ですか…はい、すみません、すみません……すぐ帰りますんで」ペコペコ ガチャ 京太郎「……」ツーツー 淡「帰るの?」 京太郎「あぁ、皆待ってくれてるみたいだしな」 京太郎「お前も帰れよ、仲間が待ってんじゃねーの?」スタッ 淡「……」 淡「待てっ!」ピョン 京太郎「うおっ!?」 京太郎「いきなり乗っかんなよ!」 淡「帰る前に送ってけ!」 京太郎「はぁ!?」 京太郎「……」 京太郎「ったく、仕方ねーな」 淡「安全運転でな!」 京太郎「はいはい」 京太郎「分かりましたよ、お姫様」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1157.html
次話 始まりは、京太郎がハギヨシの部屋に遊びに来たことだった 京太郎「いや~きれいな部屋ですね」 ハギヨシ「執事ですからね。屋敷程ではありませんがそれなりにきれいにしてます」 京太郎「さすがですね。アレ?このぬいぐるみはなんですか?手作りっぽいですけど」 ハギヨシ「ああ、それは少々事情がありまして」 京太郎「事情?」 ハギヨシ「お嬢様に趣味のひとつでも持ったらどうだと言われ、軽く作ってみたのですが、非常に好評でして」 京太郎「いいことじゃないですか」 ハギヨシ「ええ。それをネットで公開していたのですが、売ってくれないかという方が出てきました」 京太郎「確かに下手な既製品よりいい出来ですからね」 ハギヨシ「そんなことを続けていたら」パソコン画面を見せる 京太郎「?」覗き込む ハギーの手作り☆ぬいぐるみショップ 京太郎「……これはまた」 ハギヨシ「智紀様が運営をしてくれ、サイトのデザインなどはお嬢様や衣様の趣味で」 京太郎(この少女趣味はどっちのだ……) ハギヨシ「そんなわけで最近充実してますね」 京太郎「あ、結構乗り気なんですね」 ハギヨシ「ええ。そういえば、何か新しいものを考えていたのですが京太郎君は何かいいアイディアはないですか?」 京太郎「俺がぬいぐるみをですか?」 ハギヨシ「ええ。男性からの意見もあるかもしれませんし、何よりそろそろ新しいことを試してみたかったのです」 京太郎「そうですね……こう、抱き枕みたいなものとかどうでしょう?」 ハギヨシ「ほう。いいですね」シュババッ ハギヨシ「こういうものですか」エトペン抱き枕 京太郎「いつの間に、って聞くのは野暮ですよね」 京太郎「後は……今までのぬいぐるみは動物やキャラクターものですよね」 ハギヨシ「ええ。著作権的に危ないミッ○ーなどはありませんが」 京太郎「夢も魔法もないですよね」 京太郎「……注文があれば、写真からできるようにするとかどうでしょうか?」 ハギヨシ「オーダーメイドということですか?」 京太郎「例えば、麻雀で有名な小鍛冶プロの写真があれば、小鍛冶プロのデフォルメされたぬいぐるみみたいな」 ハギヨシ「面白そうですね。実在の人物のぬいぐるみ」シュッ シュババッ シュバババババッ ハギヨシ「無論、本人の許可が無ければできませんが、やりがいはありそうですね」デフォルメ京太郎ぬいぐるみ 京太郎「あ、俺。俺のぬいぐるみは言いだしっぺですから問題ないですよ。なんなら売っても」 ハギヨシ「それはどうも。抱き枕案は使うとして、こちらはサイトに隠して載せてみましょう」 ハギヨシ「あなたの好きな人のぬいぐるみを作ります、ってね」 京太郎「ははは。いいかもしれませんね」 ハギヨシ「ところで京太郎くん。このぬいぐるみと君をサンプルとして載せてもいいですか?」 京太郎「構いませんよ。俺の写真も必要ですよね」 ハギヨシ「名前と目線は隠しておきましょう。このぬいぐるみはKちゃんとでも名付けて」 京太郎「じゃ、写真ですね。カメラあります?」 ハギヨシ「ええ。ではこの京太郎くんとこのKちゃんぬいぐるみの写真を載せるということで」 ハギヨシ「しかし、ネット上に自分の写真を載せて、京太郎くんは大丈夫なんですか?」 京太郎「ははは。俺なんかがネットで写真公開したって注目される訳ないですよ」 京太郎「なんなら、そのKちゃんぬいぐるみが欲しいって言う人がいたら、新しく作ってもいいですよ」 こうして、『ハギーの手作り☆ぬいぐるみショップ』には新しいぬいぐるみと隠されたサービスが追加された そして隠されていたサービスは見つけられ 菫「ふふっ、相変わらず可愛いサイト…これは!」 菫「……すいません、いつも利用してる弘世ですが」 Kちゃんぬいぐるみは思わぬ人気を呼び 淡「よーし届いたー!」 淡「おおっ、写真よりイケてるじゃん!!」 人から人へと伝わっていった 穏乃「憧ー遊びに、ってこの人形!」 憧「え?あ!これはそのね、ついっていうか可愛いし、かっこいいし…」 穏乃「……私も欲しいんだけど、どこで売ってるか教えて!」 憧「え?……ああ、いいわよ。このサイトでね」 また、ハギヨシの見事な腕前で個人のオーダーにも完璧に応え 哩「……オプションで鎖と首輪っていけるやろか」 姫子「割高になりますけどかなりの質らしいですよ」 哩「じゃ、いくか」 姫子「あ、もしもし。はい、オプションの鎖は7本でお願いします」 さらなる人気を呼び 尭深「はい。このお茶とのセットを」 尭深「オプションで眼鏡?是非お願いします」 一大ブームを築くことになった 照「はい、この人形は私も持っています」インタビュー中 照「大好きな人形で、いつも抱いていたいくらいですね」ニコッ その売り上げはとどまるところを知らず 白望「ダル……田舎だからって届くの遅い……」 白望「でも……この人形はダルくない……」 地方でも持っている者がいるほどであり 霞「……私に人形は似合わないかしら」 霞「でも、この人形がかわいすぎるのがいけないのよね。限定和服使用」 龍門渕家に多大な利益をもたらすことになった 智紀「……サーバーが落ちた」 透華「一体何をしたんですの?ネットバンクの口座が桁レベルで増えてるのですけど」 衣「わーい、新しいぬいぐるみー」 なお、モデルとなった彼は、最後までそのことに気付かなかったらしい 京太郎「最近視線を感じるが……気のせいだろ」 余談ではあるが、モデル使用料として、彼の口座には驚くほどの金額が入れられ、 京太郎「ハギヨシさん。え?モデル使用料?」 京太郎「ありがたいですけどそこまで売れたわけじゃ…」 京太郎「……え?」 最初に作られた『Kちゃんぬいぐるみ』は、作られたその日から 咲「京ちゃん何そのぬいぐるみ?」 咲「え?くれるの?ありがとう!」 咲「……うん。嬉しいよ、京ちゃん」 どこかの高校生が毎晩寝る時に抱いているとか 咲「おやすみ、京ちゃん」 Kちゃんぬいぐるみ、大阪にて 大阪、合宿所 浩子「ふぅ、さすがに疲れたわー」 浩子「姫松に三箇牧、そしてうち千里山」 浩子「おばちゃんもなんて合宿組むんや……」 雅枝「ひーろーこー……」 浩子「うわっ!おばちゃ、あ、監督!どないしたんですか?」 雅枝「ちょっとこっち来てや」 洋榎「男のくせにぬいぐるみなんか似合わんやろ!!」 セーラ「俺は女や!!」 絹恵「お姉ちゃん落ちついて」 憩「そうですよーぅ?怒鳴り合うんはアカンですよーぅ?」 竜華「せやでセーラ。ここはゆっくり落ちついてうちが1番やって主張するんやで」 恭子「しれーっととんでもないこと言いよるなそっちの部長」 怜「まー、しゃーないっちゃしゃーないんよ」 浩子「これはなんの騒ぎですか」 怜「あ、フナQ」 絹恵「浩ちゃん」 浩子「絹ちゃん、なんでウチの江口先輩と洋榎ちゃんが言い合ってるん?」 浩子「周りも微妙に煽っとるし」 由子「ちょーっと問題が起きたのよー」 浩子「……Kちゃんぬいぐるの取り合い?」 怜「せや。最初はうちの監督とセーラに泉、姫松、三箇牧の部員何人かが一緒に車で買い出しに行ったんよ」 三箇牧A「で、そこの店先でたまたまウチの部員がKちゃんぬいぐるみを見つけて」 浩子「アレってネット販売限定やないんですか?」 三箇牧B「販売元が龍門渕グループらしくて、その関係の店だったから試験的な特別販売、やってさ」 漫「で、残ってたぬいぐるみ4つをとりあえず予算の余りがあったうちで立て替える形で買ったんですよ」 泉「そして帰ってきたら3校でどう4つを分けるかでああなりまして」 由子「主に洋榎と江口セーラが言い合って、荒川憩がちょいちょい狙ってるってとこなのよー」 雅枝「本来ならほっときたいんやけどな」 セーラ「うちの車で行ったんやからうちが2つや!」 洋榎「立て替えたんはうちの学校やで?うちが2つに決まっとるやろ!」 憩「まーまー落ちついて。そもそも見つけたんはうちの学校ですよーぉ?」 雅枝「あー言ってるし、3人中2人が関係者やからな。どうしたもんか」 怜「ちなみに各校2人ずつ持ってないらしいからどこも引けんらしいわー」 浩子「そういえば江口先輩と清水谷先輩持ってないゆうてましたね」 由子「うちは洋榎と絹ちゃんなのよー」 三箇牧A「うちは憩ちゃんともうひとりやね」 浩子「平行線ですやん。どうしようもないですよ」 洋榎「大体なー、女やけどその格好はおかしいやろ!」 セーラ「格好は関係無いわ!」 洋榎「そんなんで夜中ぬいぐるみ抱いたりするんか?話しかけたりするんか?」 セーラ「な、なんで知っとるんや!!」 洋榎「え?」 竜華「え?」 憩「あら」 泉「先輩……結構乙女やったんですね」 恭子「男装してる割には……」 セーラ「……あ」 洋榎「…………」 セーラ「…………」 洋榎「なんか、すまん」ペコッ セーラ「謝んな!!」顔真っ赤 セーラ「ああそうや。俺だってそういうことしたいんや!」 洋榎「本気で悪かったとは思ってるけど譲れんわ!」 洋榎「もしたった1個しか取れんかったらなあ、ネットで画像見ながらため息ついてる絹が悲しむんや!」 絹恵「お姉ちゃん!?なんで私のこと言うん!?」 恭子「……でもこないだ、代行がいくつも持ってるからって主将は拝み倒しながら譲ってくれって頼んでましたよね」 洋榎「な!?」 恭子「結局代行は言うだけ言って譲りませんでしたけど、その時本気で落ち込んでたり…」 洋榎「恭子ー!どっちの味方や!!」 セーラ「はっはっは。なんやお前もそういうとこあんねんな」 洋榎「やかましい!!」 憩「まーまー。2人ともそんな怒鳴らんで…」 洋榎「引っこんでろ2年生!」 憩「……うちも引けないんですよーぅ?」 三箇牧A「そういや憩ちゃん、部室で注文した時、人数分足りなくてじゃんけんで決めたけど、負けてマジ泣きやったもんね」 三箇牧B「インハイより落ち込んでたよね」 憩「そ、それはですね」 泉「……ああいう面もあるんですね」 漫「全国2位の以外な一面、やね」 憩「うう……」 洋榎「こうなったら麻雀で決めよか」 セーラ「構わんけど、3人でか?」 洋榎「4人のがいいやろ。というわけで絹、入り」 絹恵「私!?」 セーラ「そらアカンやろ!竜華ー!やるでー!!」 竜華「まかしときー!」 洋榎「そっちも同じことしてるやん!」 憩「うちに勝てる思ってるんですーぅ?」ゴッ 郁乃「ちょっと待ったー!」 セーラ「うおっ!?」 洋榎「代行!?」 郁乃「やったら中立の4人目がおるで~」 恭子「いきなり出てきて……誰ですか?」 郁乃「ふっふっふ~。入ってきて~」 良子「ハロー」 怜「うお、戒能プロ!?」 由子「そういえばインハイの時も代行が呼んでたのよー」 良子「Kちゃんぬいぐるみ争奪戦と聞きまして」 三箇牧A「このプロ、ノリノリである」 郁乃「あ、良子ちゃんが1人浮きしたら全部良子ちゃんのやで~」 6人「……は?」 良子「ノーウェイノーウェイ……本気で行きますよ?」ゴッ 洋榎「……やってやるわー!!」 セーラ「おお!やるでー!!」 憩「……本気です」 浩子「……なんか収まったやん」 雅枝「うーん。アレも赤阪さんの腕、なんやろか?」 恭子「絶対楽しんでるだけですよ」 怜「しかしアレやね。ここまで白熱した取り合いになって、そして半分以上が持ってるKちゃんぬいぐるみ」 泉「なんもかんもKちゃんのせいやー、ですか?」 怜「……泉がウチのセリフ取ったー」 恭子「うちのマジック貸したろか?」 怜「額にKちゃんって書こ」 泉「なんか酷い!?」 この取り合いは、各校1つずつ、戒能プロが1つという結果に落ちついた この1つをめぐった各校の争いがあったとか無かったとか 後日 浩子「……ん?」 『Kちゃんぬいぐるみ、大阪特別仕様発売決定!!』 新たな争奪戦があったとか Kちゃんぬいぐるみ、東京にて 白糸台、部室 淡「ねー、Kちゃんぬいぐるみって知ってる?」 菫「なんだいきなり」 誠子「知ってるも何も、流行ってるじゃんアレ」 淡「ふっふっふ。実は!私はブームが始まる前から持っていたのだ!」 淡「こう、Kちゃんが大々的になる前の、隠しから普通に表示された時に買ったんだよー!」 菫(私は隠しサービスの時から知っていたが……) 淡「最近じゃあんまり手に入りにくいし?教えてあげようかなーって」 尭深「……淡ちゃん。私、持ってるよ?」 淡「え?」 誠子「あ、私も持ってるぞ?」 淡「そ、そんな……チラッ」 菫「……自分で言うな。後、なんで私を見る」 淡「菫先輩は持ってないの?」 菫「……別にいいだろ」 淡「持ってるね」 尭深「持ってる」 誠子「確実だな」 菫「……シャープシュート(物理)」シュッ 誠子「なんで私!?」ドスッ 淡「なーんだ。みんな持ってたのかー」 淡「あ、テルーは」 菫「ああ、あいつは持ってるぞ?」 尭深「この間のインタビューで抱いてましたよね?」 誠子「アレね。確か通常バージョンじゃなかったよな?」 淡「え?なにそれ?」 誠子「知らないのか?サンプルの通常バージョンに加えて、オーダー次第でオプション付けたり服買えたりできるんだぞ?」 淡「なにそれ!」 尭深「私のはお茶とのセットで眼鏡付き」 誠子「私のは釣り人姿だ。オプションの釣り竿のクオリティがすごいぞ」 淡「ずるい!」 菫「……淡、考えてみろ。お前のは初期のオリジナルだろう?スタンダードでいいんじゃないか?」 淡「……それもそうだね!」 菫・尭深・誠子(ちょろい) 淡「あ、菫のは…」 ガチャ 照「ごめん、遅れた」 淡「あ、テルー!」 菫「お、来たか」 誠子「お疲れ様です」 尭深「お茶いれますね」 照「うん、ありがとう」 淡「ね、テルーも持ってるよね?」 照「何を?」 淡「Kちゃんぬいぐるみ!」 照「京ちゃ、Kちゃんね」 淡「?うん、そうだよー」 誠子「ちょうどその話をしてたんです」 尭深「先輩のは、服が制服じゃなくて私服ですよね?」 照「あ、ああ。そうだね」 淡「ねえ、なんで?」 照「……なんとなくかな」 淡「ふーん?」 照(本当は持ってる写真にあった京ちゃんの私服だけど) 菫「そんなことより、明日の臨海女子との練習試合だが」 淡「あ!菫先輩のはどんなの?」 菫「……だからいいだろ。それより明日の」 照「知ってる」 菫「おい!」 淡「どんなの?」 照「……王子様」 淡「え?」 照「弓を持った、王子様」 淡「…………」 尭深「…………」 誠子「……あー……」 菫「シャープシュート!!(物理)」シュッ!! 誠子「だからなんで私!?」ドスッ!! 照「うん。かっこいいよね王子様」 菫「黙れ」 淡「白馬はある?」 菫「うるさい」 尭深「お姫様もいるんじゃない?」 菫「やめろ」 誠子「弘世先輩自身がお姫様になったぬいぐるみとか?」 菫「…………」ギリギリギリ 誠子「え?そんなわけ…」ドスッ!ドスッ!ドスッ!! 菫「……では、明日の臨海女子との練習試合の話だ」顔真っ赤 照(悪いことしたかな) 照(でも、それだけ京ちゃんがかっこいいってことだよね) 臨海女子 智葉「で、明日は白糸台との練習試合だ。各自、本番のようにやれよ」 ネリー「ねーサトハー」 智葉「なんだ」 ネリー「このKちゃん、ネリーと同じ服で頼めるかなー」 智葉「……さすがに可哀想だからやめてやれ」 ネリー「えー?ハオは中国っぽい服って言っただけでかっこいいカンフーの服だったのにー」 ハオ「ふふん。日本人には中国っぽいだけで伝わるのです」 ダヴァン「私はオプションにラーメンデス」 ダヴァン「この日本の細かい技術はスバラシイデス」 智葉「ほんとそれ、無駄に凝ってるよな」 ネリー「明華は?」 明華「フランスとだけ言ったらナポレオンの格好でした」 智葉「それはまた……」 ネリー「あー……」 ダヴァン「oh……」 ハオ「…………」 明華「いいですよね?」ニコッ 4人(気に入ってる!?) ネリー「じゃーサトハはー?」 智葉「別に普通の格好だ」 ダヴァン「あ。持ってはいるんデスネ」 ネリー「えーつまんなーい」 智葉「お前らが変え過ぎてるだけだ」 智葉「全く。明日は白糸台がこっちに来るんだから、持って帰るかしまっとけよ?」 ネリー「はーい」 ダヴァン「ネリーは持ってないデショ」 翌日、Kちゃんナポレオン仕様が白糸台麻雀部に発見されるのは 淡「やっぱずるい!」 菫「……これもいいな」 照「……え?」 また別の話 Kちゃんぬいぐるみ、奈良にて 阿知賀、部室 穏乃「~♪」 憧「どしたのシズ。やけにご機嫌じゃない」 玄「鼻歌まで歌って、いいことでもあったの?」 穏乃「実は、今日ついに届くんだ!」 灼「何が?」 穏乃「Kちゃんぬいぐるみ!」 憧「ああ、あの時の」 宥「あの時?」 憧「Kちゃんぬいぐるみ、あたしも持ってんの」 憧「それをこないだシズがうちに来た時に見て、欲しいって言ったのよ」 玄「なるほどなのです」 灼「最近人気だよね」 穏乃「いや~、注文した時はタイミング悪く在庫無くって、やっと届くんですよ!」 穏乃「それが楽しみで!」 晴絵「なんだ。シズにもそういう女の子らしいとこあったんだな」 穏乃「赤土先生酷い!」 憧「普段ジャージだからでしょ」 灼「私もそう思う…」 玄「しずちゃんは昔からジャージだからね~」 宥「あったかそうじゃない……」 穏乃「う~、なんかみんな酷い」 憧「まあまあ。それで、頼んだぬいぐるみはどんなやつ?」 穏乃「もちろんジャージ!」 灼「ぬいぐるみまでジャージって……」 玄「しずちゃんらしいね」 穏乃「憧みたいな普通のもいいかと思ったけど、やっぱこれかな~って思ってさ」 憧「全く。シズらしいっちゃシズらしいけどね」 玄「憧ちゃんのも普通のやつなんだ?」 憧「そうだけど、"も"ってことは玄も?」 玄「うん、持ってるよ。そして私もスタンダードなやつ」 玄「やっぱりスタンダードなのが一番でしょ」 宥「……玄ちゃん、嘘はいけないよ?」 灼「玄が嘘?」 玄「お、お姉ちゃん!?」 晴絵「ほう、珍しいな。玄はそういうこと言わないと思ってたんだが」 宥「初めはドラゴンがいいって言って、困らせてたよね?」 玄「な、なんで知ってるの!?」 宥「電話の声が聞こえてて」 穏乃「ドラゴン……」 憧「まー、玄らしいわねー」 灼「玄……」 晴絵「そりゃー困るわー」 宥「最後はドラゴンの着ぐるみになったけど、あんまり無理言っちゃ、駄目だよ?」 玄「ううう……」 玄「お、お姉ちゃんだって!」 宥「わ、私?」 玄「あったかい格好って言って注文して!」 玄「あったかくない、ってクレーム付けてたのを知ってるよ!」 宥「だ、だって実際あったかくなかったし……」 晴絵「宥基準じゃなー」 灼「服の枚数の指定までしないと」 憧「でもドラゴンよりマシじゃない?」 穏乃「ど、どうだろう?」 玄「結局また送ってもらったじゃない!」 宥「つ、追加でお金も払ったよ~」 宥「ミニこたつまで付いてたし」 憧「なにそれすごい」 灼「細かいオプションのクオリティがすごいってのも評判だよね」 晴絵「それでもこたつとはすごいな。どんな人が作ってるんだ」 穏乃「灼さんも持ってるんですか?」 灼「わ、私?」 憧「ま、この流れじゃ聞くよね」 灼「ま、持ってるけど」 穏乃「どんなのですか?」 灼「ふ、普通のを…」 晴絵「灼まで嘘はいけないな~」 灼「は、ハルちゃん」 晴絵「灼にぬいぐるみが届いた時、嬉しかったらしくて写メ送ってきてな?」 憧「へえ。見せて見せて」 灼「ま。待ってほし…」 玄「ここまできて1人だけ秘密は駄目なのです」 宥「あったかくないよ?」 灼「うっ……」 晴絵「ほれ、これだ」 穏乃「どれどれ」 猫耳&猫尻尾&肉球のKちゃん 4人「かわいい!!」 灼「うう、恥ずかし……」 穏乃「灼さんこれすっごく可愛いじゃないですか!」 憧「くっ、やられたわ。これはやられた」 玄「灼ちゃん、いいなー」 宥「あったかそう……」 晴絵「はっはっは。好評で良かったな」 晴絵「さて、今日はこれくらいにしておこうか」 穏乃「はーい。さ~て、早く帰って受け取らなきゃな~」 晩成 やえ「……初瀬よ」 初瀬「なんですか小走先輩」 やえ「お前もKちゃんぬいぐるみを持っているのか?」 初瀬「……持ってますよ。流行ってますし」 やえ「ふっ、流行っているから、などニワカ丸出しの言い方だな」 初瀬「小走先輩……」 やえ「いいか?王者とは、このような流行りに惑わされぬものだ」 初瀬「……自分1人運悪く買えなかったからって強がるのはやめませんか?」 やえ「……ニワカは相手にならんよ」涙目 Kちゃんぬいぐるみ、岩手、宮守にて 宮守、部室 シロ「ダル……」 塞「これがKちゃんぬいぐるみ」 豊音「ちょーかわいいよー」 胡桃「結構かっこいいよね」 エイスリン「カワイイ!デモカッコイイ!!」 シロ「返して……」 豊音「えー?うちじゃシロしか持ってないんだよー?」 胡桃「手に入りづらいし」 塞「もう少し貸しててよ」 エイスリン「ハイ!」頭下げる絵 シロ「……ま、いいか」 シロ(帰ったら私だけだし) 胡桃「シロ、これ抱いて充電させて」 シロ「ダル……」 豊音「自分のも欲しいなー」 塞「この辺りでも買えるっちゃ買えるけど最近はずっと売り切れらしいしね」 胡桃「流行りだしてから話聞いたから遅かったのがね」 エイスリン「ン!」Kちゃんぬいぐるみの絵 豊音「わ、エイスリンさんすごいよー」 胡桃「エイちゃんそれすごく良いよ!」 塞「うんうん。私達はしばらく絵で我慢だね」 シロ「……しばらく麻雀部に置いとく」 エイスリン「ホント!」 胡桃「ありがとうシロ!」 豊音「ちょーうれしいよー!」 塞「みんなシロに感謝だね」 シロ「……別に」プイッ シロ(Kちゃんぬいぐるみもいいけど、1人よりみんなで楽しんだ方がいいし) Kちゃんぬいぐるみ、九州にて 新道寺、部室 姫子「部長、これは譲れなかです」 哩「私も譲れん」 姫子「……」 哩「……」 ガチャ 煌「お疲れ様です。ってなんですかこのすばらくない雰囲気」 美子「お疲れー。どがんしたと?」 仁美「ん、2人が喧嘩?珍しかね」 姫子「お疲れ様です。喧嘩、じゃなかです」 哩「そうやね。ちょっとした話し合いたい」 仁美(それから喧嘩に発展しそうなんやって) 美子「じゃ、なんの話ね?」 哩「Kちゃんぬいぐるみっち知っとっか?」 仁美「最近流行っとるやつ?」 煌「私持ってますよ?この間姫子が部長と2人で1つ買ったって教室で言ってましたけど」 姫子「花田、私達が話し合いよる原因はそれ」 美子「Kちゃんぬいぐるみが?」 煌「2人で1つだから取り合いになった、というのは」 仁美「こん2人でそれは無かね」 姫子「……部長が」 煌「部長が?」 姫子「せっかくオプションの鎖と首輪も買ったのに、縛るより縛られる方がいいって言うから!」 美子「……はい?」 哩「やっぱり他人に使うよか自分に使った方がよかと!それにKちゃん縛るなとは言っとらん!」 仁美「……あー」 姫子「一緒に縛るの楽しみにしてたんですよ!?」 哩「それ最初に言っとらんやろが!!」 姫子「部長が悪かですよね!?」 哩「私は悪なかよね!?」 3人(……正直どうでもよか(いいです)) 煌「ここで言い合うのはすばらくないですよ?」 哩「それは分かっとる」 煌「それに、おふたりも喧嘩するのは嫌でしょう?」 姫子「そーやけど」 美子「なんか折中案ば考えるとか?」 哩「……そんなとこやね」 姫子「不満は残りますが、分かりました」 仁美「折中案……1日ごとにお互いの意見を聞くとか?」 哩「……現状そげんするしかなかかな」 姫子「うーん。折中案にするにしてももうちょい考えたかですね」 美子「もうひとつKちゃん買うんは?」 哩「姫子が両方縛りたがるだけやね」 姫子「う、その通りです」 煌「……思い付きましたよ」 哩「ほう、どげんかと?」 煌「まず、もう1体ぬいぐるみを買う」 姫子「それさっき先輩が言ったやつ」 煌「買うのはKちゃんじゃないですよ?」 哩「は?」 煌「部長のぬいぐるみです!」 美子「あっ」 仁美「なるほど」 姫子「そ、そがんことできっと?」 煌「Kちゃんはもともとただのサンプル。本来は『好きな人のぬいぐるみ』が買えるというサービスです」 煌「で、姫子は部長のぬいぐるみを縛ればいい。部長もご自分のぬいぐるみは嫌じゃないでしょう?」 姫子「花田……」 哩「花田……お前はやる奴だと思っとった」 美子(普通は嫌やけどね) 仁美(まー部長やし?) 煌「これで問題解決です」 煌(しかし、縛る縛らないに慣れるってどーなんでしょうね) 姫子「帰ったら早速頼みましょうね!」 哩「ああ。それまでは、さっきの1日ずつでよか?」 姫子「はい!!」 3人(ま、いいか) 新道寺のエース2人は、今日も仲良くやっている 姫子「ところで部長のぬいぐるみ来たらKちゃんはどうします?」 哩「じゃ、私のぬいぐるみがKちゃんに縛られてるっぽくしてみよか」 永水 小蒔「うーん……」 霞「……」ニコニコ 小蒔「ううーん……」 初美「えへへー」 小蒔「むむむ……」 春「……♪」ポリポリ 小蒔「…………」 巴「ふふっ」 小蒔「……みんな酷いです!!」 霞「あら?どうしたの?」 初美「別に何もしてないですよー?」 春「……ただみんな」ポリポリ 巴「Kちゃんぬいぐるみ持ってるだけですよ?」 小蒔「私だけ持ってないの、知ってるじゃないですか!?」 霞「そうだったかしら?」棒読み 初美「さー」棒読み 小蒔「酷いですー!!」 春「……ずっとKちゃん買うの迷ってる姫様が悪い」ポリポリ 巴「さすがにその通りとしか」 小蒔「ぐすん」 霞「それにしても、どうしてそこまで迷っているの」 初美「そうですよー?」 小蒔「だってみんなのがどれも良くって迷うんですよ」 巴「みんな違いますからねー」通常Kちゃん 春「……個性」浴衣Kちゃん 初美「ですよー」水着Kちゃん 霞「私のは手に入るか分からないわよ?」限定和服仕様Kちゃん 小蒔「うう、いっそ何か自分だけのものも考えているんですけど」 霞「思い付かないと」 小蒔「はい……」 初美「姫様が好きなようにすればいいですよー?」 春「……それが難しい」ポリポリ 巴「姫様の好きなものから持ってくるとかどうですか?」 小蒔「好きなものですか……みんなとかですね」 4人(姫様……)ジーン 小蒔「うーん、巫女服でしょうか……」 霞「さすがにKちゃんは男の子だから巫女服はやめた方がいいわね」 巴(なんか似合いそうだけど) 初美「いっそ神様って注文したらどうですかー?」 春「……キリストとかになったらどうするの?」ポリポリ 初美「……人にしましょー」 小蒔「うーん」 巴「姫様。あんまり真面目に考えず、直感とかで決めたらどうですか?」 小蒔「直感ですか?」 巴「はい。こういうことぐらい、気楽にいきましょう?」 霞「そうね。あんまり小蒔ちゃんを悩ませるのもね」 初美「ですー」 春「……」ポリポリ 小蒔「じゃあ、私は」 数日後 小蒔「届きました!」 霞「良かったわね」 小蒔「はい!」 初美「でも、なんで宮司の格好にしたんですかー?」 小蒔「私が巫女だからです!」 霞「?」 小蒔「その、こういう男の人と会ってみたいなって思って」 初美「え」 小蒔「あ、巴ちゃんと春ちゃんにも見せてきますね!」 霞「……初美ちゃん」 初美「……なんですかー?」 霞「なんか、すごいフラグっぽいものが立った気がするのだけど」 初美「お祓いでなんとかなりますかねー」 Kちゃんぬいぐるみ、長野にて 京太郎も合同合宿に参加しました 全国大会前くらいの時間です Kちゃんぬいぐるみが全国で流行り始めたその時長野では 風越 美穂子「……ネット麻雀って難しいわ」 池田「ははは」 美穂子「画面が真っ暗のままなんて……どう打てばいいのかしら」 池田(キャプテン……やっぱりパソコンは無理だし。そもそもそれまだ起動してないし) 未春「キャプテン、私がやりますから卓にどうぞ」 美穂子「そう?じゃ、頼んだわね」 池田「みはるんナイスだし」 未春「さすがにね……さてネット麻雀はっと。アレ?なんだこのサイト?」 池田「ん?……なんだこの少女趣味」 未春「あはは。何々、最近女子高生雀士に人気の商品?」 池田「どれどれ」 未春「ぬいぐるみ?ってこれ……」 池田「見たことあるっていうか……」 美穂子「2人ともどうかした……の……」 鶴賀 桃子「部室到着っす、って一番乗りっすか」 桃子「待ってる間にネットでもっと」 桃子「何かないっすかね~」 桃子「お?女子高生雀士に人気の商品?」 桃子「……え?」 ゆみ「ん?モモだけか?」 桃子「せ、先輩!これ見てほしいっす!」 ゆみ「なんだ?とりあえず見るから落ちつ……なんだこれは?」 龍門渕 ハギヨシ「~♪」 純「なあ、最近ハギヨシ機嫌良くないか?」 一「最近趣味が見つかったらしいよ?まあいいことじゃない?」 純「ふーん。趣味ねえ」 透華「ハギヨシはいますか?」 ハギヨシ「ここに」 透華「ちょっと細かい注文が入ったと智紀が」 ハギヨシ「はっ」シュタッ 純「透華、注文ってなんだ?」 透華「ああ、ハギヨシの趣味のことですわ」 一「趣味で注文?なにそれ?」 透華「ああ、2人は知りませんでしたわね。なら、見た方が早いですわ」 透華「これです」 純「……は?」 一「……これってたしか清澄の」 和自宅 和「ふう、今日はこんなものですか」 和「あら?このサイトはなんでしょうか?」 和「……アリですね」 和「……え!?須賀君!?」 久自宅 久「あら、ゆみじゃないどうしたの?」電話中 久「は?今から言うサイトを見ろ?」 久「……意外と少女趣味なの?」 久「……え?何これ?」 久「は?私は知らないわよ!?いや、これはほんとに知らなかったから!!」 清澄 久「集まってるわね?」 和「須賀君がまだです」 咲「あ、なんか用事で遅れるって言ってましたよ」 久「そっか……こういうときに限って」 まこ「なんじゃ?京太郎に用でもあったか?」 久「ある、といえばあるわ。聞きたいことが」 和「部長も?」 優希「おや、和ちゃんが京太郎に用なんて珍しいじぇ」 和「ええ、ちょっと聞かないといけないことがありまして」 久「ひょっとして、和もあのサイトを?」 和「!まさか部長が!?」 久「私は昨日知ったからね?」 まこ「一体何のことじゃ?」 京太郎「うーっす、遅れましたー」 久・和「須賀くん!!」 京太郎「うおっ!部長に和?」 久・和「Kちゃんぬいぐるみって何!?」 優希・まこ「?」 咲「……え?」 和「このサイトです」 まこ「また少女趣味なとこじゃの」 久「和、そこよ」 和「はい」カチッ 優希「!?きょ、京太郎のぬいぐるみ!?」 まこ「こりゃあ一体……」 咲「…………」 京太郎「あー、これですか」 久「ええ、これはいったい何なのか、教えてもらうわよ?」 京太郎「これはですね…」 説明後 京太郎「…というわけでして、ここまで人気になってるのは俺も初めて知りました」 優希「京太郎のぬいぐるみ……」 まこ「なんとまあ面倒なことになっとるのぅ」 久「昨日ゆみから電話で聞いて知ったけど、これはね」 京太郎「一応許可は出してますし、目線は隠してありますし」 和「こんなの分かる人にはすぐわかりますよ?」 京太郎「ひょっとしてこれが原因で大会に出られなかったり?」 久「それは無いと思うけど……別に悪いことしたわけじゃないし、怒ったりはしないけど、不特定多数の人に知られるのだから気をつけておきなさいよ?」 京太郎「はい……でもなんでこんな人気に」 咲「だって、結構いいもん」 優希「咲ちゃん?」 咲「作りは細かいのにしっかりしてるし、かわいくてかっこいいし、人気でるよ。ふん」プイ まこ「咲、持っとるんか?」 咲「京ちゃん自身から貰いました」 京太郎「そういえば第一号を貰ったんで咲にやったな」 咲「……私だけの京ちゃんだったのに」 和「咲さん?」 咲「京ちゃんなんか知らないもん」プイ 久「自分だけだと思ったらみんな持ってるから拗ねたってとこね」 まこ「全国の女子高生雀士に人気の商品、ときたからな」 京太郎「俺なんかのぬいぐるみがなんで?」 まこ「この男は……」 優希「なーなー。これ、どうやって注文するんだじょ?」 咲「!?」 和「優希、これはですね。あら、売り切れですね」 久「本当に人気なのね。昨日注文した時はあったのに」 和「部長も?」 まこ「……"も"?」 和「……あ」 久「……好奇心よ好奇心!お試しってやつ?」 和「そ、そうですよ!」 優希「好奇心なら譲ってほしいじぇ」 久「駄目よ!」 和「駄目です!」 咲「部長も和ちゃんも……」 京太郎「なんなんだ?」 まこ「お前さんは……鈍いの」 優希「……私も欲しいじぇ」 そして全国大会へ おまけ 届いた人達 池田「おお~見事だし!」 未春「すごい出来がいいね!」 美穂子「これを上埜さんで頼めば…」 桃子「届いたっすよ~ステルス仕様!」 ゆみ「なんだそれは……」 桃子「私と一緒に消えることができるっす」スゥ~ ゆみ「ぬいぐるみも消えた!?」 桃子「先輩のは、和服?」 ゆみ「こう、凛々しい感じが良かったからな」 純「しっかしこれまた上手くできてるな」 透華「ハギヨシですわよ?これくらい当然ですわ」 一「なんか、ボクも欲しいかな……」 ハギヨシ「こちら、マジシャン仕様となっております」シュバッ ハギヨシ「それと皆さん用に執事仕様をご用意しましたので」シュババッ 一「い、いつのまに……あ、でもこれいいね」 純「お、おう。俺に似合わないが……いいな」 透華「パーフェクトですわハギヨシ」 ハギヨシ「光栄の極み」 和「……普段は私の胸ばかり見てますよね」 和「……えいっ」ぬいぐるみにでこぴん 和「……ふふふっ。胸以外も、ちゃんと見てくださいね?」 久「ごめんね、雑用ばっかりまかせて」 久「指導もちゃんとしてあげられないし、酷い先輩よね」 久「……大会が終わったら、必ず指導してあげるわ」ぬいぐるみ抱きしめ 久「……おやすみ」 おまけその2 はやり「…………」 健夜「…………」カチッ 『Kちゃんぬいぐるみが今大人気!』 『個人サイトの手作り品?高クオリティ』 『Kちゃんぬいぐるみ大阪限定仕様発売決定!』 健夜「ネットでもすごい評判だね、Kちゃんぬいぐるみ」 はやり「…………」 健夜「うん、一体一体が手作りだって」 はやり「…………」 健夜「だからさ……諦めない?コレ」 『牌のお姉さん☆はやりんぬいぐるみ 好評発売中!』 はやり「……売れるもん」 健夜「パクリ扱いされてるけど……」 はやり「……今だけだもん」 健夜「でもさ、この在庫の山はちょっと……」 はやりんぬいぐるみ入り段ボール×10 はやり「……なんで!なんでただの高校生のぬいぐるみが売れて私のが売れないの!!」 はやり「おまけにパクリ扱いって、私のはKちゃんの前に発売予告してたわー!!」 健夜「お、落ち着いて」 はやり「こんなのがさ!」Kちゃんぬいぐるみ取りだす 健夜「あ、持ってるんだ」 はやり「なんで!!」叩きつけ……ない 健夜「……どしたの?」 はやり「……かわいい」 健夜「はい?」 はやり「……可愛いし、かっこいい。だから八つ当たりできない」 はやり「ちくしょー!!!」 次話 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6316.html
「で、次はここか」 礼儀正しくラーヌン次郎をペロリと平らげた淡に連れられて、京太郎はゲームセンターに来ていた。 「そうそう!麻雀ばっかしてちゃ麻雀だけの麻雀人間になっちゃうよ!アラフォー待った無し!」 「んー、確かにな……しかし、でかいな」 長野にこんなでかいゲーセンはなかったなーとおもいつつ、そのあまりにもやかましい店内へと二人は足を踏み入れた。 ゲームセンターの中は予想よりもだいぶ騒がしかった。 都会のゲーセンは二階三階とあるのか……と京太郎はギャップを感じる。 「しかし、来たはいいけど俺はあんまりゲームは得意じゃないんだよな」 「そうなの?」 「外で遊ぶほうが好きだし」 「……なんで麻雀部入ったの?」 呆れた目で見られるが、入ったのだから仕方がない。 「じゃあわたしがよくやるゲームを一緒にやろう!んふふ~、ずーっと麻雀の練習ばっかでしばらく来れなかったから久しぶり~」 「やっぱ名門校は練習キツイのか」 「キツイっていうか、長い!」 ウガーッと淡は不満を漏らす。長い練習をキツイというのではないのかと思ったがたいした問題でもないと思い聞かないことにした。 「えーと、あった、これこれ!」 先を歩いていた淡がビシッと指をさした。その先を見てみると、なにやら洗濯機のようなピカピカ光る機械がある。 「……なんだこれ」 「マイマイ!」 「……あぁ、前行った時に誰かがやってたよーな」 淡は早速チャリンとコインを投入し機械の前に立った。 そしてじっと京太郎を見てくる 「やらないの?」 「え?俺もやんの?」 「空いてるんだしやろうよー」 「お、おう……ここか」 京太郎はいわれるがまま淡と同じように隣の機械にも100円を投入しその画面の前に立った。なにやら淡がニヤニヤしている。 「じゃあシンクロモードでプレイしようね」 淡が勝手に画面をタッチしてモードを選択していく。なにやらよくわからない、初めてプレイするゲームなので任せるしかなさそうだ。 「じゃあ簡単な歌曲で練習!がめんのマーカーに合わせてタッチするだけだから簡単でしょ!」 「そうか?まあやってみるか……」 そしてゲームが始まり曲が流れ出す。すると中央の画面に言われた通りマーカーが現た。チラリと淡を見ると、外側のラインに触れた時にタッチしている。見よう見まねで京太郎もやってみる。 「お」 そのままゆったりとしたテンポでマーカーが流れ続けてくる、要領をつかんだ京太郎は曲に合わせてマーカーを押し続ける。 (しかしこれは……恥ずかしいな) 誰が見ているわけでもないが、まるで踊っているようではないか、と思いつつも、一曲が終了した。 「はい終わり。どう?簡単でしょ?」 「まぁ、そうだな。でもお前よくこんなのやれるな……」 「人の目なんか気にしない!さ、次やろ次!次は少し難しいのやろう!」 画面をカチカチと押している淡は楽しそうだ、付き合ってやるのも悪くはないか…… 京太郎は画面に向き直る。次の曲が選択されたようだ。曲名は……LUCIA? 「ふう、クリア~。……あれ?!クリア!?きょーたろークリアできたの?!」 「やっぱお前すげー難しいの選びやがったな!?死ぬかと思ったぞ!?」 「えー……京太郎えー……なにその才能、そこは失敗するとこでしょー……」 「言いたい放題だなこんにゃろめー!」 「ギャー!グリグリやめてぇ~!」 じゃれ合いながらゲームを離れ、次は麻雀ゲームをやることになった。 「えー、ここまで来て麻雀?」 「いいじゃねーか別に、初心者潰しの大星さん」 「ごめんってばー」 反射神経が疲労しきった京太郎はドスッとゲーム機の前の幅広の椅子に腰を下ろした。 「ちょ、つめてつめて」 「え、お前ここ座んのかよ」 すると淡は京太郎をぐいぐいと押して、無理やりに同じ椅子に座り込む。 二人なら問題なく座れる椅子ではあるが、画面を覗き込むと体が密着しそうで落ち着かない。 「ん~、じゃあへっぽこな京太郎には私が指導をしてあげよう。光栄に思いたまえ」 「はいはいありがとさん……」 チャリンとコインを投入し、画面をタッチして対局画面へと移っていく。隣の淡はなんだかんだといいつつ楽しげに画面を見つめている。 「ふふー、頑張ってねきょーたろー」 「おう」 「ねー京太郎」 「ん?」 「京太郎の麻雀を始めたきっかけってなに?」 「あー、それはなー……」 「あ、それ鳴いて」 「え、マジ?……入ったきっかけなー、麻雀部に好きな子がいたからだ」 「なにそれ」 「いやマジで。中学の頃までは運動一筋だったんだけどさ、同学年でスッゲー可愛い子が、麻雀部に入ってさ、お近づきになれればなーって……お、ツモった」 「なにそれ、不純」 「男なんてそんなもんだ。で、まぁ、それでやり始めたんだけど、案外面白くてな」 「ふ~ん……へんなの」 「なにがだよ」 「その割にはガッツあるなーって……私にボコボコにされれば、すぐに心折れて、少なくともその場では麻雀やめる!とか言い出すかと思ってた」 「いいたかないけど負け慣れしてるからな……」 「ダサいよー」 「うっせー」 「……ここは三索か?」 「三色の目あるんだからもったいないでしょ、もっと欲張りなよ」 「そ、そうか……で、淡はさ、どうだ」 「なにが、麻雀始めたきっかけ?」 「いや、そうじゃなくて、麻雀って楽しいか?」 「……え?それ聞く?普通同じ質問返さない?」 「聞きたいんだ」 「別にいいけど……楽しくなきゃやってないでしょ」 「やっぱ強いし楽しいか」 「そりゃね。負けることもたまにあるけどだいたい勝てるし……」 不意に、淡の顔が俯いているのが視界の端に移って、京太郎はそちらを見た。 「でも、ね、昨日は……相手も強くて楽しかったんだけどさ、すごく悔しかった……」 「……そうか」 再びゲーム画面に顔を向ける。そこから淡のアドバイスは終局まで入ることはなかった。 「今日はお疲れ様」 「おう」 ゲームセンターを出た二人は、帰り道を行きながら話していた。先ほど浮かばない顔をしていた淡もいまはすっかり明るい表情だ。 「本当楽しかった~。しばらく息抜きできなかったからさ!」 「いつも緩みまくってる気がするけどな」 ルンルンと広い歩幅でゆったり歩く淡の姿を見ていると京太郎も心が和む。こんなにも凛とした美貌なのにどうしてこうも癒しオーラが放てるのか、不思議でならない。ふだん幼馴染のポンコツを眺めていると余計にそう思う、あれはあれで可愛いが。 「……それにしてもさ、知り合って3日目なのにこんな風に仲良く遊ぶって不思議だよねー」 「お前が人懐っこいからだよ」 「犬みたいに言うなー!」 ポスポスと叩かれるが全く痛くない。淡のいう通り、知り合って3日目だというのに既にこのさっぱりとした子供っぽい性格の淡に、京太郎は心を許していた。 そして、二人の帰路の分かれ道へと差し掛かる。 「じゃ、ここでお別れ」 「そうだな」 「えーと、お金返したし、忘れ物とかないし……よし、大丈夫。じゃあ、ばいばーい京太郎」 淡は軽く手を振って沈みかけた夕日の方へと歩き出した。 揺らめく金の長髪がまさしく黄金色に輝いて、その性格とは裏腹の神々しさを醸し出す。 思い立って、京太郎は声をあげた。 「淡!」 その声に反応して、淡は振り返る。小首を傾げて、なんなのか、と問いかけてくる。 「明日の、清澄と白糸台の決勝線さ!」 「絶対に、清澄が勝つぜ!」 自分のことでもないのになにを偉そうにと自虐しながらも京太郎は自信満々に言い切った。 その言葉を受けて、少し呆然とした淡も、段々とその口角を上げて、悪役っぽい顔をする。 「いーや!勝つのは私!」 自信満々に言い切った後、再び背を向けてズンズンと淡は去っていった。 「……」 そして、京太郎も、淡と反対方向、夕日に背を向けて歩き出した。 翌日、インターハイ団体戦の決勝戦。 より一層多くの観客が詰め寄る中、清澄の控え室は緊張に包まれていた。 「……もう少しで開始だな」 「おう……」 「……おい優希、これみてみろ」 「お?……あー、タコス」 「お前ガラにもなく食べるの忘れてたぞ、食べなきゃ力がでないんだろ?」 「おう!気が聞くじぇ京太郎!……んー!うま!」 「俺の謹製タコスだ……それくらいしかしてやれねーからな……勝てよ、優希!」 「……任せとくじぇ!」 「……ふぅー」 「三連覇がかかると、さすがに緊張するか?」 「……」 「それとも、妹か?」 「関係ない……私は、ただいつも通り……勝つだけ」 「……任せた」 「任せといて」 決勝戦、先鋒戦開始 …… ………… ……………… 重苦しい、沈黙。緊張感の張り詰める控室。 「ゆーき……」 緊張した面持ちで和が見つめる画面には、対面で宮永照と対峙する優希の姿があった。 東4局、親番は照。 一言で言うと最悪である。宮永照との対局においてラス親を取られるのはほぼ負けを意味している。 もはや暗黙の認識と化している宮永照の能力、打点上昇ツモと《照魔鏡》。相手が起親で親番を潰すのが最高である。、その真逆はやはり最低である。 しかし優希は引き下がらない。点数98300点。まだまだ負けていない。 だが、長い南場が待っている。 「……お姉ちゃん」 咲が、ぼそりと呟く。 まさしくここで決勝戦は最大の山場を迎えている。 優希は、勝てるのか。 「……ん?」 不意に京太郎のポケットが震える。マナーモードにしてあるスマートフォンが震動したのだ。 画面を開くと、LIMEのようだ。差出人は、大星淡。 『やっほー。今控室だよねー?ねぇ、先鋒戦がどんな風に終わるか予想しあおうよー 私はねー、白糸台以外マイナス!どうー?(#′∀')』 「……」 京太郎は、黙って返信文を書いた。 『余裕だなおい。そうだな、俺の予想は……白糸台が一位で、清澄はプラス収支だ』 送信…… すぐに返信が来た。 『えー?そこは清澄が一位っていうところでしょー?(・3・)』 すぐに、返信 『まぁそれが理想だけどさ……あの清澄のタコスは昨日俺のアイスを奪いやがったからな。それに……』 文を書き終えて、京太郎は再び送信を押す 『点数負けてても、あんまり関係ないんだ』 ……変身は、来ない お人好しが過ぎると、京太郎は皮肉に笑う。 画面の向こうでは、優希が宮永照に直撃をかましていた。 (っ……食いついてくる) 宮永照は、清澄と阿知賀のタッグに苦戦していた。 実に理にかなったコンビ打ちを展開されて、上がる前に潰されている。 松実玄の力で、ドラは誰の手にも行き渡らない。 優希はその類稀なる集中力と運で、宮永照に食らいつくもあと一歩、いや、二歩。であれば、二人でやることは簡単だ。 優希は、ドラとは無関係の場所で手を作り上げる。 玄は手の内にドラを溜め込み、優希の欲しがる牌を切り鳴かせる。 単純だが強力だ、玄の一押しが優希を宮永照に喰らいつかせている。 (気があう人でたすかったじぇ……さて) 阿知賀の方にウインクをしてから、優希は宮永照へと向き直る。ここまでやってまだ五分だ。いや、少し不利かもしれない。 しかしこれなら十分勝てる。優希は深く深呼吸をし、改めて卓上を見渡した。 (負けるわけにはいかないじぇ!この優希様が点を稼いで、みんなを有利になるにスタートさせなきゃならないんだからな!)タンッ 「ロン!」 「あ」 臨海に直撃させられた 混沌とした、先鋒戦、終了 白糸台は一位通過で、122500点 清澄は100200点。 今までの試合と比べると白糸台のリードが明らかに少ない。 会場内は騒然とした。 「うぬぬぬ……ただいまー」 「ゆーき!」 「おわーっ!?」 部屋に入ってくるなり感極まった和に優希は抱きつかれた。顔が胸に埋もれている。 「すごい!すごいですゆーき!あんなすごい麻雀!」 「むぐぐぐ……ぷはっ。うー、でもかなり離されちゃったじぇ……」 「何言ってんの、上々よ」 「うん……お姉ちゃん、すごく悔しそうだったし。すごいよ優希ちゃん!」 「そ、そう?へへ……まぁ、この私なら当然!」 えっへんと胸を張る優希は、そのまま京太郎に向き直った。 「京太郎!お前のタコスの力もかなりあった!たすかったじぇ!」 「へへ、早起きした甲斐があったってもんだ」 あの宮永照相手にプラス収支で二位通過、湧き上がる面々をよそに、のっそりと染め屋まこが立ち上がった。 「おう、ようやったの、優希……ほんじゃ、わしはこの荒れた場をフラットにしてこようかの」 「まこの胸みたいに?」 「張り倒すぞおどれ」 「っ……」 「何を落ち込んでるんだお前は、ダントツ一位だろう。その顔見せたらさっきの先鋒のメンバーにすごい嫌なもの見る目で見られるぞ」 「いや……落ち込んではいない。ただ疲れた」 「ほう」 「あそこまで、喰らいつかれたのは久しぶり……まぁ、楽しかった」 「……うん、そうか。さて、私の番か……苦汁を舐めさせられたからな、準決勝で。名誉挽回と行こう。照のリードをより磐石にしなければならないな」 「スミレ~がんばってね~」 「菫せ、ん、ぱ、い。淡、阿知賀と清澄の対象の牌譜見ておけよ」 「は~い」 (読まないなあいつ……) 「……お」 またも、淡からのLIMEが届いた。 『う~、京太郎やるじゃん!』 『どうだ、俺の戦況千里眼は!』 『千里眼ってなに?千里山の親戚?』 頭を抱えた。 『千里眼ってのは千里先まで見渡せるほどの視力って意味だ』 『せん……なに( ・・)?』 『せ、ん、り!』 『距離じゃん、未来じゃないじゃん(′・3・)』 『戦術ってつけたろーが!』 素直に戦術眼と書けばよかったと後悔。予想以上に手間取らせる。 『それより次峰戦の予想!私はねー、白糸台が一位でドベは阿知賀!』 『おうそうかいそうかい』 チラリと画面を見て、返答 『阿知賀は二位かな、俺的には』 (あー、なんじゃろーなこれ) まこは頭を抱えたくなるような無茶苦茶な卓上を見た。 そして、対局相手たちを見る。 松実宥、そんな格好をして頭が茹らないのか、問い詰めたい。 弘世菫、お前こっち見ろ、うちは二位だぞ。阿知賀ばっかみんな。あ、みた。 慧宇、お前は……まぁよく知ってる。一回やったし。 (なんじゃこれ) 頭を抱えたくなる。なんと混沌とした場か、面子も卓上も。 自分が地味に見えてくるから困る。緑髪だぞ緑髪。 (しかし、ま) 眼鏡を外し、卓を見つめる。 (やることは変わらん) 牌をきる。 (だいぶ、なんというか、見たこともない表情しとるけどな?ご機嫌とりは、いつもの通りやればええ) (逃がさんぞ松実宥) 弘世菫は若干頭に血が上っていた。対面に位置する松実宥にただならぬ熱い視線を送っている。無論、あれじゃない意味で。 (無論これはチームの勝利を目指している。そのためなら感情を殺すべきだ、しかし……) 感情論を切り捨てては麻雀は勝てない、一度ならず二度までも躱してのけた松実宥に直撃をとらなくては、この劣等感が対局中ずっと足かせになる。 (必ず射抜 抜いて見せる、必ず) 神経を集中させる。名門校のプレッシャー、三連覇のプレッシャー。勿論、ある。 しかしそれすら一瞬忘れた。稼いでくれた友のため、後に続く後輩のため、この戦いは負けられない。 (清澄のはまだ手ができてはいない雰囲気だ、臨海もあと少しといったところが、なら、狙い撃つ!) 弘世菫は、狙いを定めた松実宥の捨て牌をみて、最高の待ちで満貫の聴牌を作り牌を切り出した 「ポン」 「!」 上家の清澄が鳴く。 (くっ、しかし、阿知賀までツモが回れば!) 「ほれ」 「あ!」 「ロン、5200」 阿知賀が上がった。清澄の捨て牌で。 ほいほいとまるで気落ちせず清澄は松実宥に点を支払う。 (……なるほど、強敵じゃないか、清澄の……染谷まこ!) 弘世菫の、視線を感じ、染谷まこは少し笑った。 白糸台、123800で次峰戦を終える。 対して阿知賀、点数を10万点代まで回復させる。 清澄と臨海はもつれ合う形でわずかに臨海が上。 「帰ったぞー、いやーすまんの優希、お前さんの点棒まいてきちゃった」 「先輩……すごく意地が悪い麻雀だったじぇ……」 「まーこー……あなた白糸台への嫌がらせに集中しすぎじゃないのー?」 「しゃーないじゃろ怖いし、調子づかれて突き放されるよりなるったけフラットにフラットに。だいたいこのくらいの点差なら……お前さんら勝てるじゃろ」 まこは、三人に目を向ける。 竹井久、原村和、宮永咲、この三人ならきっと追い抜ける。 「わしの役目は、射程圏内で耐えることと、相手をぐしゃぐしゃにかきみだすこと……あとは任せたぞ、久」 「……まっかせときなさい」 「やられた!!まんまとやられた!!!!」 「お、落ち着いてください部長」 「落ち着けるか!染谷まこめ……私が狙い撃つ相手全員に自分で振り込むし!いざ染谷を狙ってみよにも上がりを目指さない上がり方のせいで手が読めない!」 「……おそらく白糸台を独走させないために、あえて自分の点を吐いて菫のペースを乱してた。自分が上がる気がないんだから、当然相手はいろんな牌を持てるしひらひら逃げられる」 「ウグググ、悔しぃ……!!」 「部長キャラ崩壊してます……」 「あっはっはっは!スミレおもしろーい!」 「うがあああ!!」 「ギャー!?暴力はいけません~!!スミレのアホー!」 中堅戦 清澄の部長竹井久、ついに憧れの舞台に立つ。 (やば……すごい緊張する) なんせ悲願の優勝がかかった試合だ、今までよりはるかに大きい重圧がかかる。 (でもまぁ……後輩にかっこいい先輩の姿を見せつけるラストチャンス!怯えず行くわ!) しかし久は引かない。強い気持ちで手を作っていく。 新子憧、渋谷尭深は、確かに強敵ではあるが、他と比べれば火力はマシだ。 問題は、雀明華。自風を使って速攻で上がられると、瞬く間にオーラスに突入してしまう、そしてそのオーラスは渋谷尭深の本領。 それまでに、何としても点を稼ぎたい。 (どう戦おうかしらー……) んーと、少し考える。 そして、控え室のメンバーのことを思い出して、少し笑う。 (……かっこよく戦いたい。自分の好きなように、自分が楽しめるように、誇れる麻雀を) きっと前を向く。かわいいかわいい後輩連中の目にやきつけよう、この戦いを。 「……ツモ!」 我らが大将咲、頼れる副将和、信頼するまこ、かわいい優希、面倒かけてしまった京太郎。 全員を思い、久はいつも通りに派手なツモ上がり(モーション的な意味で)を決めた 一方京太郎は控え室から抜け出てトイレへ向かっていた 「あーちくしょう!緊張して飲み物飲みすぎた!」 自分が戦っているわけでもないのに京太郎はいつの間にか2リッターのミネラルウォーターを飲み干していた。 それに気づいた瞬間尿意をもよおす、しかも強烈。 そのせいで京太郎は久の想いが詰まったツモを見逃した。運のない男である。 「くっそー……どうしてこう締まらないかねー」 小便器に用を足し、急いで手を洗う。 男子力高めな京太郎はしっかり隙間まで、液体石鹸を使って洗い流した。 「さてと!すぐさま観戦に!」 トイレを飛び出し、いざ走り出す!目的地は清澄控え室!目標は試合観せ…… 「うはぅ!?」 「ぐおっ!?」 腹に、何か突き刺さった。 おそらく金色のものと視認したそれは走り出さんと身を乗り出した京太郎の硬い腹筋にドスリとめり込む。 カウンターの要領で名状しがたい金色に頭突きをもらった京太郎は二、三歩後ずさり、青い顔をして腹を抑えた。 「うっううぅ……ご、ごめん、前、見てなかった……」 「いや、俺も走ってたから……」 お互いくぐもった声で謝罪をし、お互いを見やる。 「……ん?京太郎じゃん」 「……淡?」 「ここでいいか」 「うん、オッケーオッケー」 そのあと、控え室に戻ろうとした京太郎に淡は、一緒に試合を観戦しようと持ちかけた。よって今二人は、大型モニターの備え付けられたスペースにいる。椅子は埋まっているため、壁に寄りかかる形だ。 「いやー、スミレを怒らせちゃってさー。大将戦までなるべく外にいようと思って」 「呑気すぎるだろ」 画面の向こう側では、控え室で後輩達が勇姿を見ているだろうと信じて戦う久が映っている。 その内の一人京太郎はその久の対戦相手の高校の大将とだべりながら見ているが。 「てゆーかー、京太郎勘鋭すぎー。この淡ちゃんより予想を当てるなんて、生意気だぞー!」 「理不尽な……」 プンスカ怒る淡を横目で見て、京太郎は苦笑いした。 「別に、勘が鋭いわけじゃねー。それなら麻雀弱いわけないしな」 「あーそっか」 「納得すんのな……俺は、ただ単に清澄に都合がいい展開を予想っぽく言ってただけだ」 「都合がいい?四位なのに」 「チーム戦だからな」 久が白糸台から直撃をとった。点数はそれなり、一気に差を詰める。 「わお。たかみーから直撃って、やるー。てかなにあの待ち」 「そういう人なんだよ。守り硬い相手の方がやりやすいんだ」 適当にだべりながら、試合を観戦する。画面の向こうで1回目の半荘が終了。風神こと明華が白糸台の大物手を阻止する。 「あーたかみー!」 「相性悪いな、ありゃ」 「うわー、点数が10万点だいに……でもいーもん!私が取り返すもんね!」 ふふーんと淡が胸を張る。 「そこ、ふつーは大丈夫かなーとか不安に思うとこじゃねーの?」 「高校100年生に負けはない!」 ふんすと語る淡の目に揺らぎはない、本当に、自分自身の実力を信じているのだろう 「チーム戦だぜ?これ」 「? 負けてても、私が取り返せばいーじゃん。大将の役目でしょ?」 「勝ってたら?」 「勝ってたら、ぶっ飛ばすまであがる!」 「なにもかわらねーじゃねーか戦法!」 「なにさー!よーはアガらせずにアガればいいんでしょ!私にはそれができる!」 再びふんすーと鼻を鳴らす。 京太郎は苦虫を噛み潰したような表情をした。 「……淡、俺の予想を教えてやろうか」 「予想?」 「多分な、白糸台は結構リードして、副将戦を終える。二位は清澄だ」 「ほほー」 一息、ついて 「……で、お前は、咲に負ける」 告げた。 「……ほっほーん」 結構カチンときたようだ。淡がメラメラと瞳の炎を燃やして見上げてくる。 「えーつまり、この淡ちゃんが、そのサキに、大きな点差ごと捲られて、逆転サヨナラ負けを喫すると」 「そうだ」 「……んにゃわけあるかー!」 淡は吠えてシュバッと京太郎の背後に周りベチベチと背中を叩いてくる。 「いててて、やめろ!」 「生意気だぞー京太郎のくせにー!てか、バカにしすぎー!」 フンッと今度は不機嫌に鼻を鳴らし、淡はきっと睨んできた。 「そんなに言うなら見てるがいい!この淡ちゃんがアッショーしてきてやるから!そしたら京太郎サーティーワンおごってよね、3段で」 何度目か、淡は鼻をふんすとならしてずかずかと歩き去って行った。 「……」 京太郎は、その背中を、少しばかり、心配そうに見つめた。 「で、須賀君は私の勇姿を見てなかったのね~……」 「いや、見てましたって!」 「よそのモニターで、いざこれから戦う高校の大将と駄弁りながら?」 「」 ものすごい勢いでいじける久に京太郎は徹頭徹尾謝罪する。 あのあと、対局を終えた久に優希が何やらチクったのだ。 どうやら飲み物を買いに出たら淡と喋って観戦していたのを見ていたらしく、それを聞いた部長は至極不機嫌である。 対局の結果は、白糸台が137000 、その他の高校は全員10万を下回るが似たり寄ったり。 三校で渋谷尭深を徹底的に狙い撃ち、一時白糸台は4万点近くまで点数を落としたが、ラス親の尭深はわずか三巡で四暗刻字一色を完成させる離れ業を披露、全校から大量の点棒を抉り取り、結局はプラス収支で終えてしまった。 「くっそー、泣きそうな表情になるもんだから油断したらこれよ、これも全部須賀君の仕業よ」 「なんだって!?絶対に許さないじぇ京太郎!!」 「それ俺かんけーねーし!!」 いじいじし続ける久と弄られる京太郎を他所に、原村和は準備を始めていた。 「……負けられませんね、せめてトップとの点差を10000まで縮めます」 「うん、頑張ってね!」 「もちろん、負けるわけにはいきませんから」 落ち着いた表情で、和はほかのメンバーを見渡した。 「みなさんから受け継いだバトンを最高の形で咲さんにつないで見せますよ」 「ふぅ……なんとかなった……怖かった……お茶……」 「さすがだね尭深、いや、相手の顔!いい気味だったね!」 「2人のために、しっかりと点を取れてよかった」 「相手にとっては、たぶんトラウマになる。だって、三巡で32000点オール、もはや神業」 「ど、どうもです」 「淡はまだ帰ってこないのか!」 「ダイジョーブですよ部長、なんやかんや割と余裕を持って帰ってきますって。さて、行きますか……準決勝の汚名を返上しなくちゃ」 「……あんまり気負わないで」 「ん、ありがと」 「……」 ちらりと、スマホを見る。LIMEはこない。淡はヘソを曲げに曲げたらしい。 おそらくあの調子で、決勝に望むことだろう。 京太郎は心配である。 別に心配することではないはずなのだが、とにかく心配なのだ。 恐らく淡はひどい目にあう。この、大舞台の、締めくくりとなる対局で。 しかし今はそれよりも和のことだ。 画面の向こうですでに対局は始まっている。いつも通り、静かに正確に手を進めていく和。 原村和にとって、対戦相手というとは実のところ、さほど重要ではない。 和にとっての麻雀とは、全員が同じ条件のもとで、運に左右されながらも、知略の限りを尽くし、できる限りの最良の道を選び続けるゲームだ。 無論、対戦相手の癖とか、そういうのはかなり重要な情報ではあるのだが、和はそれよりも、とことんデジタルに、とことん合理的に、低い確率よりも高い確率を、低い効率よりも高い効率を。 (配牌で暗刻がふたつ……両方筒子ですか) それ以外もそれなりにまとまっている。向聴数こそ並の三向聴だが、高めを狙えそうだ。 一瞬で計算を済まし、最も不要な牌を切り出す。 そして、対局相手を見る。 臨海のメガン・ダヴァン 白糸台の亦野誠子 そして……阿知賀の、鷺森灼 部長曰く、全員が不可解奇妙な「パワー」を持っているらしい。 (そんなオカルトありえません……が) 普段なら、バカバカしいと一蹴するが、和は、考えを切り替える。 オカルトは信じないが、打ち回しに独特の癖があるというのは事実だろう。 だったら、それを見咎めない手はない。 和は、ただ淡々と、手を作り上げる。 恐ろしい速度で 「ツモ」 7巡目、裏目もなく、最高の牌効率で打ち回した良配牌は、素晴らしいスタートを切らせてくれた 「2000.4000です」 (……強いなー) 亦野誠子は、ため息をつきたくなった。もちろん対戦相手に失礼なので実際にはしない。 (……綺麗な手を作るな、無駄も一切なし、最短距離を突っ走る) 門前で上がったことがない自分からすれば羨ましい限りである、その運を、少しよこせ、あと胸も (いや、運の問題じゃあない) 自分の手に、向き直る (役割を果たせ) 現在白糸台は135000、他は全員マイナスで、4万近く突き放している。 ダントツで有利だ。このまま淡にバトンをつなげば、その圧倒的防御力とスピードと火力、つまるところパーペキな淡ならばきっと勝ってくれる。 (つまり、私のこの対局結構重要じゃん) 「ポン」 化け物どもを相手に、立ち向かう (このままじゃ終われない) (汚名返上の最後のチャンス、ふいにしてたまるか) 「チー!」 二副露、あと一つ (綺麗にまっすぐ上がりを目指してくれて助かる、切る牌を結構絞れるからな) 「ポン!」 三副露 「ツモ!1000.2000!」 「亦野、よくやった」 「あはは……汚名返上には少し、地味すぎ、ましたかね……?」 「お疲れ様、誠子ちゃん……はい、お茶」 「ありがと……」 「……さすが、白糸台の副将」 「よしてください、先輩……あれ?淡のやつは?」 「ここだよーん!」 「うわ!おま、どこから!」 「ロッカー!!」 「狭いところが落ち着くのって、なんだろうね、あれ」 「やめろ照。……ていうか淡お前なぁ……いや、なんかもういい」 「へへーん、見てたよー!すごいじゃん!でもこれじゃあ余裕すぎて私の見せ場ないかなー?」 「……準決勝で苦労させたからさ、少しでも楽になってくれれば気が楽になる……準決勝でも言ったけどさ、頼んだよ淡」 「まっかせときなさーい!高校100年生のこの大星淡様が!」 「……清澄に、ひいてはその中の一人金髪のデクのボーに思い知らせてやる……!!ケケケケケケ!!!」ユラユラユラァァァ 「……金髪のデクのボー?」 「誰のことかな?」 「……さぁ?」 (もしかして自販機に頭ぶつけてたあの男子か?ていうかあいつすでに髪がユラユラしてるぞ、地味にこのssで初の「」の後の擬音じゃないか?) 「……」 京太郎は画面を見つめる。 すでに、大将の四人がそろい踏みだ 起親、高鴨穏乃から順に、咲、ネリー、そして大星淡である。 全員がスタートを待ち、卓上に視線をおろしている。咲はああ入ったもののこの大舞台で死ぬほど緊張しているだろう。 ……と、思ったら淡がちらりとカメラ目線になり、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。なんとなくこちらを見たような気がして少し後ずさる。 (はは、おっかねーおっかねー) 実は淡が入場する直前、京太郎のLIMEに淡からトークが届いていた 内容は『この私のアイス好きをなめるなよ、破産させるまで食ってやる!(#`д′)』 なんとも、腹に据えかねているようだ。それはもう、ものすごく。 京太郎は、今更それに返信をした。今は試合中、淡もマナーモードにしているはずだ。 文を書き終え、送信。 『テレレレテレレレーン』 『あ、マナーモードにしてないや、ごめんごめーん!』 「……」 絶句 (俺悪くねーよな?) 少し冷や汗をかいたが、気を取り直す。 ポケットにスマホをしまい、再び京太郎は画面に集中した さて、と 淡は卓上を見下ろした。 淡はラス親であり、起親の高鴨穏乃が元気よく牌を切り出したところだ。 準決勝では苦渋を舐めさせられたが今度はそうはいかない。 メラメラと燃え上がるリベンジ根性を抑え込み、続けて対面。 宮永咲 静かに、素早く牌を切った。手慣れた手つきだ……当然か。 宮永咲、最近知り合って、結構気があう京太郎が言っていたが、私はこいつに、捲られて負けるらしい。 やってみろと、やれるもんならやってみろと、高らかに叫びたい。 点数はおよそ28.000点。そして、相手は必ず五向聴。こっちはダブリー『かけてもいい』 負けるものか、うち負けるものか。 髪がざわつく。意識を集中する。上家のネリーが切り出した。 淡、それを受けて改めて自分の手配を眺める。 ニヤリと少し笑い、牌を切り出した。 リーチは、しない。 「なんと……」 久は唸った。大星淡がダブリーをかけなかったことに疑問を覚えたのだ。 「戦略を変えてきたかの」 まこの指摘の通りだろう。淡は聴牌を崩しー向聴に戻す。しかし、役を絡めやすい組み合わせに近づけたようだ。 「驚くことじゃありません。あの手なら確かにダブルリーチをかけずに粘ったほうがいいですね」 和は苦々しい表情で言う。相手の出だしがすこぶる好調なのに対し、咲の手牌がバラバラなのが気になるのだろう。 「ダブリーは制約じゃないのか……」 優希が呟いた。あの能力はドラゴンロードのような『制約』がないようだ。すなわち、遅い相手を眺めながら手を組み替える余裕があるのだ。 「……」 京太郎、黙って画面を見つめる。焦りは、ない。 (いいじゃんいいじゃ~ん!) 大星淡は大変機嫌よく牌を切り出した。 4巡目、二向聴まで戻したが役が絡みドラなしでも満貫にてが届く。 そして、手元には崩さずにとってある暗刻もある。 倍満もゆめじゃな~いとウキウキしながら相手を待ち受ける。さあ追いついて見せろ、と。 誰も、リーチをかけない。 五巡目に入って改めて淡は卓上を見下ろす。ここからは油断しない。もしかしたら上がってきやがるかもしれないのだ。 捨て牌からはその気配はない。 ツモり、切る。手は進まながったが別に構わない。 カドまでまだまだあるのだから。 ~~~ (きたー!!) 「リーチ!」 高らかに宣言、リーチ棒をだす。 一応基本にならって、両面待ちの形にした。そして、次のツモ。 「カン!」 んでもって 「ツモ!」 淡はアガった。ところがどっこいカン裏がさっぱり乗らず、まさかの満貫そのまま。 (うぐぅぅぅなんでー!?) 満貫をツモあがりしたのに頭をかきむしる淡に三人の冷たい目線が刺さる。おっと失礼と姿勢を正し、気を取り直す。 (いいもんいいもん!上がったのは淡ちゃんだし!サァツギの局こそ……) . ¨  ̄ ̄ ¨ . . ´ `ヽ . ´ . ′ . / . ,′ ;. / / / { ニニ二三三二ニニ / / \ ニ二二三三三二二ニ / イ /\_ \ ___ ニニ二三三二ニニ ∠ イ | / ,ィ  ̄ ̄三三| ニニ三王 三l 三|ニニニ= | | |. 厶イ | i 二| 三トニ二三ト、三ト、 ト、ニニ= | |/ j j从| | |、 | | | ト、ニ王ニ{{ o }}ニ= | ! | ト、圦乂| 乂| \{ \| ヽ{ヽ{ イノ 乂_{ jハ 从イ/´ -=ニ`ト . - .イ二ニ=‐- 、_ r=ニ =ニ二|`ト _ . r |二ニ ニ7 }ニ〉 ハ マニ ニ二ハ !二ニ / / /ヽ. / Vハ \ ニ二ハー- -一 j二ニ / / / ∧ ′ \\\ ニ二ハ───‐/二ニ //イ / | \\\ 二∧ /二ニ ///,/ ,/ 1 | }八 {\\\ 二∧ /二 /// // ∧ | 「!?!?」 対面の視線……否、死線を感じ体が震えた。 おもわず目をそらしてしまう。 (え、な、なになに!?ちょーこわい!?) (あ、淡ちゃんは怯まないもんね!テルーの妹だとかなんとかだけど、そんなのカンケーないし!) その照が控え室で咲にたいそう怯えていることなどつゆ知らず東二局。 相変わらず淡は好調であり他家のスタートはやはり遅そうだ。 (ふーんだ、このまま突っ切って……) 「カン」 「っ」 対面、宮永咲のカン。 おそらく有効牌を引き入れられたと、直感が告げる。 (少し余裕なくなったけど、でもまあ有利なのは……) 「カン」 「ぅ」 三巡目、再び咲のカン。 「カン」 五巡目。またもカン、しかも全て暗カン。 おまけに、その五巡目のリンシャン牌。 「ツモ」 淡にとって完全に想定外、五巡目のツモあがり。 「三暗刻三槓子、リンシャンカイホー、満貫」 早い、強い。ドラが載ってないことが救いだ。 清澄との点差、咲の親満で縮まる。 咲は、すでに淡の急所を見抜いている……京太郎は悟った。 実は対局前に、淡攻略には簡単な抜け道があると言っておいた。どうやら見つけたらしい。 おそらく、ここから淡は相当苦い思いをすることになる。自分は聴牌スタート、相手は五向聴スタートで、自分の『遅さ』に苦しむ羽目になるのだから。 画面の中で、咲が左右の二人に目を運ぶ。その二人も各々を見合い、そして再び卓上を眺める。 スマとを開く。淡とのLIMEに当然、既読は付いていない。試合中だし。 「ポン!」 ネリーの牌に咲が無く。カンが積み重なり、淡の優位性が薄まる。 (カンでツモ増やして向聴数荒稼ぎとか、対抗できるかっつーのー!!もー!!) 淡はイライラしながら自分の親番の東4局を進める。手牌は相変わらず好調。ー向聴を維持しながら高めに作り変える。4巡目にして超良系の手が出来かけている。しかし 「カン!」 咲が、早い。恐ろしいほどの速度で手を作る。 理由は簡単だ。二人が、咲の鳴き頃の牌を切っている。 (私の点数を削りにきた……!!) 穏乃、ネリーの考えは読めた。防御力の異常に高い淡に手が届く咲に点数を稼がせ、その後に咲を削ろうという魂胆だ。そのために今は咲に協力しているのだ、『その方が手っ取り早いから』 (そんなのくやしーじゃん……!!) 強いから、警戒されているからこその作戦にしかし、まるで前座のように扱われてると感じ、淡はイラついた。そして、満貫確定の聴牌へと、牌を切り出す。 「カン」 (あっ) もちろん、相手の暗刻がなんなのかなど読めるはずもないだろう。しかし、やっちゃったと思わずにはいられない。 わずか五巡目で生牌を危険視など普通はしない。しかし、咲にその考えが甘かった。 「ツモ、リンシャンカイホー」 責任、払い 頭がクラクラする。 淡の総合能力は確実に咲に勝る。 しかし、他二人のブーストで、咲の火力、スピードが恐ろしいことになっている。 (勝てる?これ) 責任払いの5200、安くない。 己の中に生まれた不安をしかし、淡は強引に呑み下した。 (弱気なこと考えるな!負けるわけにはいかないじゃん!!) 三人が協力したからなんだ。そんなもの言い訳にはしない。私が優位なんだから目をつけられるのは当たり前。 (負けるわけには……!!) 焦る。最初にあった余裕など、最早かけらも残っていない。 …… ………… ……………… 食いしばった奥歯が痛い。ような、気がする。 半荘1回目が終わった。 死に物狂いで打って、上がったのは二回。 最初の満貫のツモ、そのあと、咲にたいしてなんとか3900の直撃。 しかし、点差はわずか7000点まで縮まってしまった。 強い。 顔を覆う。手の隙間から差し込む蛍光灯の明かりがひどく鬱陶しい。 強い。 このままでは凌ぎきれない。 どうしよう どうしよう 絶望が淡の胸の内を埋め始めた。 負けるのが、恐ろしい。 負けてしまう、恐ろしい。 悔しい、悔しい。 みんな、他のみんなは全員+収支で帰ってきて、私のせいで全て台無しになって、負けて いやだ いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ 「どう、しよう」 休憩時間は長くない。まだ余裕はあるが、二回目の対局が迫ってくるのが恐ろしい。 「……」 救いを求めて、スマートフォンを見る。周りに誰もいないいまこの廊下で、唯一、何かにつながっているモノだ。 すがるように、ホームボタンを押す。 LIMEが、一件 須賀京太郎 怖かったら呼べ 握りしめたスマートフォン。すでにスライドしてLIMEを開いている。 須賀京太郎が試合開始直前に送ってきていた短い文章が、他愛のない会話の一番下に表示されていた。 (……なんで、わかんのよ) 試合開始する前、というのが激しくムカついた。 私がこうなることを、見越していたかのようだ……いや、事実そうなんだろう。だって須賀京太郎、私が負けると予想していたのだから。 「……」 既読はつけてしまったが、無視してしまおうか。 気分転換で開いただけで、返信する気分ではなかった、言い訳はそれで済む。 不本意だが私は、凄まじい重圧に襲われているのが傍目から見ても分かるだろうから。 でも…… 「……」 指が、動く なんで、書こうか 偉そうに、とか、舐めるな、とか、憎まれ口でも送ろうか そんな心配は無用と、強がって突っぱねようか。 結局、打ち込んだのは、『助けて』と、たったこれだけ。 あぁ、情けない、一皮剥ければ私はこんなに弱かったのか。 視界がじんわりと滲んでくる。そして、震える指で、送信を押した。 途端、奇妙な電子音がなる。 「はいはい、呼ばれて飛び出て即参上」 音の方を振り向くと、いま読んだばかりのはずの、金髪の男がこちらへ歩いてきていた。 「ほれ」 何を言うでもなく、その大きな手を差し出してきた。見ると、そこには小さな棒付きキャンディー。 「脳みそってスゲー大食いな器官でさ、しかも甘いもんしか受け付けねーらしいぜ」 「……そうなんだ」 なんとも、どうでもいい豆知識を聞かされた。 くれるのだろうと思って、それを手に取る。包み紙をとって、口に咥えた。 ……甘酸っぱい、けど少しベタついている。 夏の気温のせいか。 「……びみょー」 「ははっ、まぁもらいもんの飴だからな、文句はその人に」 「もらったものを誰かにあげる?フツー」 笑う余裕がないから刺々しくツッこむけど、このノッポはどこ吹く風だ。 ーーー気楽そーな顔してさーーー 「……なんで、送ってすぐに来たの?」 「こりゃ呼ばれるなって思って。紳士たるものレディの呼びかけには5秒以内に応じるもんだぜ」 「ストーカー?」 「ちげーよドアホ」 「アホだと~?」 あぁ、全く、こっちの気分も知らないで 楽しそうに、話しやがってさ 「こっぴどくやられたな、どーだうちのタイショーは」 「……一対一なら勝てるし」 「それ麻雀じゃねーし。で、どうだ。言った通りだろ?」 「……」 「お前、うちのあのあれにまくられて負けるって」 ポンっと、頭に手が置かれて、撫でられた。言葉とは裏腹に、手つきは優しい。 「……なんで、わかったの?私が負けるって」 「そりゃあ、3人がかりで潰されるだろーなーーって思ったんだよ」 「……ふーん」 安直な答えを聞かされた。確かに、あの3人に事実私は追い込まれている。大ピンチだ。血の池の方が生ぬるい地獄だとすら思うも。 「それと……もう一つ」 スッと、頭から手が離れる。顔を上げると、こっちをじっと見つめていた。 「お前は、お前が負けるのを怖がってるから、負ける」 その目は、真剣だったけと言ってる意味はまるでわからない。 「なぁ、麻雀で勝つって、なんだと思う?」 「……そんなの、点数が少しでも高ければ勝つでしょ」 「そおーだそのとーりだ!たとえ百点棒一本でも多い奴の、勝ちだ。100点でも低けりゃそいつの負けだ」 何を、当たり前のことを。京太郎は続ける。 「そのルールのせいてで俺の部内の一年生四人の中では、トップ率はダントツドベの0.95だ。わかるか、10回やって1回目トップになれるかどーかだ。そりゃそーだ、何もかもが劣ってる俺があいつらに容易に点数合戦で勝てるわきゃないからな」 「何その自虐情けない」 「やめろ死にたくなる」 えらそーに語ってたかと思えば途端に顔を曇らせる。 「まぁともかく麻雀ってのはそういうゲームだ……で、淡、聞くぜ。いま、この麻雀で勝ってるのは誰だ?」 唐突な、質問。 何を変なことを聞いてくるのか、億劫な口を開いて答えてやる。 「そんなの……私だよ。7000点、上にいる、けど……」 「そーだお前はまだ勝ってる!お前の仲間たちが、稼いでくれたおかげでな」 その言葉に、四人の顔が思い浮かぶ。 四人は、必死でリードを広げてくれた。対策されまくって、まるで自分の麻雀を打てなかっただろう、それなのに、決して引かず、互角以上の成果を出さて、私にバトンを渡した。 でも、そのリードは、もう…… 「淡、お前が負けてるのは、お前が3対1に追い込まれてるからだけじゃねーんだ」 「……」 「お前は、麻雀の基礎を見落としてるぜ。大将戦が始まった時お前は28000点もリードしてた、それなのに、なんでお前は場をささっと流さなかったんだ?」 「それは……」 「こう考えてみろ、淡。28000点のリードってのは、仮にこれが個人戦だとすれば、お前は50000点だとすると2位は22000点っていう超超大差だ。おまけに実際は相手はまだ8万9万あるから箱割れにするのは難しい……だとすればお前がやることは一つ。速攻で流す麻雀だよ」 京太郎の顔は、真剣だ。 「そりゃ、早く上がれそうな高い手なら目指せばいいけど、普通はここまでの大差ならささっと鳴いて、パパッとクイタンなりなんなりで流したり、あるいは安めの相手にわざと振り込んだりしてもいい。お前は相手を無理やり遅らせられるんだし、相手が3人で挑んでくるならそれを潰すために早上がりに徹底すべきなんだ」 「なんでお前がそうしなかったのか」 「それはお前がこの大将戦を、チーム戦のラストじゃなくて自分一人の戦いとしか見てないからだぜ」 「っ!」 その言葉は、驚くほど強く、鋭く、私の胸を貫いた。 そんなことないと叫ぼうとしてと、声がでない。 反論したい、でも言い返せない、だってそれは、その通りだったんだから。 「お前は負けん気が強いからな……準決勝で負けたの悔しいって言ってたし。だから、この大将戦で自分も+収支で終わらせたかったんだ」 「……私は」 「そこが、お前の急所だった。高い手で上がって優位になりたかった、自分”も”勝ちたかった……そこが、相手を遅らせてなお食らいつく猶予を残しちまう、お前の弱点なんだ」 まぁ咲のあれはそれでも勝てるかどうか怪しいと思うけど、と、京太郎は顔を少し引きつらせて語るが、私は、もう何も言い返せなかった。 私は、私の勝手な欲望だけで、大局を見ずに、自分のことしか見ずに、その結果、みんなの稼いだ点数を無駄にしてしまった。 もう、ダメだろうか、勝てないだろうか みんなに会わせる顔が、ない 「……嫌だよぉ……」 言葉が溢れる、涙が出てくる。 「負けるの、やだよぉ……勝ちたいよぉ……!!」 私が勝ちたいんじゃない、チームで勝ちたいんだ、今更私はそれに、気づいた。京太郎の、言葉で でも、もう遅い、私のリードはもう少ししかない もう…… 「諦めるにはまだ早いと思うけどな」 すっと、前に何か差し出される。それは牌譜のようだ。 涙をぬぐって、差し出されたそれを見てみる。 「これ……牌譜のノート……?」 「さっき言った、うちの一年四人で打った牌譜だ……お前に見せたの内緒だぞ?部長に知られたら殺されちまう」 お前の偵察した詫びだ、と苦々しげに京太郎は言う。その牌譜に目を落とすと…… (……南3局で、京太郎…1300点?) 絶望的だ。ほぼ勝ち目はないしかし京太郎の南4局には、逃げ腰な姿勢は見当たらない、よどみなく、フラつきながらも上がりを目指している 「一位の和に役満直撃すりゃ捲くって一位だ、勝ち目はあった、まだ諦められなかったんだ、結局負けたけどな」 「さて……淡い、お前は今、どんな状況だ?」 私は……大星淡は今…… 「私は……みんなが、稼いでくれた点数のおかげで、7000点リードして一位。残りは半荘一回。私は、相手の手を6向聴まで遅らせられる」 なんだ、まだ、ぜんぜんやれるじゃん。すくなくとも、この男のこの牌譜よりも。 てゆーか、私、有利じゃん。なんで、不安になってたんだろ。 「……うん……うん」 立ち上がる。話してる間に、あと少しで第二回開始の時間が迫っていた。 迷いは、断ち切った。 不安は、投げ捨てた。 よどみなんて、もう、ない。 まだ飴はけっこう大きい。流石に咥えたまま会場には行けないから、口から出して、京太郎にもたせた。 「え、おま、これ」 「ありがと、きょーたろー。でも、敵に塩送ったこと、こーかいさせてやるから!!」 不安なんて微塵もない、支えてくれたみんなのおかげで、私はまだ有利なんだから、あとはそれを私が最後までつなぐ。つないで見せる! 「おい待て!ほら!」 ああなんだと言うのだ!大きな声で呼び止められ振り返る。ぬっと、ハンカチを差し出された。 「涙ふいてけ、顔ひでーぞ」 「……サンキュー!」 受け取って、今度こそ走り出す。 私は負けない、白糸台のみんなのために、そして、お節介なこいつからアイスクリームをおごってもらうために! 「勝つぞぉ!うおおおおお~!!」 「会場で叫ぶなって~!!」 ……